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 また今日も懲りずに人間が攻めてきた。


 いつもいつもいつもいっつも同じようにやられるのに毎日のように攻めてくる。


 一体、何を考えているのか?反省とかないのか?


 そして、今日もいつもと同じように俺は人間たちに倒されるのだ。


 それでも、俺は「最凶の四天王のクレド」として、今日も人間どもを恐怖に落とすのだ。


 「ふははははっ!!!」




 

 調子に乗り過ぎて、今日も死んできました。てへっ。


 今日の勇者たちはエグかったなぁ。


 名乗りを上げてる最中に攻撃してくるなんて、騎士道精神とか無いのかね?


 「我が名は四天王筆頭のクレド!命を惜しボエッ・・」って感じで殺されちゃった。

 

 全くこんなにダンディーなのに、キャラ違いな可愛い声あげちゃったよ。


 今後どんな顔して戦えばいいんだ?


 「可愛いキャラなのに、頑張ってる。ププッ」とか思われたらどうしようかな?いっそそっち系にキャラ変更すべきか?モテちゃうかもなぁ。



 「ぐふふふふっ。」

 

 「おかえりー!」

 

 「あっ、魔王様。今日も復活させてもらってあざーっす。」


 そう、目の前には俺を毎日のように(日によっては数回)、俺を復活させてくれる魔王様が立っている。


 うん。今日も実に良い幼女だ。


 まるまるほっぺに柔らかい茶色の長い髪、ぱっちりおめめ。120センチほどの小柄な体。

 

 ついつい頭を撫でてしまうほどに可愛い。


 

 「もう今日は侵入者はないっすかね?なら、晩飯でも食べに行きましょう。俺、もう腹減りましたよ。」


 「そうだねー。じゃあ行こっか?」


 俺はいつものように魔王様の手を握って一緒に階段を上って食堂に移動することにした。


 「はぁー、何でここの階段って一段一段高いのかなぁ。魔王様だと落ちそうで怖いんだけどなぁ。手を繋がないと危ないよなぁ」と心の中で言い訳しながら、俺は今日も幼女と過ごす毎日にヒャッハーするのさ!!



 

 食堂のドアを開けるとテーブルの上には美味そうな料理が既にスタンバってるやないかーーぶへっ!


 「何しやがるパルっ!!!今日も頑張ってデスマーチ、本当に死ぬまで働いてきた俺に向かっブベラルっ!!スイマセン、まったく理由は分かりませんが、再度死にそうなんで黙ってフライパンを私に直撃させ続けるのは止めてもらえませんか?出来れば理由を説明して頂けるとありがたいのですが。」


 俺の目の前には、表情筋が死亡したとしか思えないほど無表情のメイドが立っている。


 そう、こいつがパルだ。


 無表情なくせに喜怒哀楽全ての感情が背中から漏れるので直ぐに分かるという謎の表現をしている。


 すぐに暴力に及ぶのだが、嫌いになれない。だって、とても綺麗なんだもの、うへへっ。

 

 大理石のように滑らかな褐色の肌に絹糸のような銀髪。スレンダーなのに超破壊力のボインボイン!そうっ、ボインボインっ!!ダークエルフっ!!実にすばらしい。ダークエロフなら尚良いっ!!


 切れ長な眼と無表情で折檻を受けると新たな境地が開けそうで怖い。一番怖いのはそれもアリかもと思いつつある俺の変化。


 ちなみに、人間どもに知られてない唯一の四天王でもある。

 

 実は人間らを四天王三人で抑え込んでいるので出番がないのだが、俺らが四天王を連呼しているせいで、名前、姿、能力が全て秘匿された四天王最後の一人がいることになっている。 


 それがコイツ。四天王には全員に2つ名があるが、こいつは「不闘」という2つ名を持っている。ちっ、悔しい。俺なんて「必敗」なのに、くぅ~。 


 

 俺の思考を呼んだのだろうか?どことなくパルの背中から虫けらを見るがごとく見下しているオーラを感じる。


 ゾクゾクしてきやがるぜぃ!!と思ってたら、パルが口を開いた。


 「まずは、魔王様。クレドと話すことがありますので、少々耳を塞いでお待ちいただけますか?」


 「うん、わかった~。」


 素直な幼女魔王は俺の手を放し、そっと耳を塞いだ。何か手が寂しい。


 「さて、クレド。前にも言った通り、魔王様に触れないでください。手を通してバカが皮膚から感染します。」 


 「そんなわけあるかっ!それなら、俺と戦った野郎ども全員バカになってるわっ!!」


 「だから、人間は同じように撃退され続けてるんじゃないですか?」


 「むっ!?一理ある・・・のか?まぁ、いい。とりあえず腹が減ったから飯を食おう。魔王様もしっかりと食べて大きくならないとな。特に胸をゲラァ!!」


 俺は飛んで鳥になった。螺旋を描くように回転しながら3メートルくらいの極めて短時間だが、俺は鳥になった。そうそのはずだっ!


 そのまま壁にめり込まされ、身動き一つとれなくなってるけどなっ!!


 目の前には仁王立ちしてるオッサンがいる。


 何か目が血走っててスゲー怖い。対応を誤ったら即死しそうな濃密な気配を感じる。


 オッサンだからいちいち容姿を取り上げる必要はないが、まぁ見た目はダンディなオッサンだ。円月青竜刀を持たせて赤い馬で無双やらせたい。オッサンの正体は黒龍なので本当に無双できそうだが。


 「あのー、ドン?何故俺を壁と一体化させたのかな?悪いけど透過するとかそういうマジックはできないよ俺。ほら、身動き一つできないもの。」


 「黙れ小僧!魔王様はそのままの姿が至高なのだ!貴様の言う胸の育ったロリ巨乳というのは巨乳の一種であり、ワシらローリーの求めるものではないのだ!わかったか?わかったら二度とそのようなことを言うなっ!!!」


 さすがだっ!全くブレないその姿勢、尊敬に値するっ!!成人巨乳派の俺と分かり合うことはないだろうけどなっ!!


 なんて残念な龍なんだ。最強種だっていうのにロリコン。ロリコンなのに最強種。何か深く考えると涙が出てきそうだわ。


 気づけば、ドンの後ろにパルが移動し、そっと囁くような声が響いた。


 「ドン様。魔王様の前でそのようなことを仰るのは御控え下さい。御理解頂けないとどうなるか?おわかりですよね?」


 「う、うむ。分かった今後は気を付けよう。」


 俺と同じものがドンにも見えたのだろう。ドンは心なしか顔色が青く、脂汗をかきながら必死に頷いている。


 まるでパルが命を刈り取る死神のように見えたよ。


 メイドにすら勝てない最強種。でも、笑えないし情けないとも思えない。だって、今のパルには神ですら勝てなさそうなんだもの。


 「では、皆さん。食事を取ることに致しましょう。」


 「「イエス!マムっ!!!」」

 

 オッサンに壁から救出され、皆が席に着きようやく食事をとることができた。


 少し冷めてしまっていたが、皆で取る食事はやはり美味しかった。



 食後の御茶を取りながら、ふと口を開く。


 「そういやぁオンジィはどこ行ったんだ?」


 「ワシも朝から見とらんぞ。」


 「私も~。」


 「ん?何だ誰も知らないの?珍しいな。」


 「オンジィ様ならば、いつものように撒き餌に行きました。」


 「げっ。またかよ。来週あたり侵攻が増えそうだなぁ。」


 俺はため息をついて、明日以降も死にまくる予感を感じた。





 それでも、俺は。いや、


 「必勝」のドラゴンことドン


 「釣王」のリッチことオンジィ


 「不闘」のダークエルフことパル

 

 「必敗」のゴブリンシーフことクレド

 

 俺たちは最凶の四天王として魔王様を守り続けるっ!!

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