第10話 異変③
更新が遅くなって申し訳ありませんっ!これから少し忙しい時期に入るので更新が不定期になるかもですが見捨てずに温かく見守っていてください。
そ・れ・と、なんと念願の第10話!二桁の台に乗りました!これからも頑張って書いて行きたいと思います!
それでは第10話、異変③どうぞ!
「武雷強化」
俺は雷魔法でつくった雷を纏ったまま亜種に向けて跳び出した。
チンッ
跳び出した次の瞬間、俺は亜種の後ろで納刀した。こちらを向いた亜種が俺を殴ろうとして、左腕が肩から落ちる。
「グッ⁉︎グオオオオオオッ⁉︎」
亜種は左腕がなくなったせいでバランスが崩れて右拳は俺に当たらなかった。何故、左腕が落ちたのか。それは勿論の事俺が斬ったからだ。
ーー武雷強化
雷魔法で生み出した雷を身体中の筋肉に通すと同時に外側にも纏わせて一時的に驚異的な身体能力を得る能力だ。デメリットとしては無理やり身体能力を上げるので負担が大きく、分単位での使用が出来ない事が言えるだろう。
「ガアアアアッアアアアアア‼︎」
亜種が咆哮をあげる。咆哮の範囲にいた多数の冒険者が怯んだ。が、俺には効かない。怠惰に手を掛け、何時でも抜けるように腰を落とす。
「安心しろ。気付いた時には死んでる」
「ガアアアアアアアア!」
ブオッ!
亜種が蹴りを放つ。
シッバチィンッ!!!
俺は雷を纏わせつつ怠惰を振り抜いた。
ーーズッ……ドサッ
亜種の首が落ちた。
うおおおおおおおおおおっ‼︎周りの冒険者達が叫んだ。俺が亜種を討ち取ったことで士気が上がったらしい。
「テツヤ!」
「おっさ…レウスか」
「お前今おっさんって言いかけたろ⁉︎」
「知らんな。それで何の用だ?」
「どうも様子がおかしくてな。ジェネラルオーガが2体も居やがった」
ジェネラルオーガつったらレッドオーガの上位種だったか?なんて記憶を掘り起こす。知識が間違ってないのなら普通ジェネラルオーガは同種が組むことは特殊な場合を除いてないはずだ。つまり、
「上に統括する奴がいるってことか」
「そういうことだな。ま、多分あの亜種がそうだったんだろう。他のレッドオーガの動きも鈍くなってるしな」
「それなら良いけどな。つうか2体ともレウスが倒したのか?」
「ジェネラルオーガか?馬鹿言え、2体も倒せねえよ。1体を俺が受け持ってもう1体をCランク達でタコ殴りだ。こっちもかなり被害は出たけどな」
「へえ。大変だったんだな」
「亜種を倒して余裕がある奴に言われたかねえよ…」
レウスが肩をガックリと落とした。俺の身体の非常識ぶりは神様のせいだから気にすることはないんだが。
そうこう話しながらも周りのレッドオーガを狩っていく。てかこれじゃあ狩りって言うより蹂躙だな。
俺とレウスで近くのレッドオーガをだいたい狩りつくした頃、それはやってきた。
「ヴヲオオオオオオオオオオオオオッ‼︎」
赤というより赤黒い肌、黒い捻じ曲がった巨大な角、パンパンになった筋肉、10メートルを超える背丈、ジェネラルオーガの更に上位種。エンペラーオーガがそこに居た。
「な、なんで……」
俺以外の冒険者が絶句している。中にはへたり込んでいる奴もいた。
エンペラーオーガ、適正ランク、限りなくSに近いA。性格、非常に獰猛。オーガ系モンスターを従え、群れをつくる。鋼のような肉体をもち、並みの武器ではかすり傷すらつかないほどの頑強さと石壁を一撃で軽く壊すほどの筋力を併せ持つ。
討伐には軍隊レベルの人員が必要となる。普通のAランクも1〜2パーティーは欲しい。つまり、ここにいる人員では絶望的。勝ち目など万に一つもないだろう。
「…テツヤ。さっきの加速を使えるだけつかって急いで報告に行け。俺たちでなんとかなる相手じゃない。国から軍を出してもらうんだ。わかったな?」
レウスですら震え声で言ってくる。恐らく伝令に俺を出して自分は死ぬつもりだろう。他にも何か言ってたし、周りの奴らも何かしら言っていたが俺は聞いていなかった。何故ならば、
『ハ…ラ…ヘッタ……メシ…ロス…ツブ…テ……クウ…ロス』
全言語理解で聞いたエンペラーオーガの言葉が不自然だったからだ。あまりにも不自然。まるで何かに取り憑かれているみたいな気がする。よく見ると目は虚ろだし、口からも涎が垂れているのが見えた。
「テツヤ…!聞いてるのか?早く報告を…」
俺は怠惰に手を掛けて一歩踏み出す。そしてそのまま歩き出す。
「テツヤ!やめろ!無理だ!」
後ろから悲鳴の様な声が聞こえるが無視。
「怠惰、使うぞ、お前の能力を」
「やっとかい?ボク待ちくたびれちゃったよー?」
「お前は怠惰の悪魔なんだからダラけて疲れることはないだろうが」
話しながら闇魔法の魔力を練って魔法の発動の準備も重ねる。俺の準備が完了した頃、怠惰も準備を終えた。
「逝くよご主人。その精神、頂きます。“堕落”発動‼︎」
「影の道化」
怠惰の堕落によって怠惰に紫の禍々しい魔力が集まっていく。同時に俺の影の道化が効果を現す。黒い魔力が俺を繭のように包んで弾ける。両手両脚には黒いグローブと手甲、ブーツと脚甲が装備される。黒いコートが俺の身体を包んで身体能力を上げた。最後に、黒い泣き笑いをした道化の面が顔を覆う。
「逝くよご主人!」
「黙れなまくら」
俺は地面を蹴った。
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