第145話 不安
主人公は、昨晩は酔ったタマーラに絡まれましたが。
翌日の朝です。
朝食中にタマーラが言ってくる。
「昨日は御免」
おお。
謝れる人なんだ。
「まあ、酒は程々にね」
そう無難な返事をしたんだけど、何故か不満そうだ。
そして「頭に来て、私達を見捨てたりしないんだ」とタマーラは少し不安そうに言ってくる。
3級職でもまだ不安なのか。
そう思いつつ「見捨てるも何も、もう3人でパーティ組めば大丈夫でしょ」と言ったんだけど。
「3人。あの娘も私達とパーティ組むと思っているんだ」とタマーラは何故か不満そうだ。
「斥候系は必要でしょ」
「別のパーティを組むなんて、恩知らずとは思わないんだ」とタマーラは少し怒った感じで言ってくるが。
「思うけど、しょうがないでしょ。
人それぞれ、色々とあるだろうしね」
そう言うとタマーラは「あんたには、何があるのよ」とか喧嘩腰で聞いてくる。
「何って。
強くなる以外は無いかな。
正直、この程度じゃ安心して暮らせる気がしないし」
「4級職なのに」とタマーラは不満げなまま言ってくる。
「そうだよ。
最低極忍。
出来れば、魔機工士、賢者、魔法戦士、聖戦士とかにも就きたいかな。
それで色んなスキルがLV10MAXに出来そうだし。
そう言う意味だと、前にも言った通り出来れば他の5級職にも就きたいし。
他にも、ユニークスキルを手に入れたいとかもあるし」
そこまで言うと「……、だから今は戦いなんだ」と少し唖然とした感じで言ってくる。
まあ、そこまで素質と才能を求めるのは、常識からすると身の程知らずか強欲過ぎる馬鹿、という事になるだろうからな。
そう思いつつ「だね。まあ、育成もだけど」と自分が強くなる以外もやっているでしょ、と言っておく。
なのに「あんた、異常だよ」とタマーラが断言してくる。
「そう? 家族が帰ってこなかった恐怖感とか、二人とは違うのか」
そう言うと、タマーラは黙り込む。
すると「怖いんですか?」と今度はラーレが聞いてくる。
「ああ。怖いよ。次は、俺の目の前で大切な人が失われるかもしれない、とか思うと余計にね」
何故か少し震える声で本心を言うと「ショウソウさんなら、そんな危険のある冒険者辞めても、生活できそうですけど」とラーレは言って来る。
なので、気持ちを落ち着けて声が震えていないかを意識しながら、その問いに答える。
「タマーラの生まれ故郷の向こう側にあるマブール村だっけ。
魔物に滅ぼされたんでしょ」
そう言うと「……、ええ」とタマーラが複雑そうに言ってくる。
「村どころか都市すら滅ぼされた事があるらしいのに、本当に安心かな?」
「王都、じゃないと駄目なのか。
そう言えば、王都も滅ぼせる魔物が居ると言う話をドナート君としていましたね。
嫌な王族貴族がと言う話も」
そう言ってラーレは納得している感じだが、少し補足の話もしておく。
「そう言う事。
それに、正直チェチーリアの件に領主とかが絡んでいたら、俺ではどうにも出来なかったでしょ」
「……、そうですね。
やっと就けた3級職ですけど、この程度では……」
そうラーレも俺と似たようなことを想像した様だ。
「まあ、どうしようもない部分ではあるんだけど、俺はより力を求める事にしているってだけ」
そう言うと「それに私達は必要ないんですか?」とラーレは何故か不安そうに聞いてくる。
これは、『君らは必要ない』とか『どっちでもいい』とか言っては駄目なパターン、くらいは分かる。
なので「必要ないなら何で君らを育成したの。自分の時間を削って」と無難な答えを言っておく。
すると「でも、3人でパーティを組めばって」とラーレは未だ不安そうに言ってくる。
「ああ。君らが嫌になったらそうするんだろうなって話だけど」
「そうですね。必要だから助けてくれたし育成してくれたんですよね」とラーレは少しほっとした感じになってくれた。
「俺は、無償で施すような聖人ではないからね」
そう昨日と少し似たような事を言ってしまったんだけど。
『仲間』として必要とされていると思ってくれたのか、お酒が入っていないからか、タマーラは昨日の様に絡んで来たりはせず、3人で本格的に食事を進め始める事となった。
タマーラとラーレは、既に3級職。
それでも、まだ不安な気持ちがあり、主人公が必要な感じなのでしょうか?
上を目指す為には、主人公が必要と思っているのでしょうか?
それとも。




