第2話 ギルド登録
目の前にはそれなりの大きさの壁と門、そして門兵らしき二人組が見えた。
「街に入りたいんだが」
「目的は?」
「冒険者ギルドへの登録だ。だから今は身分証はない」
「じゃあ身分証が出来たらここへもう一度来てくれ。仮身分証を作るけど効力は三日間だから気をつけろよ。値段は銀貨3枚だ」
「分かった、ありがとな。ギルドの場所を教えてもらえるか?」
「大通りを真っ直ぐ行って三本目の道を左だ」
「分かった。んじゃな」
「おう、ようこそビートの街へ」
俺は無事に街に入った。ちなみにだがグレイはいない。林の中で狩りをしているように言っておいたので次行くときにはレベルも上がっているだろう。
教えてもらったとおりに進むと四階建てのビルくらいのサイズの建物があり、看板には《冒険者ギルド》と書かれていた。外見はまさにギルドと言った感じだ。俺は扉を開き、中に入るとギルド併設の酒場で酒臭いおっさん達が騒いでいた。そちらは無視をして受付に進む。もちろん、受付は女性だ。
「冒険者登録をしに来た」
「あ、はい。登録ですね。こちらの用紙に記入をお願いします。代筆は必要ですか?」
「いや、必要ない」
受け取った用紙に名前、出身、戦闘スタイルなどを書いていく。
「これでいいか?」
「確認させてもらいますね。名前はテツヤ・タニグチ、出身はニホン?ですか?どこらへんでしょう?」
「山奥にある隠れ里みたいなもんだ。聞いたことないだろ?」
「そうですね。次に戦闘スタイルは剣術とモンスターテイムですか?失礼ですがモンスターが見当たりませんが」
「今は外に出してあるさ。それよりも問題はないのなら早く進めてくれるか?」
「あっ、はい。わかりました。」
受付嬢はパパパッと残りの記入事項を確認し、箱のようなものに打ち込んでいくと金属で出来たカードが出てきた。
「それではこちらのカードに血を一滴垂らしてください。それで登録は完了です」
ナイフで指先を切って血を一滴垂らしてカードが薄く光ったことを確認すると俺は受付嬢に渡した。
「これでいいか?」
「はい、これで登録は完了です。ギルドの説明は聞きますか?」
「よろしく頼む」
「わかりました。まずギルドにはランクがあり、一番下からFランク、一番上がSSSランクです。ランクは依頼をこなしていくと上昇します。依頼はボードに貼ってあるのでそこから受けてください。ランクが一つ上のものまで依頼を受けることが出来ます。次に税金についてですが冒険者は免除されます。が、冒険者には《大氾濫》のときには必ず参加しなければいけないという義務が発生します。他にも細かなルールはありますが、義務と大きく分けて二つのルールは絶対に守ってください」
曰く、
一つ、問題行動を起こして兵の世話になるな。冒険者全員の質が悪くなるから。
一つ、冒険者は全てが自己責任なので何があってもギルドには文句を言うな。
という二つを守れと言われた。
「以上で説明を終わります。他に何か聞いておきたいことはありますか?」
「あ、ここらでいい宿を知っていたら教えて欲しい」
「ギルドを出て右に三軒隣に《明るい小鳥亭》という宿があります。安く、食堂も併設しているのでちょうどいいでしょう」
「分かった。そんじゃ失礼しました」
俺はギルドカードを持ってギルドを出た。右に三軒隣にある明るい小鳥亭を見つけて中に入った。
「いらっしゃい、食事か?宿泊かい?」
「宿泊で頼む」
「いつまでだい?一泊大銅貨2枚だよ」
「とりあえず五日頼む」
俺はポケットから出すふりをしてアイテムボックスから銀貨1枚を取り出す。
「はいよ。部屋は二階の奥から二番目だ。鍵はこれ。外出するときは一言言って鍵を預けてくれよ。食事は朝と夜につく。何か質問は?」
「いや、ないよ。それじゃあ部屋で休ませてもらう」
俺はそう言って部屋に入ってそのまま寝た。ちなみに夕食は意外にうまかった。




