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第94話 レベリング開始

 主人公は、タマーラの勧誘に成功しました。

 でも、仲間で居続けてもらう為には、色々とすべき事があるでしょう。

 仲間に出来た感じのタマーラと一緒に冒険者ギルドを出ようとする。


 それで聞こえて来るのは「止めておけ。彼奴、本当に4級職だぞ」と言う小声の忠告。


 もし、俺が2級職以下の時にタマーラに声を掛けると、ここで彼女を仲間にと言うか自分の女にしようと待ち構えている連中に因縁を付けられ、袋叩きにあい、彼女は仲間に出来なくなる流れだったんだよね。


 まあ、彼女はこの国から出るまでは仲間に勧誘できる仕様だったから、条件さえ知っていれば、仲間にするのに失敗する事は無かったんだけど。


 そう思いつつ、一応警戒しつつ、冒険者ギルドを出て町の外へ出る門の方へと向かう。


 するとタマーラの方から声をかけて来た。


 「これからどうするのよ」


 「ああ。先ずは君を生産者職から卒業させる」


 「えっ」


 「まあ、丁度いい魔物が居れば、だけど。

  それが、仲間に迎える為に誠意を見せる事になるだろうから」


 そう言うと驚いた表情で俺見ていたかと思うと「行きましょう」と率先して門に向かい始めた。



 2人と2匹分、今日の分の使用料を払い門から出る。


 タマーラは冒険者ギルドへ所属しているけど、まだ最低のGランクで門の使用料がタダになるFランクではない、と言うのはゲームと同じ様だ。


 町の近くに居る魔物に向かいつつ、彼女に俺の腰に付けていた剣を渡す。


 両親の遺産の内、軽い奴だ。


 剣を渡され困惑している感じの彼女を他所にチモの格納箱からコンテナを出し、これも両親の遺品であるサイズ調整と温度調整が付いたスカートタイプの革鎧セットを出して、彼女に渡す。


 「貸してくれるんだ」


 「その武器だと魔物相手には使い難いでしょ。

  防具だって、良いモノを装備していないと下手をすると命に係わるし」


 そう腰に付けている短剣を見つつ指摘すると黙り込む。


 タマーラが持っていた剣は、魔物を狩っている途中に地面に打ち付けたりで壊れたって設定だったからな。


 それでも、護身用の短剣は持っているんだけど、素人が魔物相手に短剣はね。


 「偽装スキルで、俺達と従魔達に隠形を掛けたから比較的安全な筈。

  まあ、見破る奴は見破るから注意はしてね。

  後は、その辺の魔物を倒しながら町から離れようか」


 「魔物、何処に居るのよ」とタマーラは俺を睨んで来る。


 「あ~、そっか。

  俺は最初に就いたのが斥候だから、感知スキルにより草の中の魔物とか、最初から感知していたからな。

  感知スキルが無いとそうなるか」


 「恵まれていたんだ」と怒りどころか恨みまでこもった感じで言ってくる。


 「いや。つい最近まで無能者だったよ」


 「えっ」


 「必死で修業して、何とか職業に就ける様になったら、一気に4級職。

  もっと、バランス良くしろって言うんだよ。

  6年以上も周りに『無能者』って散々馬鹿にされていたって言うのに。

  腹の立つ」


 「……。だから、私が生産者職でもバカにしなかったんだ」


 「そうだね。初心者職以外では最弱でも、一個もスキルを持っていなかった少し前の俺よりはましさ」


 そう言うとタマーラは複雑そうに黙り込んでしまった。


 さっさと、転職させてしまおう。


 そう思いつつ、水矢を発生させ、魔物の上に留まらせて彼女に魔物のいる場所を教える事にした。



 町から離れつつ、GランクやFランクの魔物を倒させる。


 主に、この辺では数が多いスライム系を。


 少しでもステータスは高い方が良いから。


 レッサースライムからスライムになると、核を攻撃しないと再生してくるとか知っているかも確認し、討伐を続ける。


 そんな中、タマーラに粘着している感じの連中二十数名が、街道の辺りをウロウロとしていたが、俺の隠形は見破れないみたいで、しばらくすると帰って行った。


 ざま~みやがれ、でもないか。


 という事で、タマーラのレベリングに思考を戻すんだけど。


 ポポもチモも魔物の居る場所を教えるのを手伝ってくれているんだけど、この調子だとな。


 そう思ったので彼女に尋ねる。


 「急いで生産者から卒業するか、それとも時間を掛けて卒業するかって言うのはあるんだけど、どうする?」


 「急いで卒業で」と真剣な表情で言ってくるが。


 「でも、リスクはあるよ。

  勿論、守るけどさ」


 そう言っても「少しでも早く強くなりたい」とタマーラは即答してくる。


 「それは俺も同じだけど」


 そう言ってチモに格納箱を出させ、コンテナを取り出し、コンテナの中から軽めの槍を取り出す。


 「こっちの方が、魔物から距離をとれるから、槍にしておこうか」


 「距離をとってどうするの?」


 「急ぐんでしょ。

  1級職を卒業する為にはトータルで10万ちょっとの職業経験値が必要。

  だけど、この辺の魔物を倒しても、数十とか数百しか入らない。

  なら、俺が動けなくした魔物にトドメをさしてもらうのが良いと思う。

  でも、Dランクでも数匹。

  Eランクなら数十匹必要か」


 そう言いつつ『どうしたものか』と思っていると、補佐さんが教えてくれる。


 【感知スキルの探索技能の感知の魔力を、足の速い魔物に逆探知させて魔物が居ないか弱い魔物しか居ない場所へおびき寄せる方法が、比較的安全なレベリングとして行われています】


 なるほどね。


 立ち止まり感知スキルの探索技能に意識を集中させ、感知の魔力を広げていく。


 いた。


 ネイルベア。


 それに対し、感知スキルに隠すのを止めて嫌がらせの様に奴を調べて、と指示をする。


 すると、こちらを見つけ、走り出した。


 不審そうに俺を見ていたタマーラに「ネイルベアをおびき寄せたから」と伝える。


 「ちょ、ちょっと待ってよ。Dランクの魔物じゃない」とタマーラは怯えた感じで言ってくる。


 「うん。多分数万の職業経験値が得られるから」


 そう言うと「死んだら何にもならないでしょ」と怒って来る。


 「ああ。君は俺が護る。

  と言うか、トドメ以外は俺とチモがするから」


 そう言うと、渡してあるミスリル合金の槍を抱きしめている。


 まあ、不安だろうけどさ。


 ポポとチモにタマーラを護衛する位置に移動してもらい、しばらく待っていると、走って来るネイルベア。


 凄い勢いだね。


 と、火槍を4発起動。


 『強く、強く、速く、速く』と念じ、両手両足に一発ずつロックオン。


 彼女の怯えが限界に達するのも不味いかなと、『遠く、遠く』とも念じて撃ち込む。


 火槍は、走っていたネイルベアの両手両足を焼失させる。


 すると「ギィィィィ」と叫びつつ地面を削り、そのまま地面にうずくまっている。


 まあ、残酷だけどね。


 チモに、植物魔法LV6で身に付ける蔓の鞭を使わせて、地面から生やされた太い植物の蔓を鞭にして奴に絡め、地上に張り付ける。


 「行こうか」


 そう言って彼女を誘い、手足が動かない上に植物に拘束されていても暴れて何とかしようとしているネイルベアに近づき、何かあれば対処できる位置に移動。


 その後、彼女に槍を撃ちおろしてもらった。

 主人公は、探索の逆探知を利用したレベリングを開始したようです。

 出来るだけ早く、タマーラを生産者職から卒業させる為に。

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