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天上天下・美猴王伝説!  作者: 河童王子
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無心無情!凍結の勇者の物語?


蛟魔王と六耳彌王は闇影魔王を倒した。


しかし、戦場は変わってはいなかったのだ?


そこには?


かつて、勇者がいた。


勇者は地上界の魔王を倒すために冒険の旅に出た。


それは激しく厳しい戦いの道のりだった。


だが弱者である人間のために戦う勇者は、人々から…


畏怖の対象だった!


勇者は人間ではなかったのだ。いや?人間であって妖怪である…つまり半人半妖であった。父親である妖怪と人間の母親を持つ勇者は人として生きてきた。


勇者は人の道として、地上界を支配する魔王に戦い挑んだ。


勇者は氷の術と剣技を使い、人間に害する魔王と呼ばれし妖怪を次々と倒していく。


だが、たった一人の戦いには無理があった…


傷付き、倒れた勇者は魔王を前にして敗れ去った。



勇者「はっ!?」


勇者が目覚めると、そこは見知らぬ部屋のベッドの上だった。


勇者「ここは?」


すると勇者の背後から声が?


「まだ起きない方が良いぞ?」


勇者「貴方が私の治療を?貴方は?」


「礼は無用だ…私はただ、お前と同じく絶望した側の人間…いや?今はもう人間じゃないな…」


勇者は気付いた。目の前の存在は人間ではないと…


だが、何故か自分に似た雰囲気を持っている事に?


勇者はその者と別れた後、再び戦いに繰り出す。だが、別れ際に男から言われた言葉に胸が苦しくなった。


「いずれお前も私と同じく絶望を感じるだろう…だが、死ぬはずだった命…延命させた分は人間らしく生きてみるのだな?」



その者は若き妖仙、後の錬体魔王であった。


勇者は再び戦いの日々を過ごす。正義のために!


人間のために!


信念…の…


だが、あの日、疑念が?


自分が守る人間は本当に守るべき対象なのだろうか?


人間達は弱者である事を理解していた。妖怪に迫害され家畜同然の下等種族。


勇者が妖怪を倒し、自分達を救ってくれた事に大いに感激し、涙をながして感謝した。


だが、勇者は見たのだ。


自分が倒した妖怪の屍を見た人間達は、その屍に槍を突き付けたのだ!


無惨な肉の塊となるまで…


憎しみ、怒り…


それは解る。


しかし、人間達は傷つき降服した無抵抗な妖怪達にも同じ所業を行ったのだ。



「これが私の守るべき人間の実態なのか…」



そんな時、勇者は新たな仲間に恵まれる。


その者もまた、人間であって人間有らざる者達だった。半人半妖の仲間達!


半人半妖の仲間達は人間を襲う妖怪達を倒し、自らの居場所を作ろうと夢見ていた。


妖怪達を倒す事に喝采を得て、称賛される。


その時、地上界を支配していたのは魔神族の魔王だった。その力は現在の一桁上位と同レベルと言っても過言ではないだろう。


勇者率いる半人半妖の仲間達は戦った…


激しい戦いで数多くの仲間達を失った。


消耗した勇者に、


「大丈夫?無理はしないで?貴方が私達のリーダーなのだからね?」


それは半人半妖の若い娘だった。しかも勇者と同じく氷の術を得意とし、傍らでいつも勇者を支えていた。二人が恋に落ちるのはそんなに長くはかからなかった。



「俺はお前と一緒に生きるために、この戦いを生き抜き…そして、その後は」


「?」


「共に…この俺と生きてくれないか?」



それは、勇者にとって戦場よりも緊張する一瞬だった。


返事は…


その後の勇者は猛々しく戦った。


『この戦いが終わったら…』


その誓いを胸に!



そして勇者は仲間達と魔王の城に潜入した。これまでに何人もの仲間達が命を落としただろうか?


だが、もう引き返せない!


「はぁ…はぁ…」


魔王は今まで戦ったどの魔王よりも強かった。


だが、負けられない!


勇者は氷結の剣を床に突き刺すと、床から壁、天井と凍結していく。



「俺の氷は魔を滅っす!」


そして、


勇者は魔王を倒したのだ!



そして平和な世の中が始まる。それは人間達の平和!


月日が流れる。


勇者はパートナーの娘と夫婦となり子供も授かった。本当に幸せな生活を送る。全てが上手くいく。辛く苦しかった戦いの後の幸福な毎日。


あの戦いは…


間違ってはいなかった…


弱者を守るための戦い…


そして今、その全てが報われたのだ。



そんな時、昔の戦友から伝達が入った。それは戦時中の緊急時に使われる手段だった。


「どうして今更?」


だが、それは!?


勇者は妻と子を残し、かつての仲間達の待つ地へと旅立った。


そして、勇者はそこで目の当たりにしたのだ。


無惨な仲間達の死骸を!


勇者は吐いた…


仲間達の肉片と化した無惨な亡骸に…


まさか、昔倒した魔王の軍の残党が仕返しに?


その時、自分に向かって大量の矢が飛んで来たのだ!


勇者は手刀で振り払うと飛んで来た全ての矢が凍結し粉々となる。


「何者だぁー!」


間違いなく、仲間達を無惨に殺した者達に違いない!


だが、自分の前に現れたのは……


「ば…馬鹿な…!?」


勇者の前には武装した人間達の姿があった。


かつての記憶が頭をかすめる。無抵抗の妖怪達を肉片にまで惨殺した人間達…


何故?


勇者達は弱者であった人間達を凶悪な妖怪達から救ったはずなのに?


だが、人間達にとって半人半妖の自分達もまた畏怖する化け物と代わりないのだ。例え、自分達を妖怪達から解放してくれた者達であろうと、その疑念は変わらない。自分達、人間にない特殊な力を持つ者は全て自分達人間に対しての敵であると認識したのだ。


人間達は力では敵わない半妖の仲間達に酒に薬を混ぜて飲ませ、眠った所を…


無惨に殺したのだ。



「う…嘘だ…」


勇者の中で何かが壊れた。


勇者は目の前にいる武装した人間達を皆殺しにした。


そこに、勇者は微かに残った半妖の仲間の妖気を感じたのだ。


急ぎ、向かった先には…


両腕と両足を斬り落とされ、胸に幾つもの槍を突き刺され磔にされた仲間がいた。


だが、その命も消えかけていた…


「大丈夫だ!今、治癒してやるから!」


が、瀕死の仲間は首を振る。


自分に連絡をした主は、彼であった。それにはこう記されていた。


『俺達は誤っていた。逃げろ!決して戻って来るな!』と…


そして息絶えてる前に最期の力を振り絞って言った。



「戻れ…お前の地に…人間達が軍を率いて…向かった…」


「!!」



勇者は走った!


そこには自分の愛する妻と子供達がいるのだ…


戻らねば!!



だが、勇者が戻った時、そこには…


「あっ…あ…ぁあ…」


言葉が出なかった。だが、その目からは大量の涙が流れていた。


真っ赤な血の涙が!!


住んでいた小さな家は倒壊し燃え焦げていた。


そして、その前には…


人の形も残らない肉片が散らばっていた。


散らばって…


その肉片を勇者は抱きしめた。


「何のために…俺は戦っていたのだ?俺は…何故、失ったのだ?愛する妻も子も…何故死なねばならなかったのだ?何故、こんな惨い…鬼畜な事が出来るのだぁああああ!!」



その後、勇者は自分の妻子を襲った人間達を皆殺しにした。だが、心はそんな事で晴らせるはずはなかった。勇者は自分が解放した人間達全てを根絶やしにした。


女子供関係なく…


その噂を聞いたかつての魔王の残党が勇者に集まって来たが、勇者はその妖怪達をも皆殺しにしたのだ。



「妖怪も…人間も…醜い…全てが偽り…全てが存在が許されぬ…本当の化け物!!」


勇者は鮮血に染まり、その気は次第に濁り、半妖であった姿が浴びた妖怪の血に支配され、化け物と化していく。


やがて勇者だった者は…


妖怪にも人間にも畏怖される凍結の死神!


『凍結魔人』


と呼ばれるようになった。


だが、凍結魔人は天界より魔王システムが開始された後も魔王とはならず、生きとし生ける者全てを凍結させていった。


まさに惨殺の狂気!


妖怪達にも恐れられる凍結魔人に、幾人の魔王達が討伐に出たが…


全て返り討ちにされた。


魔王をも喰らう凍結魔人に魔王システムも崩壊成りかねない?それを危惧した天界は凍結魔人討伐に一桁の魔王達を導入させたのだ。


金剛魔王、熔岩魔王、雷獣魔王であった。


さしもの凍結魔人も、強豪の三魔王を相手に苦戦し、最後は滅ぼされたとされていた。



なのに!その伝説の凍結魔人が再び惨殺の狂気として蘇ったのだ!



凍結魔人『無心無情…』



目の前には既に数多くの水廉洞闘賊団の仲間達が氷の柩に凍結され、


砕け散った。


次回予告


因縁の悲しみが新たな戦いを呼ぶ?


それは、竜神族古豪の老兵の戦い!

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