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俺に懐いていた日焼けボーイッシュな後輩が、健気でしおらしい義理の妹になってしまった  作者: ゆめいげつ
第一章 不器用な義兄妹の日常

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第5話 「おにいちゃん、大きいの、好き……?」

 楠木小夏は俺の義妹(いもうと)だ。

 だけどまだ戸籍上は楽々浦小夏であり、本当の意味で家族にはなっていない。

 俺達の両親は、どちらも仕事がとても忙しいのだ。

 

 本当の再婚はまだ先だけど、両家の顔合わせで俺と小夏が同じ部活の先輩後輩で仲が良いと知った両親二人が予定を早めたのである。

 そして元々父さんは仕事で家を空けがちかつ小夏の家、つまりここ楽々浦家が学校に近いという理由から俺はこの家にお世話になっていたんだ。


 だから小夏は後輩であり厳密にはまだ義理の妹になってないという曖昧な状態だ。


「小夏、入るぞ?」

「ひゃわっ!? お、おにいちゃん……っ!?」


 そんな義妹の部屋に、俺はやってきた。

 小夏は足の低い丸テーブルの前にお気に入りのビーズクッションを敷いてペタンと座り宿題をしていたみたいで、ノックして入ってきた俺を見上げる。


 オレンジ色のカチューシャに縁無しのメガネと、完全に義妹モードだった。


「悪い。宿題中だったか?」

「う、ううん……! ち、ちょっとビックリしただけ……す、座って?」

「ありがとな」


 小夏は自分の隣に別のクッションを持ってきて俺に座るように促す。

 素直にその好意を俺は受け取り、小夏の隣に腰かけた。


「義母さん、今日も帰り遅くなりそうだってさ」

「あ、う、うん……私にも、連絡来たよ……?」


 ついさっきスマホに届いたメッセージ。

 当然それは小夏も知っているけれど、義妹モードの小夏は俺が隣にいると緊張するので軽い会話のジャブみたいなものだった。


 本当に、昼とは大きな違いである。


「そ、それで……ど、どうしたの?」

「ん? あー……」


 小夏がソワソワしていた。

 隣に座る俺に話しかけながらも、その視線は右往左往している。

 それに合わせて俺を部屋を見渡すと明るい色合いの絨毯やカーテンとベッドシーツに可愛らしい小物と、今の小夏にピッタリな可愛らしい部屋だった。


「……今日の部活の事で、ちょっとな」

「部活の、事?」


 だけど話題は、部活の時の小夏の話である。

 後輩モード……つまり学校での小夏の距離感の話と、男子からの視線の話だ。


「あぁ、正直に言うけど……。最近の小夏は近すぎると思う!」

「ふぇぇっ!?」


 突然俺が大声を出したせいで小夏がビクッと震える。

 怒涛の夏休みから二学期と、なあなあで過ごしてきたけれど、流石に今日の男子の視線は見過ごせなかった。


「小夏は可愛い! それもそんじょそこらの美少女なんて目じゃないぐらいに可愛いんだ! そんな可愛い小夏が今までの距離感で俺と接してみろ! ありもしない噂が流れるぞ!!」

「か、かわぁっ……!?」


 俺は小夏の肩をガシッと掴む。

 胸の前で手を組んだ小夏は、頬を真っ赤にして俺を見上げた。


「あぁ……! しかも小夏は可愛いだけじゃなくてスタイルも良い! 制服と比べてユニフォームは薄着だろう? 男子はな悪意が無くてもエロい視線を送るんだ!」

「か、かわわぁ……!」


 揺れていた。

 義兄(あに)の俺が言うのもアレだけど、ユニフォーム姿の小夏が駆け寄ってくる時にめちゃくちゃ胸が揺れていた。


 あんなの、俺だって見ちゃうって……!


「学校での小夏は明るくて元気だから気にしてないかもしれないけれど、小夏はすごくエロいんだ! それを小夏には自覚してほしい! 恥ずかしいかもしれないけど、俺はそんな有象無象の視線を浴びている小夏の事が、本気で心配なんだ!!」

「え、えぅ、えぅぅ……!」


 言ってて気が付いた。

 俺と小夏がどう見られていようかなんて関係無い。

 小夏がエロい目で、邪な目で見られるのが、俺は嫌なんだ。


「小夏が部活を頑張ってるのは知ってるし、俺も見てた。今日の走高跳も凄く綺麗で見惚れたぐらいだ! でも、でも! 俺を見つけたからって無防備に大きな胸を揺らしながら近づいてくるのは、公共の場ではやめてくれ……!」

「お、おお、きっ!?」


 これが俺のわがままだって事は分かっている。

 でも可愛い義妹が、大好きな後輩が、俺以外の他の奴にエロい目で見られるのが、耐えられないんだ。


「家では好きにしていいから! 朝みたいなからかいは甘んじて受け入れるから! だから、だから……せめて! 学校ではもう少し大人しく――」

「――お、おにいちゃんっ!!」


 小夏が叫んだ。

 俺の言葉を遮って、顔を真っ赤にさせながら。

 縁無しメガネのレンズの奥のクリっとした瞳が涙目になるけれど、その瞳には朝のハプニングの時と違って明確な意思があった。


「お、おお……おにいちゃん、も……っ!」


 上目遣いで小夏が俺を見上げる。

 日焼けした頬でも分かるレベルで顔を赤くさせて――。


「お、大きい……お、おっぱい……! す、好き……なの……?」

「んなっ!?」


 ――恥ずかしそうに、至近距離から俺を見つめ返した。

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