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ゆめうつつ  作者: 秋花
2/14

2015/5

2015/5

#書く予定のない小説の一部

――ねえ、あなた、抱いてくれる?

彼女が呟いた言葉を頭の中で反芻する。見えているはずのない目が形のない矢となって俺を貫く。

「何を言い出すんだ」

「愛してくれるかって訊いてるのよ」

「……そんな体で、と言っているんだ」

「こんな体だから、でしょう?」


#書く予定のない小説の一部

彼女の体は蝕まれていた。それは病だった。呪いだった。いいや、正しく呪いと言うべき代物だろう。彼女は救えない体になってしまった。

「愛してくれないの?」

「……」


#書く予定のない小説の一部

「あなた、言ったわよね。何があってもお前を守ると。だから私もあなたを守ると決めたの。苦しみを分かち合おうと決意したのよ」

そこからは憎しみは見えない。彼女はぽつぽつと雨粒の降りだしのように、俺の罪を代わりに紡いでいく。それは懺悔だったのかもしれない。


#書く予定のない小説の一部

彼女のためか、俺のためか。 誰のためとも言えぬ、赦しの言葉。

「なのに、あなたはもう私を愛さないのね」

呪いは移るものだった。移せば治る。そして移った先で呪いはまた育つ。彼女の呪いは、俺のものだ。彼女は俺を抱いてくれた。


#書く予定のない小説の一部

「……抱けない」

「……知ってるわ。あなた、そういう人だったもの。そして、そんな人を愛したのも私だわ」

「すまない。俺は、お前を――」

「やめてよ。気持ち悪い」

彼女は己を身代わりにした男が、過去に愛した笑みを浮かべた。

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