表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/57

第18話 大氾濫②

「グレイプニル、起動」


左右のウィップグローブから計10本のグレイプニルがジャラジャラと飛び出していく。そのグレイプニルの先端には黒鋼製の鉤爪が付いている。敵の魔物の軍の先頭部隊に伸びていったグレイプニルはその鉤爪で次々と敵を切り裂いていく。


氷弾アイスバレット


氷魔法で生み出した氷の弾丸が俺の周りに浮かぶ。その数、500発を超えて現在も増え続けている。その数が1000に届きそうになったとき、すべての氷の弾丸が敵に向かって撃ち出された。


グレイプニルに切り裂かれ、氷弾アイスバレットに撃ち抜かれた魔物の先頭部隊は壊滅状態だ。俺は混乱する魔物の中へと飛び込む。


「てめぇらあ!テツヤに続けぇー‼︎」


「「「「「「「おっしゃぁぁぁぁぁぁあ‼︎」」」」」」」


ドドドドドッと音を立ててレウスが指示する冒険者たちが魔物へと特攻していく。中にはシロとハクもいて、二人はレウスについて行ってるようだ。


「シィッ!」


俺に殴りかかってきたオークの棍棒を半歩下がって避け、半円状に抜刀して振り抜く。俺を囲もうと動いていたオークは上半身と下半身を別れさせて倒れた。


レウスの周りには大量のゴブリンがまとわりついている。レウスが大剣を振るうたびに千切れ飛んでいて、無双状態だ。これならレウスは心配いらないだろう。


シロとハクはスケルトンたちに無属性魔法“弾丸バレット”を撃ち込んで破壊していく。近づいてきた他の魔物も剣を使ってきっちり対処できているようだ。こちらも心配いらないだろう。


俺は周りにいるオークやオーガを斬り捨てると後ろに大きく跳んだ。


「レウス!今からちょっと多めの従魔を出すから攻撃しないようにしてくれ!」


「わかった!というかそんなのがあるなら最初から出せ!」


レウスの文句は聞こえない。俺はとある特殊スキルを使って俺の従魔たちを呼び出す。


「モンスターハウス、開門」


瞬間、俺の前の空間に亀裂が入ってひろがり、そこから大量のグールが飛び出してくる。グールが出終わると残ったデュラハンがガシャガシャ音を立てながら出てきた。すべての従魔が出終わると亀裂がはいった空間は元に戻る。


俺は俺の前に整列した従魔にニッコリと嗤って命令を下す。


「殺せ」


その命令を出した途端にグールは敵の魔物に飛びかかっていく。グールに喰われた所から侵食が始まり、侵食が終わるとゾンビ化する。そしてゾンビ化した魔物は俺の支配下に入る。デュラハンは長剣と盾を使った騎士のような連携をとった戦法でドンドンと魔物を屠っていく。


「テツヤー!何処が“ちょっと”多めだ馬鹿野郎!」


「細かいことを気にすんな。ハゲるぞ?」


「全く細かくねえ⁉︎」


「いいから、行くぞ」


「後で説教だ馬鹿野郎!」


俺と、怒鳴ったレウスは未だに数多くいる魔物に斬りかかる。ロックリザードをレウスの大剣が叩き切り、クイーンマンティスを俺の怠惰が切り裂く。


空から襲ってきたホーンバードをグレイプニルで迎え討ち、俺の隙に突進してきたアーマーホーンをレウスが吹き飛ばす。レウスのガラ空きの背中に向かってきたキラービーを俺が影で纏めて握りつぶす。


そうやって戦い始めて一時間ほどした時だった。冒険者たちは疲労が目立ち始めており、流石に俺もレウスも最前線で戦い続けたせいで何度か攻撃を受けてしまい傷ついていた。アンチに対処を任せて二人で一旦下がってポーションをがぶ飲みしていると、誰かも分からない冒険者の声が聞こえた。


「わ、ワイバーンの群れだー‼︎」


「なんだって⁉︎」


レウスが顔を驚愕に染める。ワイバーンはBランクパーティでなんとかギリギリで倒せる程度の魔物だ。亜竜と呼ばれ、その身体は余すところなく使うことができる。通常、ワイバーンは単体で行動するが偶にこうして群れで現れるとSランクレベルとして考えなければいけない。


レウスや冒険者たちは軽く絶望しているが俺はまあ、なんとかなるだろうと思いながら残りのポーションを飲み、瓶を投げ捨てる。そのまま視力を強化してワイバーンの群れを注視した。するとその中には





名前 なし

種族 ワイバーン(亜種)

性別 雄

年齢 117歳

レベル85


スキル

火魔法Lv5

風魔法Lv3

物理耐性Lv4

牙爪術Lv8

咆哮Lv5


特殊スキル

ブレスLv8(竜属性)


称号





「いよっしゃぁぁぁぁぁああああ‼︎」


ビクッ⁉︎


「ど、どうしたテツヤ⁉︎」


俺は思わず叫んでしまった。そのワイバーンの亜種は他の通常のワイバーンの色がカーキ色っぽい緑に対し、青かったのだ。青いワイバーン。それは俺が如何しても欲しかった魔物だ。昔、とあるゲームセンターでやったドラゴンに乗って他のドラゴンを狩るゲームでずっと俺が使っていた竜でもある。だからこそ、現実にいるなら俺は青いワイバーンが欲しかった。


しかし、青いワイバーンなんているのかわからないし、そもそもワイバーンがいるところはかなり遠いので半ば諦めていたがこんな形で出会えるとは!あれは俺のもんだ、絶対ものしてやる!


「レウス!俺はあの青いワイバーンの所に行く!てか従える!邪魔すんな!」


「まだ何も言ってねえ⁉︎てか、んなこと難しいだろ⁉︎無理だろ⁉︎素直に討伐しろ!」


「いや駄目だアレは俺のもんだ絶対俺のもんだ絶対ものしてやる!」


「いや話きけよ⁉︎」


レウスの制止を聞かずに魔物の中に走る。向かうは魔物の中心でモーニングスターを振り回し続けるアンチだ。


「アンチ!まだいけるか⁉︎」


「マダダイジョウブデス、マスター」


「わかった。いまは兎に角俺を空に思いっきり投げてくれ!そしたら一旦下がってシロとハクに合流しろ!」


「Yes、MyLord」


アンチが自分の手に俺を乗せて振りかぶる、そして全力で投擲した。俺は下がっていくアンチを確認しながら怠惰を納刀してグレイプニルを全起動させる。全力で使用したガルーダのブーツの飛行機能が俺の飛行を後押しする。俺はワイバーンの群れに突っ込んだ。


グレイプニルが空を飛ぶワイバーンに引っかかる。それを引き裂きつつ、綱渡りの要領で青いワイバーンへと向う。グレイプニルに捕まらまいとワイバーンが逃げるが容赦なく伸びたグレイプニルに引っ掛けられ、切り裂かれる。俺はもうそこまで来ている青いワイバーンに向かって飛びかかった。


「みっっつけたぁぁぁぁぁぁあ‼︎」


同時にグレイプニルの使用を終了して怠惰を抜く。青いワイバーンの真上から落下の勢いを合わせて怠惰を背中に突き刺した。


ギャオオオオオオッ⁉︎


が、物理耐性のおかけがあまり深くまで刺さらなかった。肉までは届いているが深くはない。背中に怠惰を刺され、俺に乗られているワイバーンは身体をメチャクチャに揺らして俺を振り落とそうとする。が、再起動した一部のグレイプニルで俺の身体をワイバーンに固定する。俺は怠惰を柄を持って発動させる。


悪夢ナイトメア


それは闇魔法と怠惰の堕落フォーリンダウンの合成魔法。刺さった切っ先から黒紫の魔力がワイバーンの体内に侵入していく。


「ギャオオオオオオッ⁉︎ギオッ!ギッ…ガ、ガァッ………」


意識を失ったワイバーンは落下していく。落下地点にはアンチ、そしてレウスや他の冒険者。


ヒュゥゥゥゥ……ズドォンッ‼︎


「はっはっは、ただいまみんな!」


俺はグレイプニルで縛り上げ、持ち上げたワイバーン亜種を見せながら、とてもいい笑顔で言ったのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ