不思議+故意=ヒント?
俺の前で次々と問題のヒントを展開していくのちに、月見里さんが出した解答とは。
俺は雨の中、部室に来ていた。幸いに、部室までの道のりでは廊下?渡り廊下のような道に屋根がついていたので濡れることはなかった。
部室は昨日と同じ状態になっていた。机に一台置かれたパソコン。よく見るとぎりぎりで無線が通っているようだった。
「じゃあ、今からパスワード入力するけどいい?」
月見里さんは入るや否やそういった。
「月見里さんは、パスワードもう、確認したのか?」
「してないわよ。まだパソコン自体開いていないわ。」
「そうなのか。」
「じゃあ入力するわね、いい?」
月見里さんはパソコンを開く。Windowsが開かれ、パスワードを入力する欄が出てくるIDはもともとパソコンに付箋で貼ってあった。Bungeibu そう書いてあった。
「ま、まて。」
「何よ。」
「ちょっと待て、入力する前に2つほどいいか?」
「何よ、まさか私がパスワード入力を間違えるんじゃないかって怖気づいたわけ?」
もうどうでもいい。無視する。
「まず一つ、入力する前に、なぜお前、いや月見里さんがこのパスワードにたどり着いたのか、その答えと、模範解答を言ってくれ。そして、もう一つは、さっき図書館で言った。そんなことがわからないでこの文を書いていたのならこの筆者は文藝部員ではないはず。というについてだ。これはどういう意味なんだ?」
「あなた文藝部って何をするところかわかっているかしら?」
「それはここに書いてある、活動内容だろ。」
俺は一回しまった手紙を再度取り出す。
「じゃあ、この1番目の活動内容について、あなたはわかるかしら?」
「わかるわけないだろ。」
「わかってもらわなきゃ困るのよ。特に文藝部員は。」
「何が言いたい。」
「この手紙の活動内容が消えている理由は、明らかだわ、さっきあなたがメモした通りよ。」
「印刷ミスなのか?」
「違うわ。」
「じゃあやっぱ忘れただけなのか?」
「そんなわけないじゃない。」
「いや、冗談のつもり。」
「つまらないわね。」
言われてしまった。
「じゃなんだ、この筆者の故意なのか?」
「おそらくそうね。そしてこれが、この問題のヒント1」
「ヒント1」
「次にこの空白がどういう意味を持っているかわ後にして、一つずつあなたの疑問点を、解消していくことから始めましょう。」
「それでこの問題が解けるのか?」
「私の導いた答えでは解けるわよ。」
「じゃあ続けてくれ。」
「次に『以上』という言葉の多用について、これもヒントだわ、これはヒント2よ。」
「これにはどういう意味があるんだ?」
「しいて言うなら、くだらないダイイング・メッセージのようなものね。」
「誰も死んでないぞ。」
「例えよ、例え。そんなこともわからないの?」
「わかったよ。続けろ。」
「なんで命令文なのかしら?まあいいわ、そして次の疑問点。文藝部の強調について。これは文藝部事態が何か重要性も持っているということになる。ヒント3だわ。」
「何か重要性とは何のことだ。」
「あら、わからないのかしら。じゃあ最後にパスワード入力が2回までの件。これは見落としがちだわ。まあ問題自体には関係のない話だけれど、1回だったら流石に困るわ。」
「失敗を防ぐためにか。」
「それもあるけれど、問題なのは、入力の回数。これに故意的な面がみられるわ。これがヒント4。これがこの文から読み取れることね。」
俺は今言われたことをメモしていく。
ヒント
1、活動内容1の空白は故意である。
2、『以上』の多用はダイイング・メッセージに近いものがある。しかもくだらない?
3、『文藝部』の強調は、文藝部が何か重要性を持っているからである。
4、パスワード入力の2回は回数がヒントとなっている。
「さあわかったかしら?」
「わかったも何も、余計な疑問しか残らないよ。」
「じゃあ、もう入力しちゃうわよ。」
「いいけど、失敗するんじゃねーぞ。」
「じゃあいくわよ。ああ、それともう一つのあなたの疑問について。この手紙を書いた筆者がどうのこうのっていうのは、この筆者がどれだけ、文藝部というものついてわかっているかということなの。この筆者は間違いなく文藝部員よ。そしてこの筆者もおそらく入部の時にこの問題を解いていると思うの。」
「なんだって?こいつの創作じゃないのか?」
「そうよ、じゃあ行くわね。」
そう月見里さんはパスワードを入力する。
事はすぐに終わった。
ようこそ。
そう書いてあるwindowsの画面をみて俺は驚いた。この女本当にパスワードを解いちまった。しかもあんな答えで。
彼女がパスワードとして打ったワードは『a』
小文字のAだけだったのであった。
大したネタ仕掛けがなくすみません。一応言っておきますがこれはりドルストーリーではありませんので、次回で証明終了QEDとなりますのでお待ちください。