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俺に懐いていた日焼けボーイッシュな後輩が、健気でしおらしい義理の妹になってしまった  作者: ゆめいげつ
最終章 歩み出す先輩後輩のこれから

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第48話 『二人とも、ありがとうな……』

「ひ、飛鷹さんが……ど、どうしてここにぃ……!?」

「美春! よ、良かった……! いや良くない! 倒れたって、連絡があったからに決まってるだろ!!」

「び、病室では静かにしないと駄目だよぉ……!」

「あ、す、すまない……」


 ベッドの上でわたわたする義母さん。

 それに窘められてショボンとする父さん。


「お、お母さん……?」

「と、父さん……?」


 そんな二人の見た事ない姿に、俺と小夏は驚いていた。

 気まずく張りつめた空気が嘘のように、柔らかい雰囲気が流れ出したからだ。


「あ、ふ、二人とも……ご、ごめんねぇ」

「鷹臣……それに小夏ちゃんも。美春を、母さんをありがとうな……」

「あ、う、うん……は、はいっ」

「と、父さん……仕事は、大丈夫なのか?」


 俺達の声に気づいた両親がさっきとは違った意味で呼吸を整える。

 義母さんは少し恥ずかしそうに視線を逸らし、父さんはシャツの胸元を緩めながらも心から安堵したように息を吐いた。


「……安心しろ鷹臣。全部、投げ出して来た」

「投げ出して来た!?」

「お、おにいちゃん……こ、声……!」

「あ、わ、悪い小夏……ごめん、母さん……」


 真顔で凄い事を言う父さんについ俺は大声を出してしまい、今度は俺が小夏に注意されてしまう。


「ふふふ、なんだかぁ、私と飛鷹さんみたいだねぇ」

「……そうか? まあ、鷹臣は俺似ではあるが……」

「そっくりだよぉ」


 そんな俺達を見て、義母さんが楽しそうに笑う。

 父さんと似ていると言われるのも悪い気はしないが、小夏に注意された所を見られるのは普通に恥ずかしかった。


「……何にせよ。二人とも、本当にありがとな。後は俺が見てるから、二人は家に帰ってゆっくり休んでくれ。今、タクシーを手配しておく」

「え? だ、だけど」

「心配するな。徹夜には慣れてるし、美春の傍にいられるなら一生起きていられる」

「も、もぉ……! 仕事と私を一緒にしてぇ、恥ずかしい事言わないでよぉ……!」

「す、すまない……」


 またしても義母さんに怒られる父さん。

 二人とも揃って目の下のクマが凄いが、心なしかとても嬉しそうだった。


「じ、じゃあ後は、頼むよ父さん……。ほら、小夏も」

「う、うん。よろしく、お願いします……。お母さんも、しっかり休んでね……?」


 俺と小夏は両親に頭を下げて、パイプ椅子から立ち上がる。

 何故だか見ていて恥ずかしくなる二人のやり取りに、俺と小夏はさっきと違う意味で気まずくなってしまったんだ。


「ああ、任せろ。鷹臣も、小夏ちゃんを頼んだぞ」

「小夏も、鷹臣くんをよろしくねぇ」

「あ、あぁ……!」

「う、うん……!」


 思えば俺も小夏も、片親で大切に育てられていた。

 だからそんな両親の仲睦まじい姿を見るのは初めてなのだ。


 普通の事なのに何だかイケないものを見てしまった気がして、俺と小夏はそそくさと病室を後にするのだった。

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