不死の大王鬼神!?
牛角魔王の起死回生の一刀が炸裂した!
祝融を倒したのか?
俺様は美猴王
牛角魔王と祝融の戦い…
その戦いに決着が付いた…のか?
魔神の力を持った祝融を相手に、牛角魔王は己の魔神化を解いた…
それは自暴自棄?戯けた策?自殺行為?何を考えてるんだ馬鹿?
お前、天然さんいい加減にしろよ!と、思われた。
だが、それは全て誤っていたのだ!
牛角魔王は魔神化を解いた訳ではなかったのだ。牛角魔王は魔神化の力を全て一本の刀一点に凝縮集中させていたのだ。防御力を全て捨て去った一刀一殺攻撃!
魔神の力を全て放出するのだから、破られたら後は無いだろう。
だから一か八かの賭け!
牛角魔王は相手の力量を計る事に長けている。
魔神化同士の戦いの中で牛角魔王は悟ったのだ。祝融とは五分五分?いや?潜在能力を計れば祝融のが上!だが、魔神の力を一点に集中させれば、一矢報いる事が出来る唯一の手段だと考えたのだ。
そして、
牛角魔王は魔神力を一刀に集中させた事で全ての妖気が消えたかに思われたが、それは強引に押し込めた一時的な静けさ…
だが、その一刀が振り払われた時、その凝縮させていた力が一気に爆発した!
その一閃は目の前の祝融の魔神闘気事、祝融を一刀両断にしたのである。
凝縮した刃は祝融の反射能力をも上回り、解放した力は嵐となって、祝融を斬り裂きながら飲み込んだ。
まさに紙一重の決着!
祝融は倒れた状態で全てを察した。
己が牛角魔王に敗北したのだと…
祝融「身体が…う…動かん…まさか、私が…剣技で敗北…するとは…」
だが、祝融は…
祝融「お見事です。魔神化に頼らずに私を倒すとは…」
牛角魔王「祝融よ!俺の勝ちだ!」
祝融「完敗です・・・」
牛角魔王「祝融よ…最後にお前に聞きたい事がある」
祝融「……」
牛角魔王「何故、父上もお前も蚩尤の命を狙うのだ?」
祝融「それは…蚩尤は貴方の力を解放させる鍵だから…で、ございます」
牛角魔王「それは、どういう?」
祝融「本当にこの世界を滅ぼすのは…軒轅様!貴方なのです!」
牛角魔王「!!」
祝融「…だが、その鍵となるのが…蚩尤…」
牛角魔王「何だと?」
祝融「軒轅様…いずれ貴方は、再びその魔神の力に手を染め…今度は…世界を…せか……滅ぼす…覇王と化しましょう。はぁ…はぁ…だから、私の手で止めたかった…私の手で!だが、軒轅様は神農様の生粋の後継者…ならば、蚩尤を私の手で殺し止めねばならなかった」
牛角魔王「それでは蚩尤は俺のために?」
祝融「それが神農様が、私に託した…最期の…願い…」
そこで祝融は生き絶えたのだった。
牛角魔王「俺は…覇王にはならない…何故なら、俺には俺を止めてくれる仲間がいるからな…」
すると牛角魔王は膝を付き祝融を抱き締めると、涙を流した。
それは幼き頃により自分を育て上げてくれた恩師に向けての涙だった。
牛角魔王が祝融を倒した頃、蛟魔王率いる別の軍は…
蛟魔王「まさか、ここに来て新たな問題が発生するとはな…」
そこでは、仲間達だけでなく剛力魔王、怪力魔王も膝を付き息を切らしていた。総攻撃を仕掛ける仲間達。だが、数千以上の妖気の槍を敵軍に放つも敵軍の防御壁により消え去る。
敵軍には残っていたのだ!
脅威的な猛者達が!
それは魔王に匹敵する力を持った『大王』!
しかも、その数は百体。この百大王は、中央を守護するために特別な訓練を受けた猛者達であった。
だが?
あの妖恐を倒した剛力魔王と怪力魔王が手こずるのだろうか?
剛力魔王「くっ、また」
怪力魔王「奴ら…何度も何度も!」
そう。百大王達の額には黒い角が生えていた。違う!埋め込まれていたのだ!それは錬体魔王が人間達に実験していた物と同じ。それを妖怪の身に施した者がいるのだ!その者を倒さねば、この百大王達は倒れぬ不死の軍隊なのだ!
不死の大王鬼神!
蛟魔王「数にはお前に打ってつけだな?」
蛟魔王が温存させていた者がいた。その者は?
刀剣魔王「我、出陣して剛力さんに良い所見せ付けましょう!」
蛟魔王「その意気だ!」
刀剣魔王は砲丸魔王と亜騎馬魔王を連れて、不死の大王鬼神達に向かって攻撃する。
刀剣魔王『操千剣!』
刀剣魔王の背後に千本の剣が出現すると、宙に浮かばせながら大王達に向けて指差したのだ。
千本の剣が百大王達を串刺しにする。
しかし、まるで屍人の如く立ち上がって来る。
刀剣魔王「あっ・・・無理かな?」
だが、
蛟魔王「それで良い。上手く時間稼ぎを頼むよ?」
すると蛟魔王は水晶を見つめて、
蛟魔王「み~つけた!」
蛟魔王は水晶を使い戦場の大王鬼神達を動かしている妖気の糸を見つける。その糸の先は中央の城近くにある洞窟の中からだった。
蛟魔王「どうやらあの洞窟のようだね…」
蛟魔王は印を結ぶと、その周辺近くにいる仲間の妖気を感知する。
それは、祝融を倒し中央に向かっている俺様に、六耳彌王、獅駝王だった。
牛角魔王と蚩尤は怪我の治癒のために、目覚めた玉面魔王によって結界の中にいた。
玉面魔王「せめて牛角様だけは送り届けます…」
牛角魔王「すまぬ…」
祝融との戦いで妖気を消耗していた玉面魔王だが、唯一現場で治癒術に長けているために傷付いた牛角魔王の残りの妖気を全て使い回復を施していたのだ。
そして先を向かう俺様達だったが、突然六耳彌王が声をあげたのだ?
六耳彌王「美猴王兄貴!」
美猴王「何だ?」
六耳彌王は俺様の尻を指差して、
六耳彌王「兄貴の尻がピカピカしてますッチよ!?」
美猴王「そりゃ~ちゃんと糞したら尻は拭いてるからな!当然のマナーだぜ!」
六耳彌王「そうじゃなくて~」
俺様は自分の尻を見ると、確かに光っていたのだ?不思議に思い見てみると、そこには戦場に向かう前に蛟魔王から手渡されていた術札が光っていたのだ?
美猴王「オッ?」
すると術札が勝手に浮かび上がると、俺様の目の前で発光したのだ??
怖くなって手離すと、その光の中から人影が抜け出て来たのである。
美猴王「オッ?オッ?お前はぁああ??」
それは!
蛟魔王「お前達が近くにいて助かったよ?」
それは蛟魔王だった。
蛟魔王は術札を使い空間移動能力者と言う特殊な術を得意としていた。なので仲間達全員に術札を持たせておいて、戦場でどれだけ離れた場所にいても持たせた札を使って空間転移が出来るのだ。
美猴王「なるほど…確かに厄介だな?」
俺様は話を聞いて状況を理解する。
美猴王「しかしお前が離脱して大丈夫なのか?」
蛟魔王「それは心配ないよ?軍の指揮は代わりの奴に任せてある。これから先は私はお前達と同じく戦場で暴れる駒になるつもりだよ」
美猴王「そうか、うむ。頼むぜ?」
蛟魔王「その為にも美猴王と獅駝王には頼みたい事があるんだが?」
美猴王「みなまで言うなよ?これだけ殺気向けられてるんだぜ?」
それは俺様達を囲む敵軍であった。しかも、そいつ達もまた不死の百体の大王鬼神だった。
美猴王「中央に大王が200人は待ち構えているだろうとは情報で聞いてたから驚きはしないが、まさか不死の大王鬼神とはな…」
獅駝王「俺俺!全然平気だぞ?任せろ?」
蛟魔王「それとな?」
美猴王「?」
蛟魔王「六耳彌王を借りたいんだよ?」
六耳彌王「えっ?俺ッチですか?」
すると、蛟魔王が六耳彌王を殴った。
六耳彌王「いたぁ~い!何故?殴られたのですか?」
すると蛟魔王は六耳彌王の胸ぐらを掴んで言った。
蛟魔王「六耳、美猴王から聞いてるだろ?私とお前は義兄弟になったんだ!だから、いつまでも敬語は止しな?」
六耳彌王「じわ~」
六耳彌王は涙目で感動して答える。
六耳彌王「蛟姉!俺ッチ、六耳彌王!義兄弟として気合い入れるんで、宜しくするッチ!」
蛟魔王は六耳彌王の頭に手を置くと撫でたのだ。それは生きていた六耳彌王に対する嬉しさも含めての義弟への愛情表現だった。
そして蛟魔王と六耳彌王は二人、先の洞窟に向かって駆け出す。行く手を邪魔をする百大王鬼神達には獅駝王が先回りし道を塞ぎ、後方から俺様が道を塞いだ。
美猴王「此処から先には」
獅駝王「俺俺達が一歩足りとも行かせばしないぞ?」
そして洞窟の前にまで着いた蛟魔王と六耳彌王。
蛟魔王「六耳には私を敵の居場所にまで連れて行って欲しいんだ?」
六耳彌王「それって?」
洞窟の中は蛟魔王の術よりも強い異空間結界で覆われ、呪術者の所に辿り着くには早くても一年以上かかる迷宮になっているみたいなのだ。そこで六耳彌王の超五感能力。六耳彌王の五感は迷宮の中でも的確に間違いなく術者の居場所にまで向かえるのだそうだ。
六耳彌王「任せるッチ!」
蛟魔王「頼もしいよ?」
そして二人は術者のいる洞窟の中へと飛び込んだのだった。
次回予告
蛟魔王と六耳彌王は謎の結解の張られた洞窟へと潜入した。
そこで待ち構えているのは?




