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俺に懐いていた日焼けボーイッシュな後輩が、健気でしおらしい義理の妹になってしまった  作者: ゆめいげつ
第二章 初々しい義妹の暴走

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第27話 「おにいちゃん、やったよ……!」

「お、お母さんっ!?」

「っ!?」


 バシャッと湯船に水飛沫が跳ねる。

 扉の向こうから聞こえてきた母さんの声に、小夏が立ち上がったからだった。


 当然俺の視線の先には、バスタオルの下から伸びている小夏の日焼けした太ももが広がっている。湯船から立ち上がった事により、太ももから伝う水滴の絵面がとんでもなくヤバかった。


『寝てたら大きな声がしたんだけどぉ、何かあったのぉ……?』

「な、何も無いよっ!? ち、ちょっと虫が出て驚いちゃっただけ!!」


 とんでもない光景だった。

 前を見ても、上を見ても大変だ。

 小夏の足、太もも、バスタオル、下腹部、胸。


 座ってくれ、頼むから座ってくれ小夏……!


『む、虫ぃっ……!? だ、大丈夫……?  お兄ちゃん呼んでこよっかぁ……?』

「だ、大丈夫だよ……! も、もう窓から出ていったから……!」

「っ!? っ!?」


 虫嫌いの義母さんが外で焦っている。

 それに小夏も焦っているが、俺も大焦りだった。


 小夏が扉の前に立とうとして、浴槽を大きく跨いだからだ。


『そ、そう……? 本当に、大丈夫ぅ……?』

「う、うん……! お、お母さんも、起こしちゃってごめんね……?」

『ううん。もう十分寝れたから大丈夫ぅ……。それにしても小夏に何か無くて良かったぁ……」

「あ、ありがとねっ! も、もう大丈夫だから……!」

「大丈夫じゃない……小夏……大丈夫じゃない……!」


 家での小夏が良い子なのも、義母さんが娘想いで良い母親だからだろう。

 だけどそんな母と娘のやり取りよりも、今は目の前にある光景が大問題だった。

 お湯を吸い重たくなったバスタオルが、急に立ち上がって動いたせいでバスタオルが、小夏の身体から落ちそうなのである。


 だけど俺が大きな声を出したら義母さんにバレてしまう。

 でも言わなければ小夏のバスタオルが落ちて裸を見てしまう。


 俺は、俺はいったい、どうしたら良いんだ……!!


『じゃあお母さん、晩ご飯作ってるからゆっくりねぇ』

「う、うん……ありがとうお母さんっ!」


 そんな葛藤をしている間に、小夏の頑張りによって最初の危機が去っていく。

 浴室の扉の向こう側で洗面所の扉が閉まり、母さんが出ていく足音がしたんだ。


「ふぅ……や、やったよ、おにいちゃん……!」


 やりきった小夏が一安心して胸を撫でおろす。


「……小夏っ!」

「……ふぇっ!?」


 ――その動作が、最後のトリガーだった。

 ハラリと音を立てるように、宙を舞うバスタオル。

 まるで世界全体がスローモーションになったかのようにゆっくりと時間が進んでいく中で、俺は全神経を駆け巡らせて立ち上がる。


 コンマ一秒。

 その刹那の時間の中で、バスタオルに隠れていた小夏の、日焼けしていない白い肌が見えた。

 しかし思考はそれをノイズだと弾きだし、俺の足を上げて浴槽を跨らせる。


 そして踏み込んだ大きな一歩。

 それはまるでゴール前でライバルとのデッドヒートの後にいち早くラインを踏みしめた時と同じような感覚になった。


 その大切な一歩は、今まさに生まれたばかりの姿になろうとしている小夏との距離を一気にゼロにして――。


「……すまんっ!!」

「っっ~~~~~~~~!!??」


 ――咄嗟に、小夏の身体を抱き寄せた。

 バスタオルが落ち、隠す物の無くなった小夏の身体を見ない為に、俺の身体で隠すように……強く強く抱きしめながら。

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