因縁再び!?忍び寄る影!!
蛟魔王と六耳彌王は倒しても倒しても蘇る不死の大王鬼神を止めるべく、
その現況があると思われる謎の洞窟に潜入したのだった。
俺様は美猴王、
蛟魔王と六耳彌王は不死の大王鬼神達を操る術者がいる洞窟の中へと入っていく。
六耳彌王「何か緊張~」
蛟魔王「普段通りで構わないよ」
二人は洞窟の中に入ると直ぐに視界が変わり森の中にいた。
六耳彌王「これが本当に幻覚なんですか?葉っぱとか花とか触れますよ?虫まで?」
蛟魔王「そうさ。最初から幻覚だと心得ていなければ私でも気付けないね。以前もこれで時間を食ったよ」
六耳彌王「以前?」
それは眼力魔王の城での出来事。眼力魔王の配下の魔王と対峙した蛟魔王は、同じくこの幻術に閉じ込められたのだ。
蛟魔王「間違いなく、この幻覚の相手は眼力魔王の配下にいた魔王だろう。しかも以前の幻術より手が込んでるせいで私一人では難しかった所だよ」
六耳彌王「ほぇ~」
蛟魔王「それにお前には教えて置きたい事があるしな?」
六耳彌王「教えときたい事ダッチか?」
そして六耳彌王は意識を集中させる。すると突然足下が抜けて落下したのだ?
六耳彌王「うきゃ?」
蛟魔王「これも幻術だ!意識を集中させろ!」
六耳彌王「え~これも?」
落下する体感、それに着地する準備をしないと、地面に付いた途端に無防備な状態で足が骨折してしまうんじゃ?そんな恐怖感が六耳彌王を襲った。
蛟魔王「深く息を吸え!そして私を信じるんだ?」
六耳彌王「!!」
信じる?その言葉を聞いた時、六耳彌王は深呼吸をした後、再び意識を集中させる。すると今度は海底の中にいた。海中の重圧に、呼吸すら出来ない中で…
信じる…
六耳彌王は己の六つの耳に意識を集中させる。信じる事が余計な雑念を捨てさせた。それは六耳彌王が単純純粋だからでもある。
そして暗闇の中で六耳彌王は自分と蛟魔王以外の気配を感じた。それは心音に、呼吸だった。例え離れていても六耳彌王の超聴力からは逃れられない!
六耳彌王はゆっくりと前方を指差したのだ。
同時に蛟魔王はその暗闇の方向に向かって術札を投げると、奥で炸裂した。
同時に幻術が解けて、二人の目の前に、もう一人別の存在がいたのだ。
全身に黒いマントの仮面をした男だった。だが、そいつは見間違う事なく…
眼力魔王の配下にいた五魔王のうち、唯一蛟魔王に幻術を破られ戦場から離脱した魔王だった。
そして、
金剛魔王の領地にて溶岩魔王が乱入して来た時に、溶岩魔王を連れ戻しに来た一桁ナンバーの唯一の生き残り。闇影魔王だったのだ!
六耳彌王「お前は…」
闇影魔王「久しいな?眼力魔王の城では身分を隠していたため空間魔王と名乗っていましたが、自分、闇影魔王と言います」
だが、六耳彌王は相手の姿を見て驚愕していた。何故なら、目の前の闇影魔王こそ俺様、美猴王の寝込み中に暗殺に来て、六耳彌王を殺した張本人だったから!
六耳彌王「お前はぁあ!」
六耳彌王は既に戦闘体勢に入る。そこに、
蛟魔王「六耳彌王、私が見ていてやる。存分にお前の仇をとってやれ!」
六耳彌王「ウッキ!俺ッチを殺した俺ッチの敵討ちだ!覚悟するッチ!」
闇影魔王「誰かと思えばあの時の雑魚か?生きていたとは驚きだ。しかし私を相手に蛟魔王が出なくて良いのかな?今度は二度と蘇っては来れないように塵も残さずに殺しますよ?」
六耳彌王「俺ッチを昔…ちょい前の俺ッチだと思うな!」
瞬間、六耳彌王の姿が消えた!!
闇影魔王「!!」
それは一瞬だった。六耳彌王の拳が闇影魔王の顔面を捉えぶん殴ったのだ。直撃をくらった闇影魔王は吹っ飛ばされて壁に直撃して潰れて弾ける。
六耳彌王「えっ?」
そこに、
蛟魔王「油断するな!足元を見ろ!」
闇影魔王が潰れて消えた場所から黒い影が伸びて来て、六耳彌王に迫る!すかさず飛び上がる六耳彌王に、影から鋭利な刃物が飛んで来たのだ。
六耳彌王「炎の爪!」
六耳彌王は足に炎気を集中させ、燃え盛る蹴りで飛んで来た刃を落とす。そして着地すると、
蛟魔王「あいつは影を使うようだぞ?」
六耳彌王「はい!気をつけるッチ!」
蛟魔王のアドバイスに六耳彌王は足元に注意する。すると今度は影が七つに分かれて迫って来たのだ。影を躱しながら移動する六耳彌王の背後に迫る影から闇影魔王が現れて 、
『影牙完掌!』
※エイガカンショウ
闇影魔王の手に集まった影が刃となって六耳彌王に迫る。
六耳彌王「そっちが影ならこっちは!」
六耳彌王は両手の雷の爪で影の刃を弾き返す。が、別の影から新たな闇影魔王が現れて攻撃を仕掛けて来る。堪らず身を回転させて全ての攻撃を弾き返し着地する。
蛟魔王「闇影魔王は私と同じ空間移動能力者。私が術札を使うのに対して、奴は影を使い移動出来るようだぞ?」
六耳彌王「面倒だなぁ…」
だが、六耳彌王は既にこの闇影魔王の情報を蛟魔王に聞いていた。そして策も与えられていたのだ。
六耳彌王「即興!新技ダッチ!」
六耳彌王は掌に雷の玉を幾つも造り出す。そして闇影魔王に向けて投げ付ける。
『雷玉』
六耳彌王の投げた雷玉と呼ばれる玉は、部屋中に散らばる。すると闇影魔王の影が迫って来るのを感知して六耳彌王に伝わる。
六耳彌王「そこダッチ!」
六耳彌王は影から飛び出して来た闇影魔王を後ろ回し蹴りで退かせる。そして、
六耳彌王「炎と雷を一つに!」
『雷蹴炎足!』
※ライシュウエンソク!
闇影魔王の顔面を続け様に雷と炎の気を籠めた蹴り飛ばしたのだ。これには闇影魔王も不意をつかれ壁際にまで飛ばされ衝突し埋もれた。
闇影魔王「ゴホッ…」
すると血を吐いた闇影魔王の仮面にヒビが入り、その仮面が割れて落ちる。
その露になった顔は火傷を負っていた。そして、その表情は怒りに満ちていた。
闇影魔王「許さん!お前は八つ裂きに…いや、跡形もなく消し去ってやろう!」
六耳彌王「お前なんか熔岩魔王や妖恐に比べたら恐くなんてない!」
だが、
蛟魔王「馬鹿者!油断するな!奴は…強いぞ!」
六耳彌王「えっ?」
その瞬間、闇影魔王を中心に影が伸びて来て六耳彌王に迫って来る。
六耳彌王「そんなもん!」
再び足下に迫る影を躱すようにジャンプすると、飛び上がった場所の空間が歪み、宙に穴が出現した。
六耳彌王「うわぁああ!」
そして六耳彌王を吸い込み閉じたのだった。
その場には蛟魔王と闇影魔王だけが残っていた。
蛟魔王「………」
既に六耳彌王の気配は何処にもなかった。まさか死んだのか?
蛟魔王「異空間に閉じ込めたようだな…」
「闇影魔王冷淡だな?仲間がやられて平然としているとは相変わらずだな?」
蛟魔王「そうか…」
闇影魔王「?」
蛟魔王「まさか、お前が生きていようとはな?しかもお互い魔王に成り下がっていようとは…因縁と呼ぶべきか?」
蛟魔王は闇影魔王の正体に心当たりがあったのだ。
過去の因縁…
素顔は火傷で見る影もなかったが、間違いない!闇影魔王はかつて蛟魔王が竜神界を追われる原因になった、竜神族の神器を奪いに侵入して来た…
神族の男だったのだ!
蛟魔王「神族が魔王…」
蛟魔王は背筋に寒気が走った。理由はそれが何を意味しているかと言う事だ!
蛟魔王「この地上界は既に天界の神によって良いように動かされていたのか?」
闇影魔王は地上界で特別な役割を持っていた。邪魔とは天界に反旗を抱く上級魔王の始末。例え地上界で好き勝手にやろうと、天界に背かなければ自由にさせていた。
魔王は天界の飼い犬状態だったのだ。
蛟魔王「魔王システムは天界の管理下の家畜だったわけか…とんだ道化だよ?そしてお前が管理者と言うわけか?」
闇影魔王「察しが良いな?滑稽な操り人形よ?本来ならお前は天界の討伐対象であったが、自ら我らの仕組まれた魔王システムに入って来たから見逃してやっていたのだよ!」
蛟魔王「それは有難いね?でも、それもこれまでだよ?お前は私が片付け、その後に天界には相当のケジメを付けて貰うよ!」
闇影魔王「竜神族とは何処までも傲慢な種よ!いずれ神の手により絶滅させるその手始めに、お前の首を切り落として晒してやろう!」
『影手!』
闇影魔王の足下から再び影が伸びて来て、それは手の形となって掴まえに来る。
蛟魔王は向かって来る影手を躱す。
『影気弾!』
※カゲキダン
闇影魔王の掌から影の弾丸が飛んで来た。
蛟魔王「蛟の盾!」
蛟魔王は蛟の盾で影気弾を受けながら、もう片手で竜鞭を振り回しながら影手を打ち消す。
闇影魔王「!!」
気付くと、闇影魔王の身体が蛟魔王の竜鞭が絡み付き身体を拘束されていた。
蛟魔王「あんまり時間をかけれないからね?これで終わりにさせて貰うよ!」
蛟魔王が竜鞭に竜気を流し込むと、闇影魔王の身体を拘束する竜鞭が締め付けられる。
そして粉砕するように塵と化したのだ!
竜鞭の方が!?
蛟魔王「!!」
見ると、闇影魔王の背後に八つの影が浮いている?そして、その影から何かが抜け出して来たのだ!
それを見た時に、蛟魔王は頬に冷たい汗が流れ落ちた。その抜け出て来たのは白い腕であった…しかも女の娘のような?
蛟魔王「まさか!?」
蛟魔王の竜鞭の硬度は竜神の鱗より造られた特殊な鞭である。その鞭が跡形もなく消滅させるなんて事が出来るなんて…そんなモノは、あの力しか?
蛟魔王「まさか!?」
『再生負荷の力!!』
次回予告
蛟魔王に闇影魔王の魔手が迫る!
その魔手とは?




