0、プロローグ
囲まれている。
それは比喩なんかではなく、本当に囲まれているのだ。・・・綺麗な女の人たちに。
「こ、ここはどこですか?」
勇気を振り絞って訪ねてみたのに返事がない。綺麗な女のひとに無言で見つめられるのがこんなに恐ろしいこととは知らなかった。
私はたしか、家で寝ていたはずだ。いつも通りの1日を終え、ぐっすりと。
なのにどうしてこんな所にわたしはいるの?
夢かと思い、頬を引っ張って見たけれども目は覚めない。試しにつねってみたけれど痛いだけだ。ではここはどこ?
「ごほん。あなたは藤原志乃さんだよね?」
考えていると、一番きらびやかな服を着ている女の人が目の前にいた。
「そうですけど貴方たちは誰ですか」
「わたしたちは女神よ」
思わず疑わしそうな声色になってしまったがしっかり答えてくれた。・・・はぁ?
「どういうことですか?」
「そのままの意味よ。とくに私はチキョウという星を治めている女神のなかでも1番偉いの。あなたが前にいた地球でいう、神様よ」
・・・。
「ここにいる理由も言っておかなくちゃね。まぁ、簡単にいうと女神が足りなくなったから新しい女神を作ることになってね。地球の神に良い人材がいたら回してくれって頼んだの。ちょうどあなたで最後みたいだね。ほかの候補者はもう中に入っているわ。後は中にいる教官に聞きなさい」
そう言うと、美しい人たちはスッと姿を消した。
・・・。とりあえず中に入ってみよう。
結果から言おう。中には他に4人いた。
私たちは地球で死んだらしい。そして、今から500年間、女神候補として修行をしなければならないらしい。
なんで私たちかというと、同じ時間に近くで死んだから・・・もう突っ込む気すら起きない。
ー100年後
結果から言おう。脱落となった。ほかの候補者は色々とすごい。本当にすごい。私?何も出来なかった。
綺麗なきらびやかな服を着ている、女神の一番偉い人(シャラーテット様だと知った)が100年ぶりに私と顔を合わせて言ったのだ。
「あなた、才能がないわ。もうここにいる必要も無い。しょうがない、下界へ行きなさい。そして人間として第2の人生を送りなさい。」
もう一度言っておこう。脱落となった。
そして脱落となった私の目の前にはある契約がある。これは私が承諾しなくても目を通すだけで、勝手に契約されるらしい。読むのが怖いです。
1、ここでのことは何も話さない。
2、ここでのものは何も持って降りない。
つまり、ここでのことは忘れろということだ。勝手にここに連れてきて、何なんだ。この仕打ちは・・・。
3、こちら側には一切干渉しないこと。
干渉の仕方が分かりません。
4、文句、質問は受け付けません。
怖いです。怖すぎです。文句は分かるけど質問も?!
これらを破った場合、チキョウは過去最悪をことが起きるでしょう。
ここまで読み終わった瞬間、急に目の前が真っ白になった。