プロローグ
「……ここは?」
俺は身体を起こした。首を回して周りを見渡すと白、白、白のただただ白い空間にいた。俺は疑問符を頭に浮かべていたが、特に何か出来ることもないのでそのままぼーっと座って三十分ほどが経った。
「すみませんでしたーっ‼︎」
いつの間に現れたのか、白い髪をもち、白い衣服に身を包んだ青年がそこに居た。………何故か土下座をして。
「えっと、誰?」
俺はこの青年に問いかけてみた。すると青年は俺に向かって一言。
「信じられないかもしれないけど、僕は世界神だ」
と、言って土下座から立ち上がり俺をにこやかな顔で見つめた。
「えっとその世界神だっけ?どうして俺はここに居るんだ?」
「そのことなんだけれど、こちらの手違いで死神を君に派遣しちゃって君を殺しちゃったんだ。ごめんね?」
「はい?」
俺を殺しちゃった?え?手違いで?死神が?急におかしなことを言われて暫く混乱していた俺だが、なんとか持ち直して質問を重ねることが出来た。
「俺が死んだことはわかった。いや、わからないけど理解はした。それで?」
「うん、多分わかってると思うけど元の世界には戻せないんだ。つまり……」
「異世界転移、か」
「そういうことになるかな。ごめんね」
ある意味、予想通りの答えが返ってきた。俺もそういう小説は嗜んでいるし、ゲームもそれなりにやってはいた。が、実際に自分が言われるとなんかなぁって感じがする。
「異世界転移ってことは何か特典はあるんだろ?何をくれるんだ?」
「え?いいの?」
「いいも何も仕方ないだろう。別の世界でも生き返られるのはありがたいしな」
「……そっか。ありがとね。それじゃあ特典についてだけど3つまでつけてあげる。何がいい?」
「ふむ、そうだなぁ」
俺は脳内に幾つか候補をあげて脳内会議を繰り広げてみる。考え始めて一時間と少しほど経って結論がでた。
「決めた」
「何にしたの?」
「能力全般の強化、全言語理解、SP制の導入の3つで頼む」
「わかったよ。オマケでスキルポイントは最初から少し入れておくね」
「ああ、助かる」
「それじゃあ転送するよ?」
そう言って世界神が転送の準備を始めると白い空間が光り始めた。
「聞き忘れたがお前って名前なんだ?」
「僕かい?僕は世界神デュオル。じゃあね、新しい人生に祝福を」
「ありがとな。俺の名前は鉄也。谷口 鉄也だ。じゃあな‼︎」
俺はその空間から消え去った。




