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説明回です

 「人は何で戦争なんてするのかなぁ~。」


 「何を気持ち悪いこと言ってるんですか?魔王様の教育によくないのでそういった下品なものは自室で見てください。」


 「うおっ!」


 伯爵のお土産で賢者タイムに突入してしまったせいで、パルが来たのに気付かなかった。油断した。


 心なしかゴミを見るような視線を感じる。背筋にゾクッとくるわぁ。


 パルは翻し、オンジィに向かって一礼する。


 「オンジィ様。おかえりなさいませ。」


 「うん。ただいま~メイドちゃん。はい~、今回のお土産~。」


 「いつもありがとうございます。受け取らせていただきます。」


 パルはオンジィから大量の食材を受け取り、改めて一礼した。


 「それでは、冷蔵庫に保管いたしますので、ここで失礼いたします。」


 「おう。いってらっしゃーい。」


 パルは相変わらず無駄のない動きで厨房へと移動していった。何という無駄な技術の使い方。


 「それで、クレド~。ちゃんと呪いは残ってる~。掛け直さなくて大丈夫~?」


 「あぁ、大丈夫、大丈夫。今日もしっかり殺されたときにレベルドレイン発動してたみたいだし。」


 そう、最凶の四天王と呼ばれる理由はそこにある。


 ①俺が相手の装備品をパクって殺される。

 

 ②呪われている俺を殺したパーティー相手にレベルドレインが発動する。


 ③最低レベルまで弱体化したところで黒龍バージョンのドンが登場。敵を倒して、人里まで捨てに行く。


 今のところ、このコンボを突破した相手はいない。


 ちなみに、ドンを倒すと次の門はパルが守っているのだが、パルの門は本人の魔法で空間を断絶しているので、事実上突破はできないという無理ゲー仕様となっているのだ。


 そりゃ守ろうとしてるんだから、あえて通れる可能性を残すような真似はしてない。現実は厳しいのである。


 では、何故そんな無理ゲーをひたすらに人間どもが襲ってくるのか?


 これは魔王城の経済状況とも関係があるのだが、人間の知らない隠された魔王軍の運営システムがあるのだ。


 ④俺がパクった装備品を魔法で人間に化けた伯爵が売却しに行く。


 ⑤その金で食料品などのお土産を購入するとともに金銭を溜める。 


 ⑥王都や街に行くついでに、王族や貴族などの有力者に正体を晒して四天王だと名乗りを上げて呪いを掛ける。

 

 ちなみに、呪いの内容は寝ているときに必ず足が攣るとか玉座に座ると腹痛に見舞われるなど絶妙な嫌がらせとなっている。


 しかも、伯爵は呪いの達人なうえ、呪いが軽い分超強力で解呪は事実上できないという代物。


 おかげで王城や貴族の屋敷では毎日のように悲鳴が聞こえてくるらしい。想像すると笑いが止まらんのです、ハッハッハ。


 そのため、呪いを解くためにもオンジィを倒そうと乗り込んでくる。


 つまり、襲ってきた人間たちというお客様のおかげで俺たちは生活できているという見事なサイクルになっているのだーーー!!!


 ちなみに、色々と理由はあるが、基本的には命を保証することで気軽に来ていただく&レベルドレインでレベルを最低にまで低下させた相手が再来するのを期待しているという凄まじく人に優しくないリサイクルシステムになっている。


 「改めて考えると、俺たち酷いことしてるなっ!!いやっ、俺以外だけど。」


 「そうだね~。考えたの君だけどね~。」


 「うっ。まぁ、生きるってのは厳しく辛いことなんだなぁ~。」


 こんなに酷いことにも上手いこと行くとも思ってなかったんだよぉ~。


 「でも、ほらっ!俺はアレだよ。呪いで弱体化したり、敵味方合わせて唯一毎回死んでるんだから良いんだよっ!!」


 そう。俺は呪いで弱体化してるがそれにも理由がある。


 復活には魔王様の魔力が必要なのだが、弱い奴ほど少ない魔力で復活できる。


 ついでに、俺の死亡がきっかけで発動するレベルドレインをより強力なものにするためには、オンジィよりも弱ければ弱いほど良い。


 そのため、オンジィの呪いで弱体化させているのだ。


 ステータスを表示できるとすれば、こんな感じだろうか?


 HP 1/1 MP0/0

 力    1

 体力   1

 素早さ  120

 魔力   1

 精神力  1

 運の良さ 255(カンスト)

 状態:レベルドレイン(超)の呪い。ステータスダウン(超)の呪い。

 スキル:盗む・ぶんどる(運の良さの数値で成功率に補正が掛かる)、精神異常無効


 うむっ、ス○ランカーもビックリだな。段差でもアッサリ死亡だ。



 強気な俺の口調に対して、全く気にせず答える伯爵。


 「それはそうかもしれないけどさ~。でも、僕も色々と細々と働いてるし~。他の皆もそうだと思うよ~。ドンは撃退とお見送り~。メイドちゃんは家事と魔王ちゃんの教育~。」


 「ぐっ。」


 確かに、サボってる奴なんていねぇ。俺は反論の余地が無いことに絶望したっ!!


 「わかったよっ!!もう寝るっ!!」


 「うん、おやすみ~。」


 骸骨に手を振られて見送られるという光景は一般人が見たらゾッとするものだろうが、俺は何故かホッとした。

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