12限目 比べられること
「あ.....」
荷物の整理をしていると、バッグの中からある物を見つけてしまった。
はっさんから言われた課題。赤チームと青チームで分かれる変なやつ。私は青ペンで課題を解かなくてはならないらしい。
「めんど」
課題の問題が書かれたノートを部屋の端に投げた。こんなん誰がやるんだよ。私に勉強とか無理だっつうの。
そんなことより部屋が汚い。そろそろ片付けないとまたババアにごちゃごちゃ言われる。めんどいから床が見えるくらいまで綺麗にしておこっと。
「ふ〜んふふーん」
鼻歌を歌いながら床に散らばっている洋服を適当に棚にしまった。来た人が見えなきゃいい。私がしまった場所が分かればいい話だからね。
ていうかそろそろ片付けんのめんどいんだけど。もう今日はこの辺にして風呂に入って寝よ。
「よいしょ」
私は立ち上がり、下着とパジャマを持って部屋を出た。
風呂場は一階。わざわざ下の階に行ってまた戻るのがめんどうだ。2階にも1階にも風呂を作れっての。使えねぇ野郎たちだなぁ。
階段を降りた先にリビングがある。そこにはジジイとババアがいつも座ってテレビを見ている。
気持ち悪りぃ。ずっと2人でいるとか意味わかんな。
「今月の支払い分なんだが.....」
「またあなた何か買ったの!?」
うっざ。なに仲良さそうに話してんだよ。
2人のことは放っておいて風呂場に向かった。
スライド扉を開けようとした時、鍵が閉まっていることに気がついた。
「は?さいあく」
誰か入ってんじゃん.....これじゃあ風呂に入れない。リビングにあの2人がいたってことは絶対あの女じゃん。余計に頭痛くなる。
「ねぇ?誰か入ってんの?」
『私だよ!ちょっと待ってて!』
「ちっ。キモすぎ」
風呂に入ってたのはやはりあの女だった。せっかく風呂に入る気になってたのに。
私は風呂が一気にめんどくさくなった。
私は洗面所から離れてリビングに向かった。もう何年も使ってる食卓の椅子に腰掛けた。
たまたま机の上にあったりんごのフルーツを食べた。
「黒波?あんた進路希望調査出したの?」
「.....」
「ちょっと黒波?」
「ん?」
「進路希望出したの?」
「んなもん知らねぇよ」
「何よその口のききかた〜」
「うっせぇよだまれ」
「こら!あなたからも何か言ってやって」
はぁ、めんどくせぇ。ババアだけならともかく、ジジイまで参戦してくんのかよ。
「黒波は、進路をどうする気なんだ?」
「テメェらには関係ないだろ」
「進路はどうするって聞いてんだぁぁぁ!」
「うっせぇなぁぁ!!お前らに私の人生関係ないっての!!引っ込んでろ!」
「学費を払ってるのは誰だ!?食費を出してるのは誰だ!?」
「さぁ?誰だろうね」
「てめ.....ふざけんなぁぁぁ!!」
ガチャァン!!
ジジイは椅子を蹴飛ばして壁に傷をつけた。
「ちょっとあなた!」
「お前みたいな子を、育てた覚えはない!」
「子作り励んでんのはそっちだろうがよ!」
「なっ———!」
ジジイは顔を真っ赤にしたままリビングを出てった。扉を閉める時も壊れるくらいの勢いで閉めるし。
「はぁ」
「黒波、お父さんの言い分も分かってあげて」
「…….」
私はババアを無視して、自室に戻った。




