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俺に懐いていた日焼けボーイッシュな後輩が、健気でしおらしい義理の妹になってしまった  作者: ゆめいげつ
第一章 不器用な義兄妹の日常

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第6話 「おにいちゃん、ないしょ、だよ?」

『大きいおっぱい好きなの?』


 小夏からのその質問は、俺の心を大きくかき乱した。

 ――好きだけど?

 俺が素直にそう言えたらどれだけ良かっただろうか……。

 だって相手は俺の大好きな後輩であり大事な義妹の小夏だ。

 俺が下手な事を言えば、これから一緒に暮らしていく上で関係性が大きく揺らぎかねないし気まずくなってしまう。


 答えは慎重に選ばなければ。

 

「い、いや、それはだな!」

「おにいちゃん、さっき、好きにして、いいって……」

「好きです、おっぱい」


 俺は負けた。

 負けたせいでかなりキモい答えになった。

 でもだって、小夏が悲しそうに顔を伏せたんだぞ?

 学校の時の満面の笑みとは正反対な、泣きそうな顔をされてみろ。


 ――勝てないだろ?


 これに勝てる先輩かつ義理の兄がいたら申し出てほしい。

 俺が全力でその腐った性根を叩き直してやる。


「そ、そうなんだ……」

「……はい」


 それはそれとして、気まずさ全開だった。

 母親に自分のエロ本を見つけられた時ってこんな心境なんだと思う。


 いや俺、つい最近まで母さんいなかったけどさ。


「じゃ、じゃあ……私の、お、おっぱいも……す、好き……?」

「小夏っ!?」


 それはそれ、これはこれの大ピンチ。

 だって母親は『自分のおっぱい好き?』とか聞いてこないだろ。それこそどんなエロ漫画の世界だよって話だ。

 だけど現実はこうして義理の妹が、学校の後輩が、大好きな人が俺に聞いてきた。


 これをピンチと言わずして何と言えば良いのだろうか。


「そ、それは流石にマズくないか!?」

「お、おにいちゃん、家では、何でも、してくれる、ってぇ……」

「小夏のおっぱいが大好きです」


 俺は死んだ。

 今日、社会的に死んだ。

 だって小夏が泣きそうになったんだから仕方ない!

 でも、何してもいいとは言ったけど、何でもするとは言ってないのに……。

 いったい前世でどんな悪行をしたら、絶賛片思い中の後輩かつ義理の妹に、俺は君のおっぱいが大好きですと告白する運命を辿るのだろうか。


 ていうかまともな告白すら出来てないのに、おっぱいが好きですとか何だこれ。

 ――いや本当に何だこれ!?


「そ、そうなんだ……えへ、えへへへ……」

「こ、殺してくれ……」


 でも小夏は嬉しそうだった。

 これを俺は素直に喜んで良いのだろうか。

 まだ後輩モードの小夏に「しょうがないっスねぇ~! せんぱいは、ほんっとぉ~にえっちなんスからぁ~!」とからかわれる方が百倍マシな状況だった。


「お、おにいちゃんが、わ、私のおっぱい……ひとりじめしたいの、わ、分かった……よ?」

「何を分かったんだお前ぇぇっ!?」


 思わず変な声が出た。

 変な事を言った小夏もそうだが、その小夏がグイッと距離を詰めてきたからだ。

 あぐらで座る俺のふとももに片手を乗せて、肩が、可愛い顔が近づいてくる。俺を見上げていた瞳も、気づけば同じ高さになっていた。


 息と息が触れ合いそうな距離。

 突然近づいたその距離は、まるで俺達の同棲生活が始まった時と重なって――。 


「え、えっちなおにいちゃんの為に、わ、私も……が、頑張る、ね?」

「っぃ!?」


 ――囁きと言う名の、爆撃。

 俺の心臓が、爆発するかと思った。

 言ってる事はついさっき俺が妄想で思った事と変わらないのに、義妹モードの小夏に言われた破壊力は大量殺戮兵器並みに俺の情緒を乱していく。

 

「が、頑張るって……何を、だ……?」

「えへへ……」


 しどろもどろになる、俺。

 そんな俺の肩を、小夏はグイッと抱き寄せて。


「……なーいしょ」


 しっとりと甘く悪戯に

 俺の耳元へ囁いたのだった。

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