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第23話 到着

「今日はここで野営して寝るぞ」


「「はーい!」」


ビートの街を出て南に2日ほど、明日の昼前には港都市アーネに着く所まで来ていた。普通はどんなに急いでも1週間はかかるのだが、俺たちはグレイとクリアに乗って移動していた為にかなり早く移動できていた。


あ、ちなみにクリアとは大氾濫の時にテイムしたワイバーン亜種の事だ。名前はグレイと同じで安直だが本竜?は気に入っているので問題はない。


俺はアイテムボックスからテント、食料、調理器具を出して食事の準備をする。シロとハクはテントをアンチと一緒に設置している。


買ってあった薪に火をつけて焚き火をする。鍋を火に乗せて沸騰前まで沸かし、干し肉、野菜を鍋に入れる。最後に溶いた卵を入れてスープの完成だ。


次はパンを何枚かに切り分けて火で炙る。リンゴのような果物は芯を避けて6つに切り分ける。これで俺とシロ、ハクの食事の完成だ。


グレイとクリアの食事は道中に狩ったブルボアの丸焼きだ。ちょうどブルボアを焼き終わった頃に2人と一機は戻ってきた。


「いただきます」


「「いただきまーす!」」


『『いただきます』』


俺はグレイとクリアがブルボアを食べているのを見ながらスープに口をつける。うん、美味いな。今回も上手くできたみたいだ。


そのまま食べ続けて空になった食器は洗ってアイテムボックスに仕舞った。アンチに魔力を込めてから火の番をするように言ってからテントに入ってシロとハクに抱きつかれながら眠った。


次の日の朝、朝食を食べたあとテントをアイテムボックスに仕舞ってアーネに向かう。俺はクリア、シロとハクはグレイに乗って3時間ほど進み続けると街が見えた。


「あれがアーネか」


結構前から強化された嗅覚に海の香りがしていたからそろそろだと思っていたが、その都市は想像していたよりも大きく、圧倒された。


「門の側に下りろ」


クリアは俺が命令した通りに門の近くに翼を羽ばたかせて降りた。グレイは地面を走ってこちらに来る。


「貴様ら何者だ⁉︎」


「あ?」


門のところにいた衛兵が俺達に向かって槍を構えている。衛兵は直接俺に槍を向けているのが二人、後ろに警戒をしているのが四人いる。


「なんだお前ら?いきなり槍なんて向けてきやがって」


「魔物を連れた怪しいヤツめ!今すぐ立ち去れ!」


「はあ?テイマーなんて他にもいるだろうが」


「煩い!今すぐ立ち去れ!」


「この大バカ野郎が…」


俺がキレかけて怠惰に手をかけたその時、新しい気配がやってきた。


「この馬鹿者が!こいつは冒険者だ!さっさと配置に戻れ!」


「隊長⁉︎」


「あんたがテツヤか?話はルルイスから聞いてる。部下がすまなかったな」


俺の前にいるのは衛兵の鎧に身を包んだ40代くらいの男だ。男は申し訳なさそうな顔をしていた。


「ルルイスってあのダークエルフのギルド長か?」


「そうだ。あいつがお前の事をよろしくと言ってきたからな」


「そうか、分かった。で?」


「で?とは?」


男は俺の言葉に首をかしげる。俺の聞きたいことがわかってないようだ。


「この衛兵が、いや、都市全体が神経質になってる理由だよ」


「ああ、そういうことか。ここじゃなんだから取り敢えず都市内に入ってくれ。従魔は首輪を……」


「グレイ、クリア。中に入っててくれ」


俺がグレイとクリアをモンスターハウスに入らせると男は驚いたのか固まっていた。


「別にこれでいいだろ?中に入ろうぜ」


「……ああ、分かった。こっちだ付いてきてくれ」


「シロとハクも来い」


「「はい!」」


俺は男の先導に従って歩いていく。兵士の詰所らしき場所に入り、部隊長室と書かれた部屋に入った。


男は部屋の中にあるソファに座って俺にも着席を促した。俺は男の対面に座って足を組む。シロとハクは俺の左右に座った。


「それじゃあ改めて自己紹介だ。俺の名前はロック・ブルレオ。ここ港都市アーネで衛兵隊の隊長をやってる。ルルイスは俺がガキの頃に世話になったから今でも頭が上がんねえ」


「ふーん。まあいい。俺の名前はテツヤ タニグチ。冒険者をやってる。ランクはBだ」


「シロです!」


「ハクです!」


「まあよろしく頼む。宿を取ってからでもいいからできるだけ早めにギルドに行っておいてくれ」


「それは別にいいがなんでだ?」


「この間の大氾濫で活躍したお前ら3人はランクアップだ。その手続きだとよ」


「分かった。で?今この都市にはなにが起きてる?」


「はあ…」


男……ロックはため息を一つ吐いてソファに腰を深く落としてから話し始めた。


「この都市の様子がおかしいのは最近起きている襲撃のせいだ」


「襲撃?」


「海の魔物のな。最初は少し魔物が増えたきたか?って程度だったんだが最近は強力な魔物から未確認の魔物まで出てきてな。船も沈められることが多くなってきたんだ」


「魔物の襲撃ねぇ。大氾濫か?」


「可能性はかなり高いな」


「魔物の種類はどんなのだ?」


「海の魔物、つまり水棲の魔物が大半だが水陸両用の魔物もいて油断ならない状況だ。この間はとんでもないデカさのシードラゴンまで出てきて海岸は壊滅状態だ」


「つまり魔物の襲撃で都市が壊され、人も死んでるからテイマーの魔物にまで神経質になってるわけか」


「あとは魔物が食料を奪っていくのも問題だな。蓄えがどんどん少なくなっている」


「分かった。説明感謝する」


俺は立ち上がって部屋から出て行く。途中、他の衛兵が苦々しい顔でこっちを見ていたが無視だ。


「宿をとったら今日は休む。んで明日はギルドに行くぞ」


「「はい!」」


衛兵の詰所から出た俺たちは近くの数人にオススメの宿を聞いて全員が同じ【狐のお面亭】と答えたのでそこに泊まることにした。


「おやすみ」


「「おやすみなさい、マスター」」


俺はベットに横になって、そのまま眠りについた。



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