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 それはある日の昼下がり。


 襲撃もなく、平和な一日だった。


 あの一言が無ければ。


 平和を破壊した一言は小さなものだった。




 「ねぇ~?パパってどんな人だったの?」





 その時、魔王城の。いや世界の時は止まった。


 俺たち四天王は「マズイ!!何とか誤魔化さねば!!」とアイコンタクトを交わした。


 「魔王ちゃん。どうしてそんな事思ったの~?」


 (((ナイス!オンジィ!!)))


 「んーとねぇ。パパも魔王だったんでしょ?どんな魔王だったのかなぁって思ったの。」


 むっ、もっともな疑問過ぎるだけに誤魔化しづらい。


 「魔王様、少々お待ちください。」


 「うん。分かったー。待ってるねー。」



 俺たちはそそくさと離れて4人で円になって小声で相談を始めた。


 「ワシはそろそろ話し始めても問題ないのではないかと思うぞ。」


 「僕もそう思うなぁ~。」


 「いや、俺は反対だな。」


 俺は毅然と反対した。


 「むっ、何故じゃ?」


 ムサいオッサンの顔が近づいて、実に暑苦しい。


 「待て待て。冷静に考えろ。先代の話をするとどうなる?おまえらアレのやったことを魔王様に伝えてよいと思うか?」


 「クレド、御主人様の事をアレ呼ばわりとは良い度胸ですね。後で覚えていなさい。」


 いつの間にか俺に死亡フラグが立ってる!?


 「むぅ、確かにのう。アヤツはイメージと思い込み、それにバカげた魔力のみで様々なことをやっとるからのう。」


 「そうだね~。僕も魔王ちゃんがドラゴンを食べて、背中から羽が生えたりとかしてほしくないかな~。」


 「あぁ、あれな。俺、口から魂漏れそうなほどビビったわ。アレが『むっ、イケそうな気がする!』とか言ったら、バサっと生えたもんな。どこの天○飯かと思ったわ。」


 「御主人様は、相手を食べれば相手の能力を取得できると思い込んでいましたからね。」


 さすがのパルもアレの所業に呆れていたのだろう。声色に諦めが感じられる。


 「僕はね~。植物が光合成するって話をした時に~、自分も植物を食べてるからできるはずだ~!って本当に光合成した時はビックリしたな~。」


 「あぁ。あの時はマイナスイオン出まくってたな!いやー、癒されないマイナスイオンだったな!」


 「御主人様は、自然に御優しい方でしたから。」


 パルの必死のフォローが空しく響く。 


 「アヤツはワシに素手で挑んできたかと思えば、変身!とか言って巨人化して殴りかかってきたしのう。」


 「ほほう。そんなことまであったのか?もはや何でもアリだな。」


 「御主人様は世界最強のお方でしたから。」


 うんうん。全員が納得してしまったよ。


 「つまりだ。お前はあんな可愛い魔王様に『君のパパは巨大化したり、光合成したり、背中からドラゴンの翼が生えたりしたんだよ』と言えるのか?ってことだ。」


 「うーん。魔王ちゃんの父親のイメージが粉々になってしまいそうだよね~」


 「御主人様はご立派な方でしたが、魔王様に真似されてしまうのも問題です。」


 「確かにのう。魔王様の背中から翼が生えても・・・むぅ、それもアリかのう。」


 「アリかのう、じゃねえよ!!ロリは黙ってろ!!」


 「ふんっ!ロリコンにも五分の魂じゃ!!」


 虫どころかドラゴンのくせにっ!!何分くらいの魂があるんだよ!!!


 「ということで、今回は誤魔化すということにした方が良いと俺は思う。さぁ、皆。ファイナルアンサー?」


 「むぅ、仕方ないかのう。」


 「そうだね~。」


 「そうですね。いずれ折を見てということに致しましょう。」


 渋々と頷く俺たちは意思を統一して、改めて魔王様のところへ移動した。


 「魔王様のパパはね。」


 「うん。」


 「「「「立派で強い人だったんだよ」」」」 





 アレは確かに凄まじい存在だったなぁ。


 未だにただの人間だったとは信じられないわ。

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