一騎討ち一角鯨竜王と凍結魔人!因縁の戦い!!
ついに一角鯨竜王と凍結魔人が出会った。
それは悲しき過去を持つ者の戦い!
儂は一角鯨竜王
儂の愛したサクヤ竜王…
その仇!
凍結魔人!!
漸くこの日が来た。
本当に長かった…
サクヤ竜王が儂の目の前で氷の棺共々砕け散った時、儂は怒りと悲しみの中で泣き叫ぶ事しか出来なかった。儂…俺は…
その後、俺は竜神界に戻りサクヤ竜王を殺した地上界の妖怪を討伐する事を進言した。だが、竜神界の上層部は天界との交戦最中で手が回せないと…
俺は嘆き、竜神界を捨てた。そして地上界へと逃亡したのだ。当然、裏切者として竜神界、神界、それに地上界の魔王からも命を狙われる事になる。
だが、そんな事は俺にとって些細な事だ…
俺は向かって来る邪魔者を返り討ちにし、探し求めたのだ!
あの冷気を使う化け物を!
だが、どれだけ旅をし探し求めても見付からなかった。
情報一つ無かったのだ。
どれだけの月日が経っただろうか?
竜の血を持っているとはいえ、俺は半妖半竜の身。寿命は純血の竜族の半分以下であった。その為に俺は竜神界では主君であったサクヤ竜王の血を分けて永らえていたのだ。
が、今はもう…
サクヤはいない…
このまま何も出来ないままサクヤの仇も取れずに、寿命が尽きるのを待つしかないのだろうか?
無念だ…
耐えられぬ…
ならば、この悲しみより逃れるために、儂は自害を望もう…
その時だった。
儂が隠れていた洞窟に何者かが入り込んで来たのだ?
その者は竜神族の追手?
「気持ちは解るが自害は止しな?それでは叶うかもしれない未来の可能性を自ら捨てる事になるぞ?」
その者は竜神の鎧を纏った白髪の若者だった。
だが儂はその者の台詞に怒りを感じた。
「お前に何が解る!儂の無念…怒り、悲しみ!お前のような小僧が軽々しく知った気になるな!」
儂は立ち上がり、その者を威圧した。が、その者は怯みもせずに言葉を返して来たのだ。
「俺は最近魔王になった万聖魔王ってもんだ?見ての通りお前と同じく竜神界からの逃亡者だよ?」
「魔王?そうか、地上界の魔王が天界の機嫌取りのために儂を討伐に来たか?」
すると万聖魔王は言った。
「半分正解で、半分違うな?それは?」
「ナヌ?」
「俺はな?お前を俺の配下にと思ってスカウトに来たんだよ?これが!」
「何だと?戯け者かお前は?」
「タダとは言わんよ?ちゃんと取り引きの交渉をするつもりだ?」
「交渉だと?」
「俺は魔王成り立てで右も左も解らんのだよ。だから、お前は俺の直属の配下として俺を導いてくれよ?」
「何を馬鹿な!儂にはそんな暇は…」
「今、自害しようとしてただろ?」
「………」
「それに俺もお前に取って置きの情報をやるよ?お前が求めている情報をな?」
「何だと!?」
「俺がお前に会わせてやるよ?その瞳の先の奴を!」
「!!」
その日を境に儂は万聖魔王の側近として、儂の持つ知識や戦術、昇進の術を授け、第四魔王にまで押し上げたのだ。
万聖魔王…
変な奴だった。
儂の求める情報を奴が知っているなら、力ずくで聞き出せば良い話だった…
しかし、万聖魔王を力ずくで屈させようと万聖魔王の肩を掴んだ時、その瞳の奥の深い悲しみを見たのだ。それは儂の悲しみと決意と同じ意思の目だった。
その目を見た時、儂は万聖魔王に忠誠を誓った。
万聖魔王は儂に自らの血を与え、今日のこの日、成就した今まで寿命を延ばしてくれたのだ。
恩に着る…
万聖よ…
一角鯨竜王「そして、憎き仇、凍結魔人よ!儂の手で必ずお前を倒してみせようぞ!」
凍結魔人「仇か…虚しくも無駄な事を…」
凍結魔人が氷結の剣を地面に突き刺すと、一瞬にして一帯が氷河地帯へと変わっていく。
一角鯨竜王「魂をも凍てつかせるお前の力も、儂の魂までは凍らせまい!」
一角鯨竜王の身体から吐き出される覇気が凍結魔人の凍気を止め、手にした槍を突き付ける!
凍結魔人「強い魂の力が俺の凍気を拒絶した?先の者と言い、無駄な事を何故そこまで…」
一角鯨竜王「それは無駄な事だと思っていないからじゃあー!」
一角鯨竜王の槍を氷結の剣で弾き、その突きが一角鯨竜王の首もとに迫る。
一角鯨竜王「フォー!」
直後、口から潮吹きを放ち凍結魔人を吹き飛ばす。
凍結魔人「セィヤア!」
凍結魔人の一振りが一角鯨竜王の潮吹きを凍結させて氷の粒となって消える。
一角鯨竜王「そうやって…サクヤをも…」
更なる覇気が一角鯨竜王の槍を光らせ、閃光の如き無数の突きを放つ。
『閃光強逝九実襲』
※センコウキョウイクジッシュウ
それは凍結魔人の氷の防壁をも貫き、鎧を傷付ける。
凍結魔人「見事に洗練された技だ…それも俺を仇と磨き上げた賜物か?だが、それも全て無駄な事なのだ…だから俺が終わらせてやる!その未練も残さずに!」
凍結魔人の頭上に冷気が上昇し巨大な氷山が上空を覆う。
凍結魔人「跡形もなく消え去るが良い…」
上空を覆う氷山が大地へと落下して来た。その中心にいる一角鯨竜王には逃げ場が何処にもなかった。
このまま押し潰されて終わりなのか?
『鯨術撃上!』
※ゲイジュツゲキジョウ
一角鯨竜王は覇気を槍の尖端に集中させ、頭上の氷山に向けて射ち放った!
上昇する覇気は巨大な氷山をも貫き、上空で粉々にした。
降り注ぐ氷山の破片の雨の中を、一角鯨竜王は静かに凍結魔人に向かって近付いて行く。
一角鯨竜王「その程度でこの儂の歩みを止める事は出来ん!儂が止まる時はお前の息の根を止め、我が宿願を果たした後だ!」
踏み出したと同時に一角鯨竜王が凍結魔人に向かって突進し、間合いに入る。
一角鯨竜王「この一撃は儂の分だぁー!」
一角鯨竜王の覇気を纏った槍の一撃が、凍結魔人の身体を貫いたのだ!
凍結魔人「ぐぅう!」
それは魂の籠った一撃だった。長き恨みと怒りを乗せた渾身の一撃!
一角鯨竜王「こんなもんじゃない!これからが本番だ!儂の愛した…サクヤの分で、お前を葬る!」
そして悲しみと想いを乗せた一撃が凍結魔人の頭部に目掛けて振り下ろされた。
場所は代わる。
俺様は美猴王!
俺様は蛟魔王に頼まれ、現れた一角鯨竜王と呼ばれる老武人に凍結魔人を任せた。だが、本当に大丈夫なのか?確かに一角鯨竜王からは魔王上位並の力を感じた。なのに不安が離れないのは俺様が直接合間見えたからなのだ…
あの凍結魔人からは今まで戦った何者よりも…
いや?あの錬体魔王に似た闇を感じたのだ。
絶望を力に身を焦がし、誰かに…
「止めて貰いたい」
そう魂が叫び願いながら暴れているような?
鵬魔王「あの竜神族の爺、死ぬよ?まぁ、僕には関係ないけどさ?」
美猴王「だが、今は頼むしかない…俺様達は先に進まねばならないからな!」
そう。
これは戦争なんだ…
今は戦場の真っ只中!
各場所で命を奪い奪われている状況。俺様が今出来る事は、不死の百大王を止める事!奴等はこの戦場にて異端の連中…
不死の百大王達を相手に命限りある仲間達は消耗し、力尽きて逝く状況なのだ。
時間が経てば経つ程、不利になってしまうのだ!
今、蛟魔王と六耳彌王がその現況を探っている。
それまで、俺様達が時間稼ぎをしないとな!
獅駝王「ウグゥオオ!」
獅駝王の咆哮が戦場に響き渡る。それは、襲い掛かる百大王達を一人で相手していたからだ!
獅駝王「いくら倒しても起きて来る?俺俺、苛々限界だぁぞー!!」
獅駝王の周りには百大王達が獅駝王の爪で引き裂かれ屍となっていたが、再び立ち上がって来ては襲い掛かって来た。
そこに俺様と鵬魔王が参戦する。
美猴王「待たせたなぁ?」
鵬魔王「仕方ないなぁ~」
戦場は更に激しくなっていく。既にどれだけの仲間が散って逝ったか?いつ終わるか解らない中、誰一人と戦う事を諦め止めたりはしなかった。
その状況時、
蛟魔王「変だ…百大王達の不死の現況が掴めないなんて…」
闇影魔王の術だと思い隠れ洞窟にまで来て、闇影魔王を倒したと言うのに?金剛魔王の時に現れた不死の鬼人達は体内に賢者のの石を埋め込んでいた。しかし大王鬼神には賢者の石は存在しない。だが不死の術には何かしらのエネルギーが何処からか随時再生の度に供給されているはずなのだ?
それは何処から?
その時、六耳彌王が蛟魔王に青ざめた顔で言った。
六耳彌王「見付けた…」
蛟魔王「本当か?何処だ?」
すると六耳彌王は指差したのだ?地面の下を?
蛟魔王「?」
蛟魔王は地面を見る。だが何も変わったモノは感じなかった。地下に何かあると言うのか?
蛟魔王「六耳彌王?ちゃんと説明しろ?下に何があると言うのだ?」
六耳彌王は言った。
『地獄の声が聞こえる…ッチ…』
次回予告
一角鯨竜王と凍結魔人の一騎討ち!
その戦いの結末の行方は?




