閑話3 『小夏日和その3』
※ヒロイン、小夏視点。
「せ、せんぱい……」
「大丈夫だから。俺の後ろ、離れるなよ?」
「う、うん……」
下の階から大きな音がして、私とせんぱいは部屋を出た。
ユニフォームを着替える暇も無く、ぎゅってせんぱいの服をつまむ。
廊下に出て、そっと電気をつけても家の中はシーンとしてた。
まるでさっきの音が嘘のような静寂に包まれていて、すごい怖い。
「……降りるぞ」
「……うん」
「義母さん、大きい音したけど、大丈夫か!?」
階段の電気をつけても、物音がしない。
せんぱいが大きな声を出しても何も返ってこなくて、それが私の胸を締め付ける。
下に誰かいるのかな。
お母さんに何かあったらどうしよう。
そんな事を思いながら私は、階段を降りるせんぱいの後ろにぎゅっとしがみついていた。
「おーい! 義母さーん!」
「せ、せんぱい……あ、あれ……」
一階の廊下の先、リビングの扉が開いていた。
降りた時は廊下の電気がついてなかったのに、リビングの電気はついてるみたいだったから。
お母さんがいるなら、そこだと思った。
だけどそれと同じぐらい、嫌な予感もしちゃって……。
「……離れるなよ」
「……うん」
それを分かってくれたせんぱいが、小声で私に声をかけてくれた。
少しだけ気持ちが楽になっても、胸のざわざわがどんどん大きくなっていく。
「義母さん?」
リビングの扉から、せんぱいが中を覗く。
怖いのに、見たくないのに、お母さんに何かあったらと思うと心配で、私は――。
「……あっ」
――見ちゃった。
「お、お母さんーっ!?」
リビングのテーブルの横で。
床の上に散らばるガラスと一緒に倒れている、大好きなお母さんの姿を。
第三章 たどたどしい義兄の決断 完
次回
最終章 歩み出す先輩後輩のこれから




