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第28話 真相①

戦闘が終わり、辺り一面が魔物の血溜まりになった後、そこに冒険者と騎士が駆けつけてきた。


だが、そこの惨状を見て新人の冒険者や騎士が嘔吐するのを横目に見ながら俺は冒険者と騎士の先頭にいるやつを注視した。


「お前が元Aランクとかいうやつか?」


「ああ、そうだが?」


俺に話しかけてきたのは冒険者達の先頭にいた赤毛の女だった。歳は20代前半だろうか。


女はビキニアーマーのような鎧を着用しており、腰には長剣、左腕にはラウンドシールドが付けられていた。


腰まで伸びた綺麗な赤毛と突き出した胸、くびれた腰、形のいい尻といい、こいつはモテるだろうなと何となく思った。


「ふむ、そしてギルド長を連れてこいと言ったのも君かね?」


「間違いない」


次に俺に話しかけてきたのは騎士の先頭にいた男だった。歳は恐らく50代後半くらいだろう。オールバックの白髪に短めの髭、そして鍛え抜かれたであろう身体は大きかった、


他の騎士とは違い、細かい装飾が施されたフルプレートアーマーを着用しており、手には長槍を携えている。


顔本来なら優しい顔つきなのだろうが、今は俺に向けて厳しい視線を向けてきていた。


「ふむ、ならばついてきてもらおうか」


「断る」


俺は騎士の爺の言葉を即、断る、すると冒険者の女が話しかけてきた。


「なんで?貴方は冒険者なんでしょう?」


「元冒険者だ。それにあのクソみたいなギルド長の仲間の可能性があるやつを信用できないしな」


「ならば力尽くでも連れて行くことは出来るのじゃよ?」


「ほぅ、やってみろよ?」


俺は魔力を垂れ流しつつ威圧をする。何人かを除いてこの場にいる冒険者と騎士は倒れて尻をついた。


冒険者の女と騎士の爺は立ってはいるが顔が恐怖に歪んでいる。


「さて、動けないみたいだし俺は無駄が嫌いなんだ。質問に答えてもらおう。ギルド長はどこだ?」


「わ、我々の詰め所で拘束してある」


爺は喋ってくれたので威圧を止め、魔力も止める。すると倒れていたやつや立っていたやつも安堵の息をついた。


「じゃ、行きますか」


俺がそう言うと周りの奴らは首を傾げつつも俺を案内する。数人から敵意を感じるが、ここにいるほとんどの奴らは俺に対して恐怖、畏怖を抱いているのであまり危険はないだろう。


俺たちは歩いてしばらくして騎士達の詰め所に着いた。俺は他の騎士達の言葉を聞かずにズカズカと中に入っていく。


俺は魔力を耳周辺に集中させ、聴力を強化していた。聞こえてくるあのギルドマスターの声を頼りに歩いていく。そして俺は一つの部屋の前で止まった。


ズガァッ!


「なっ、なんだ⁉︎」


俺はその部屋の扉を蹴破った。中にはあのギルドマスターと3人の騎士がいた。


騎士は俺の姿を見るとすぐさま腰から剣を抜いて俺に向ける。


「貴様!ここがどこだとわかっ⁉︎」


「五月蝿い」


俺は正面にいた騎士を魔力で身体強化しつつ脚に魔力を多めに込めて蹴り飛ばした。蹴られた騎士はそのまま地面と平行に吹っ飛び、壁に激突して動かなくなった。


「この野郎がっ‼︎」


「ふんっ!」


残った2人の騎士が俺に左右から切りかかってくるが俺はその剣を素手で(・・・)掴んで止めた。


「「なっ⁉︎」」


「暫く寝てろ」


俺は剣を掴んだまま電撃を流して2人の騎士を感電させて気絶させた。そしてギルドマスターに向き直ると、そいつはここから逃げようと地面を這っていた。


「おい、どこに行くつもりだ?ああ?」


「お前には関係ないだろう!退け!」


「ああ、確かに俺には関係ないだろうな。だが、ここの住民達には関係あるんだろうが」


「なにを…ぐっ⁉︎」


俺は逃げようとするギルドマスターの首を掴んで片手で持ち上げる。ちょうど喉に手が食い込んで息が出来ないだろうが知ったことじゃない。


「あなた!なにをしているの!」


「そうだ!彼を離せ!」


「ああ?」


後ろを見ると追いついてきたのか爺と女が立っていた。俺はそれを一瞥するとすぐに目をそらす。


「こいつらは放っておくとしてだ。お前、【海神の宝玉】をどこにやった?」


「なっ!」


「うそ…」


「なにを…」


俺のその言葉にギルドマスター、女、爺は絶句したようだった。


【海神の宝玉】とは、この港都市アーネの近くの海中にある海底洞窟の中にある神殿に収められている宝玉だそうだ。


なんでも遠い昔に海神とここに住む人間が交わした契約により、その宝玉を献上した人間に対してアーネの近海では魔物は襲わせないという契約が成立していたそうだ。


だが、この間俺が潰したモブ盗賊団によると盗賊、冒険者崩れなどを使ってこいつはその宝玉をとって来させたのだそうだ。


つまり、こいつはその宝玉の現在の在り処を知っているはずだ。


「さあ、話せ。これでお前もおしまいだなぁ。ははははっ!」


俺の言葉を受けてギルドマスターは顔を真っ青にさせて震えていた。

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