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 オンジィが帰ってきてから2週間ほどが経過した。


 その間にも、盗む対策の格闘家集団が来てオッサンに一掃されたり、パルに電子ジャーにぶち込まれそうになったり、伯爵とエロ談義をしたり、魔王様と遊んだりする合間に度々お亡くなりになっていた俺。


 「必敗」の二つ名は伊達ではありません。



 そんな中、変わったお客さんが門の前にやってきた。


 生きとし生ける者の敵と言われている悪魔である。


 ある意味、俺たち魔王軍と同じ立場の悲しい奴ら。そして、敵の敵は味方!ってことで俺らと仲良し・・・・


 という訳でもない。


 

 そもそも悪魔たちは人間たちが言うような生きとし生ける者の敵などという存在ではない。


 悪魔は異なる世界からやってくる高次の存在であり、生まれた当初は意思もほとんどなく、肉体も無く漂うだけの概念的な存在にすぎない。


 ほとんどがそのまま空気中に溶け込んだり、大地に還っていって世界に魔力が満ちていく。


 但し、稀に意思を持つようになって受肉する者がおり、人間らはこういったものを悪魔と呼称している。


 悪魔は受肉することでより意思がハッキリし、自身がこの世界の生物に比べて高次の存在であることを自覚する。


 そのため、基本的にこの世界の生物を敵とか味方とかいう認識を持たない。


 わかりやすく言えば、人間が虫を見て敵・味方と見るかという感じに近い。



 つまり、悪魔というのは敵でも味方でもない。


 しかし、悪魔は高い戦闘能力を有しているため、意識しないで取った行動で大きな被害が発生したり、人間らに絡まれて返り討ちにしたりすることがある。


 人間どもは俺らを同一視してるから、そのせいで悪魔の行動による被害まで俺らのせいになるという涙が止まらないことになっています。


 本当は天災みたいなものなのにねっ!!



 「で、悪魔様はここに何の御用で?」


 目の前に降り立った悪魔に話しかける。


 青白い肌に銀髪、怜悧な印象を与える切れ長のアイスブルーの瞳。中性的な顔立ちで10人いれば10人が振り返るほどの美貌である。


 雌雄の判別はできないが、そもそも悪魔に雌雄はない。


 

 ちっ、いちいちイケメンとか何でなんだ?後で魔王様の頭でも撫でて癒されないと!


 「答える必要があるのか?世界に帰る、その門を通せ。」


 くっ、声までイケメンとか許すまじ!!!撫でるだけじゃなくて抱っこまでしてやるっ!!


 「まぁまぁ、そう言うなよ。まっ、帰りたいなら好きに通ればいいさ。」


 「むっ、貴様は・・・まぁよい。では、通らせてもらうぞ。」


 「へいへい、良い旅路を~」


 何か気になることがあるのか知らんが、悪魔は門を通って去って行った。



 そう。魔王城は高次の世界と繋がってる唯一の場所なので、悪魔はここからやってきて、ここから去っていく。


 そのせいで人間らには悪魔を召還しているなどと思われているんだろう。大変良い迷惑ですっ!!



 悪魔はどうもある程度世界を回り、自分の興味が満たされると満足するのか帰っていくためにここにやって来る。


 その際は、問題が起きないように慎重に送り出すというのが魔王城クオリティー!


 魔王軍は勝てない相手とは戦いません!!



 ふぅぅ。今日は思わぬ相手の対応で精神的に疲れたなぁ~。


 もう帰って癒されて寝るか~。



 夜、魔王城では魔王の笑い声とパルの投げたしゃもじがクレドの顔に突き刺さる鈍い音が響き渡った。

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