気をつかう美猴王?
一角鯨竜王の過去と、凍結魔人の因縁が絡みつき、
それは新たな戦いを生む。
俺様は美猴王!
鵬魔王と合体して聖獣変化した俺様が凍結魔人に殴りかかると、突然身動きが出来なくなった?
美猴鵬王「ウッ!」
その瞬間、視界が遠くなるような感覚になり、俺様は氷の棺の中で凍結した。
瞬く間の勝敗?
に思えたが、氷の棺の中から紅色の閃光が放たれ棺が粉々になり、その中より俺様が飛び出る。
肉体だけじゃない…
魂をも凍りつかす
凍魂の冷気か!?
あの冷気に触れたら己が凍りつかされた事にも気付けずに時が止まったかのように瞬殺され、その肉体も粉々となって消えるのだ。
だが、俺様と鵬魔王の聖獣変化の特色は再生と灼熱の炎!
正に相反する力で戦えるのだ。
美猴鵬王「せっかく変化したんだぜ?そう簡単に終わってたまるかよ!」
俺様の如意鳳凰剣が凍結魔人の頭上に降り下ろすが、凍結魔人が振り上げた氷結の剣で受け止められる。
凍結魔人「久しいな…俺を前にして生存している化け物がいるなんてな?」
美猴鵬王「はぁ~?お前だって化け物だろ?てか、お前は半妖か?」
凍結魔人「今消えゆく者に語る事は何もない!」
美猴鵬王「あっそ?だったらお前が消えちまえ~」
俺様の如意棒と凍結魔人の氷結の剣が幾度と激しくぶつかり合い、冷気と炎が互いを中心に竜巻を起こした。
美猴鵬王「マジに何だ?コイツは?こんな奴が魔王以外にいるなんて驚きだ!」
強い~なんてもんじゃなかった。
恐らく金剛魔王や、熔岩魔王・祝融と同等?
聖獣変化をしている俺様が圧されているのだからな…
俺様は炎の翼を広げて無数の羽根を飛ばす!
が、凍結魔人の冷気の前に凍り付き全て落下し消えた。
だが、まだだ!
炎の鞭を出現させると凍結魔王に向かって打ち付ける!
炎鞭は枝分かれし、凍結魔人に絡み付く。
美猴鵬王「このまま引っ張り…グッ!」
だが、びくともしない?
しかも炎の鞭は徐々に凍り付き、迫って来たのだ!
咄嗟に手離したが指が凍り付く。が、俺様も炎を指に集め溶かした。
「!!」
そこで、気付いたのだ?
奴の冷気に異常なほど憎悪と怒りの感情が伝わって来た?
これが奴の力の根源か?
美猴鵬王「とにかく目の前の敵を倒さなければ道は切り開けない!」
戦場の場所が変わる。
戦場は何処もかしこも大乱戦と化していた。
剛力魔王「危機、状況。打開案、皆無」
怪力魔王「だが、戦いは止められない!」
魔吽天「力及ばずだが、俺も戦おう!」
ゴリラ三兄[姉]弟が戦場にて戦い、
刀剣魔王「我も戦おう!この戦場を勝ち抜き、共に生き延びよう!」
刀剣魔王の操千剣が宙を舞い、雨のように降り敵軍を串刺しにする。
砲丸魔王と亜騎馬魔王が戦場を暴れ、指揮が上がる。
更に他の戦場。
祝融を相手に傷付き負傷した牛角魔王を治癒する玉面魔王。
それを邪魔させまいと剣一本で敵軍から守る蚩尤。
蚩尤「はぁ…はぁ…」
《もう逃げちまえよ?お前の身体だって限界なんだろ?お前が死んだら俺も終わりなんだよ!》
蚩尤「うるせぇ!そんな事が出来るかよ!」
が、敵の射った矢が足に刺さり膝をつく。そこに敵兵が刀を降り下ろして来た。
蚩尤「ぐわぁあ!」
だが、その敵兵は遠方より飛んで来た炎の玉により消滅した。
更に氷の矢が敵兵を貫く!
蚩尤「お前…ら」
それは蚩尤の義兄弟の氷狼と炎狼だった。援軍に蚩尤は救われたのだ。
更に、上空の飛行雲部隊より攻撃の矢が降り注いだ。
虎大仙「俺達も!」
羊大仙「力を~」
鹿大仙「見せる時!」
『我ら三大仙、自然を操る秘奥技!五雷法の術!』
空が曇りだし風が吹き荒れ、雷と水流弾が敵軍をかき乱す。
そこに万聖軍の屈強なモサモサ達!水廉洞闘賊団も負けてはいない!
再び、戦場は俺様に戻る。
美猴鵬王「だが、どうしたら良いもんかな?せっかくの鳳凰変化が通用しなきゃ…」
《美猴王?僕と美猴王の鳳凰変化がこんなもんじゃないさ!もっと魂を燃やすんだよ!》
それは俺様と合体している鵬魔王の声だった。
美猴王「どうやるんだよ?早く教えろ!」
《美猴王の中の神気を燃やすんだ!》
神気だと?
美猴王「それって神が使う気の事か?でも、妖仙である俺様には妖気と仙気しか出ないぞ?」
《美猴王?気のせいかな?もしかして気の事を理解してないなんて事はないよね?》
美猴王「なぬ?気…気だよな?し…知ってるに決まってるだろ?気は気だぜ!」
確か…
気は生きとし生ける者なら必ず持つ魂の力!
人間には霊気、妖怪には妖気、仙人は仙気、竜神族は竜気、神族は神気と、様々な種族により決まった気を持つのだ。
だが、稀に生活や修行環境により、別種の気を持つ事がある。因みに俺様は妖気に付け加え、修行した仙山で身に付いた仙気がある。
デッ?
どうやったら神気出る?
俺様は神族でなければ神界に住んでもいないぞ?
えっと…
因みに他には?
五行の気を借りて特殊な能力を発揮するのがあるが…
水気、炎気、土気、風気、雷気なんかがある。
それに戦いに置いて闘気、覇気があるよな?
闘気は感情によって自らの気[妖気や仙気、神気等]を攻撃的に高めるもので、覇気はそれを瞬間的に爆発させた力。それを五行の気と融合させて能力を飛躍的に上げた攻撃を可能にするのだ。
さて、話を戻すか?
俺様が神気を使えるかって話だよな?
《美猴王!美猴王から神気を感じるんだよ?今は同じ魂を共有しているから解るんだ!美猴王の潜在能力が魂の中に今にも溢れんばかりに滞在しているんだ!》
美猴王「マジか?どうやったら出せるんだ?それ?」
《それは…アッ!》
その時、氷の剣が飛んで来たのだ。俺様は空中で翻して躱し、如意棒を抜く。如意棒は炎に包まれて剣へと変化する。
『如意鳳凰剣!』
俺様は飛んで来る氷の剣を如意鳳凰剣で斬り裂いて、凍結魔人に向かって急降下する。
とにかく戦いながら打開策を考えないとな?
『神気』の出し方を!
意識を集中し魂[体内エネルギー]を感じ、そこから発する力をイメージしながら形にして外に出す。
美猴王「うぉおおお!」
俺様の中から力が!!
《それは妖気だよ?》
えっ?
確かに俺様から発する力は妖気だった。
では、改めて…
俺様は意識を集中し自然の力を感じ、己の魂の力と融合させ、力を!
美猴王「うぉおおお!」
《それは仙気だよ?》
美猴王「ウキィ!ウキィ!ウキキ!」
《逆切れして退化しないでよ~》
美猴王「口で言うより難しいんだ!俺様は身体で覚える性分だから頭で考えなくても出来るんだよ!」
《じゃあ、僕が中から導いてあげる!美猴王の意識を少し借りるよ?》
えっ?
すると俺様の中で鵬魔王の意識が強く大きくなって、俺様を意識を奪い埋め始める。
鵬魔王「ふぅ~」
その直後、俺様の意識が完全に鵬魔王に乗っ取られたのだ??
《なぁ?なぁ?なぁ?》
美猴鵬王「慌てないで?美猴王!ちょっと意識を僕にチェンジしただけだから!」
その直後、炎の翼が広がり上空を真っ赤に染める。
美猴鵬王「先ずは少し遊ばせて貰うね?」
左右の炎の翼から火炎放射が噴き出し、渦を巻きながら大きくなって凍結魔人の足場を蒸発させた。
更に炎の羽根が飛んで行き鵬魔王の分身が13体現れて凍結魔人に襲い掛かる。
美猴鵬王「ちょっと時間稼ぎさ!今のうちに…」
鵬魔王は美猴鵬王の姿で印を結び、意識を魂に集中し始める。中の俺様も同じような感覚となる。まるで俺様が行っているようだ…
俺様と鵬魔王は一つとなって意識を魂に集中する。
すると、
鵬魔王「み…見付けた!」
それは俺様の魂の中にある神気の流れだった。鵬魔王は俺様の魂の中に指を伸ばすイメージをする。
鵬魔王は蛟魔王と同等に術に関しては天才的に器用な奴なのだ。
炎の術を千種類もあるとか言っているしな?
こういう芸当は得意なのだ。
《うっ…!》
何か、エロい気分になった。
何か…無防備な状態で秘部をまさぐられ、触られた感じのよう…
鵬魔王「掴まえた!」
鵬魔王が俺様の魂の中で神気の流れを見つけ、
伸ばした腕で…
『力強く掴んだのだ!』
あっ…ああぁあん!
鵬魔王「…あん!僕も何か…気持ちぃいいいい!」
だが、その直後に凍結魔人が鵬魔王の分身を全て凍結させ、粉々にした。
そして凍結魔人の背後に巨大な氷の岩が出現し、試行錯誤中の俺様に向かって飛んで来たのだ!
まるで隕石のような氷山が迫って来る中、俺様から発する高熱が氷山を一瞬にして蒸発させた。
鵬魔王「うっ…これは!?」
鵬魔王は俺様の神気の流れを掴んだ時、その渦に逆に意識が引っ張られ持っていかれそうになる。
「まさか?これ程の力を持っていたなんて…美猴王兄貴…やはり貴方は凄っ…でも、このままでは…僕が耐えられな…ウッ!?」
引きずられる鵬魔王の腕が、何者かに引き戻される。と同時に、意識が再び俺様へと戻ったのだ!
《まさか?美猴王が僕を助けて…自力で意識を戻したって言うのかい?》
美猴鵬王「あぁ…何か解らないが、力が溢れて来たら出来そうな感じだったんでな?」
《…あはは…やっぱり凄いや!美猴王兄貴…》
美猴鵬王「後は俺様に任せろ!」
俺様の魂から神気が溢れ出し、その力を鵬魔王が体内に吸収させる。その力は鵬魔王の魂の中で膨張し、再び俺様の力へと変換された。
解る…
これが神気なのか?
何故、俺様が神気を使えるかの理由は解らないが、この力は俺様の力を飛躍的にアゲアゲさせた。
俺様は凍結魔人に向かって行く!もし先程までなら俺様の身体は凍結し粉々になっていたかもしれない…
が、今は俺様を纏う神気の炎が身を守っていた。
そして、凍結魔人の前に着地と同時に如意鳳凰剣を振り払った!
凍結魔人「!!」
凍結魔人もまた氷結の剣で受け止める。
美猴鵬王「やはり強いな?だが、今の俺様は一味違うぜ?」
俺様の炎の連撃を凍結魔人は受け止めるも、圧され始める。
凍結魔人「久しぶりの感覚だ…凶悪な魔王を討ち滅ぼす喜び…」
美猴鵬王「はぁ~?突然口を聞いたかと思えば、お前は何を言ってるんだ?」
凍結魔人「魔王は全て滅する!俺の力を持って世界を救う…人も妖怪も悪が絶える誰もいない無と静寂の世界を作り出す!」
美猴鵬王「意味不明!誰もいない世界なんてツマラナイだろ?賑やかな世界!仲間や友、愛する者がいる世界を俺様が作るんだ!」
凍結魔人「全てがマヤカシ…全てが愚かな者が抱く幻想」
美猴鵬王「知った風な口振りだな?だが、一つ言っておく!俺様はマヤカシじゃなくてアヤカシだぞ?」
凍結魔人「………」
美猴鵬王「とにかく俺様の野望の邪魔をする奴は誰であろうと、ぶん殴る!」
凍結魔人「野望…その先に何が残るかも解らないのだな?ならば、お前はその野望を抱きながら時を止める事になろう。氷の棺の中でな!」
美猴鵬王「そんな寒い棺じゃ風邪引いちまうだろ?そんなのは俺様の熱い魂で溶かしてやるぜ!」
俺様から発する炎が凍結魔人の冷気とぶつかり合い、
一触即発の中…
突如、上空から落下して来た何者かが俺様と凍結魔人の間に割って入ったのだ!?
えっ?
その者は?
「ようやく見つけたぞ…永きに渡り、儂はお前を探し求めていた。あの日、果たせなかった…お前への打倒!」
ちょっと?
盛り上がってる最中だったのだけど?
俺様が今から頑張る予定なんですけど?
その時、俺様に念波が?
それは蛟魔王からの念信だった。
蛟魔王《その者に任しては貰えないか?》
その言葉に、俺様は察した。
蛟魔王が頼むなんて何か訳ありなのだと・・・
それに、
美猴鵬王「あはは…こう見えても空気読める猿なんだ…解る…あの爺さんの決意が伝わって来たぜ」
今回は気を使う展開だな?
あはは
俺様は戦闘を任せると先を急ぐ。
その老武人は蛟魔王が率いる万聖軍の副将軍。
一角鯨竜王!
一角鯨竜王「忝ない。この恩は儂の勝利にて報いよう!」
今、宿敵を前にした一角鯨竜王が凍結魔人と戦う!
だが、凍結魔人もまた…
凍結魔人「………」
因縁の戦いが始まる!
次回予告
一角鯨竜王と凍結魔人
その戦いの先にどんな結末が待っているのか?




