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第5話 終わって今日

「それじゃあ話せ怠惰タイダ


「うん、いいよ〜」


俺は明るい小鳥亭の一室で人化した妖刀と向き合っていた。


あの後俺たちは転送陣で遺跡の入り口近くに飛ばされた。係員に札を見せ、さらに地面が崩落して下に通路があったというところまで話した。係員に書状を渡された俺はギルドでも事情を話し、報酬を渡された。


報酬は依頼の達成額に追加で銀貨3枚も渡された。そしてギルドに貢献をしたということでランクが一つ上がってEランクになった。ただし、今回のことは暫く口外をしてはいけないと言われ、俺は宿に戻ったのであった。


そして現在


「お前の能力ってのはどういうものだ?」


「それよりも僕のことを怠惰タイダって呼ぶのやめてもらえない?僕には怠惰ベルフェゴールっていう名前があるんだよ?」


「黙れ。妖刀の癖して“七つの大罪”の悪魔の名前をしてやがって」


「呼んでくれないと教えないよ〜?」


ベルフェゴールはそう言って妖艶な笑みを浮かべて俺を見つめた。普通の男なら骨抜きにされてしまいそうな赤い瞳にじっと見つめられて俺は


「じゃあ契約解除な」


「そんな酷いっ⁉︎」


バッサリと切って捨てた。


「それが嫌ならキリキリ話せ」


「うぅ、分かったよお」


ベルフェゴールは肩をがっくりと落としてから気を取り直して説明を始めた。


「先ず僕の能力は“怠惰”に起因するよ。名前は“堕落フォーリンダウン”。精神異常系の状態異常を引き起こしたり、敵の生命活動を低下させる能力さ」


「他には無いのか?」


「無いね。僕たち大罪には一柱につき、一つの能力があるんだ。能力は一つだけといっても使用者のイメージで効果は変えられるから役不足って事はないよ?」


「それならいい。刀としてのお前の性能はどうなんだ?」


「最高級さ。階級的には特別級ユニークってとこだね」


この世界の物には階級がある。下から普通級ノーマル希少級レア超常級スーパー特別級ユニーク神話級ゴッズの五つだ。第七妖刀 怠惰が特別級ユニークなら相当な業物だろう。ちなみにだが普通級ノーマルには粗悪品もあるので気をつけなければいけない。


「じゃあ次だが他の大罪は何処にいるんだ?遺跡にはいなかっただろう?」


「それは分からないな。封印された時は一緒にいたし、あそこに居ないのならこの世界のどこかにはいると思うけど」


「ふーん。それじゃあこれからは依頼を受けながら他の大罪を探してみるかな」


「そうだね。それがいいよ」


「じゃあ、刀に戻れ」


ベルフェゴールが瞬時に刀に戻る。この第七妖刀 怠惰は紫の刀身が綺麗だ。柄は黒一色で鍔も黒いが金色のラインが入っている。鞘も黒で色合いは中々俺の好みだ。


俺はベッドの淵に畳んで置いてあった“黒いコート”を羽織って部屋を出た。


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俺がギルドに行くとギルド内はざわついていた。俺はざわついている連中を横目で見ながら掲示板から依頼書を引っぺがすと受付に向かった。


「おはよう。ざわついているけど何かあったのか?」


俺は依頼書を出しながらレナさんに尋ねた。


「おはようございます。ブルボアの討伐任務ですか、手続きしますね。それとこの喧騒の正体は《大氾濫》ですよ」


「《大氾濫》?もう起こるのか?」


本来《大氾濫》は50年から100年の周期で起こるモンスターの大量発生の事だ。増えたモンスターは人里を襲うので戦えるものは全力で相手を行う。この《大氾濫》だが、知識が確かなら20年前に起こったばかりでまだ次までには時間がある筈だった。


「いえ、確定ではないのですけど最近モンスターが各地で増えていて《大氾濫》が近いと言われているのですよ。《大氾濫》の前は例外なくモンスターの数が増えますからね」


「ふーん。それじゃあ気をつけたほうがいいな」


「そうですね。っと依頼の手続き終わりました。気をつけてくださいね」


「ああ、死なないようにやるさ」


「ふふっ。頑張ってください。そういえばその格好はどうしたんですか?」


レナさんは俺の装備を見て不思議そうにしていた。俺はそれに答えず苦笑をしながらギルドを出たのだった。


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ビートの街を出て西の街道沿いに歩きで約1時間ほど。途中でてくるゴブリンやらホーンラビットやらを狩りながら俺はブルボアの狩れる林に来ていた。隣にはグレイ、左腰には怠惰を携えている。


「グレイ、ブルボアの居場所はわかるか?」


『うむ、問題なく分かるぞ』


「それなら近くまで案内してくれ」


『分かった』


俺がグレイの後ろについて行くとブルボア2匹がちょうど食事をしていた。


「グレイはここで待ってろ。怠惰、いくぞ」


『了解した』


「分かったよー」


俺は柄に手を掛けながら地面を蹴りブルボアの前に躍り出した。食事中だった2匹は驚いて一瞬固まるが直ぐにこちらを見て攻撃しようとする。だが既に遅い。俺はこちらに近いブルボアの首目掛けて怠惰を抜刀し、居合で切り裂く。切られたブルボアは首から鮮血を飛び散らせて沈んだ。


「ブルルルルッ!」


生き残ったブルボアが俺に向かって突進してくる。距離も近く、刀を振り抜いた直後の俺には普通は避けられない。そう、俺が普通だったら。


「ガルーダのブーツ、起動」


俺のキーワードによりブーツから暴風が吹き荒れてブルボアは止まった。俺は暴風を止めて強化された脚力でブルボアの懐に入り込むと心臓を貫いたのであった。


『主よ、お疲れ様です』


「ありがとうグレイ」


俺はグレイを一通り撫で回して堪能したあとアイテムボックスにブルボア2匹分の死体をしまう。


「ねえ〜?僕は〜?」


「死ね」


「酷いっ⁉︎」


「グレイ、もう少し狩りをしてから帰るぞ」


『了解した』


俺とグレイは日が傾くまで狩りを続けた。



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俺がギルドにこれたのは日が完全に落ちてからだった。


「依頼の確認を頼む」


「テツヤさん、遅いですよ?何してたんですか?」


「ははっ、日が傾くまで狩りをしていてな。衛兵にも遅いと怒られたよ」


「無事ならいいんですけどね。依頼はブルボア三匹の討伐任務ですがブルボアの証明部位は何処ですか?」


俺はアイテムボックスからブルボア三匹分の牙を取り出すと渡した。


「はい、依頼の達成を確認しました。報酬は大銅貨3枚です」


「素材の買取は?」


「あちらのカウンターでお願いします」


「分かった」


俺はレナさんに言われた通りに別のカウンターに向かって係員に話しかけた。


「素材の買取はここでいいか?」


「おう、ここでいいぞ」


「かなりの量があるからもっと広い場所かいいんだが……」


「それならこっちだ」


俺はカウンターにいた係員のおっさんにカウンターの裏にある大きなテーブルに連れてこられた。どうやらここに出せという意味らしい。


ドサドサドサドサッ


「これで全部だ」


俺はアイテムボックスから今日の成果を全て出した。おっさんは暫くぼーっとしていたがハッとして


「よし、直ぐに金額を計算するから待ってろよ」


そう言って他の係員に声を掛けて清算に入っていった。


30分後


「終わったぞ。ゴブリンの魔石117個、ホーンラビットの魔石92個、同じく角、毛皮、肉ともに92個、ブルボアの魔石34個、毛皮、肉も34個だ。牙は31個だな。金額は金貨1枚、銀貨3枚、大銅貨9枚、銅貨1枚だ」


「分かった。ありがとな」


俺は金をアイテムボックスにしまってギルドを出た。

通貨価値

金貨=10万

銀貨=1万

大銅貨=千

銅貨=百


単位

100モール=銅貨1枚=百円



今回受けた依頼


ブルボア討伐

適正ランク D

報酬 大銅貨3枚

内容 ブルボア三匹の討伐任務

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