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俺に懐いていた日焼けボーイッシュな後輩が、健気でしおらしい義理の妹になってしまった  作者: ゆめいげつ
第二章 初々しい義妹の暴走

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第24話 「せんぱい、そんなに、見ちゃ、駄目っス……」

 部活後に誰かが使ったシャワーは、最初から温かかった。

 練習で流した汗を、雨のように細かいお湯が肌を伝い落としていく。

 

 気持ち良いと思う反面、違和感もあった。

 それは俺達が服を脱がず、セパレートタイプのユニフォームを着てるからで――。

 

「な、なんか……変な感じ、っス……」

「おー! 雨ん中走ってるみたいで、ちょっと気持ち悪いな!」


 ――俺の目の前で、ずぶ濡れになっていく小夏と部長の姿があった。

 どちらも健康的に日焼けした肌を、細かい水の粒が滴っていく。

 小夏の発育の良い身体と、部長のスレンダーな身体と。

 そんな似ているのに対照的な二人が着るユニフォームが濡れて色を変え、それがまた背徳感を醸し出していたんだ。


「でもこのまま走れば、悪天候の時みたいに最悪なコンディションでの練習になるんじゃね!?」

「止めましょう部長っ! 流石に、流石にヤバいです!!」


 自分の状態から変な発想を思いついた部長を全力で止める。

 走る事と練習に真摯なのは凄く尊敬できるけど、この状態は駄目だった。

 ユニフォームがずぶ濡れなのはもちろんだが、部長のセミロングの黒髪ポニーテールが濡れて肌にはりついているのが、何て言うかとても扇情的……。


 言葉を選ばないのであれば、普段感じない色気が凄かった。


「せん、ぱい……?」

「す、すまん小夏!?」


 そんな俺の視線に気づいた小夏が不安そうに見つめてくる。

 ……そうだ見るなら小夏を見るべきだろ、俺!


「せ、せんぱい……そんなに、見ちゃ、駄目っス……」

「わ、悪いっ!?」


 だけどそれは逆効果だった。

 濡れていつもより艶が出た黒のショートヘアー。

 シャワーで温まり蒸気した赤い頬と潤んだ瞳の上目遣い。

 濡れたユニフォームに包まれる大きな胸を両手で隠しながらも、至近距離で前かがみになったせいで普段は見えない日焼け部分とそうでない部分の境目が見えた。


 その間も勢いよくシャワーが流れている。

 狭いシャワールームの中で男子一人と女子が二人。

 俺は目のやり場に完全に困ってしまった。


「うんうん! 仲良しなのは良い事だなー!」

「こ、これのどこで仲良しって判断してるっスか……!?」

「何つーか、甘酸っぱい青春の一ページ、みたいな?」

「シャワールームでそんな甘酸っぱさ、いらないと思いますが!?」


 そんな俺と小夏を見て、部長が満足そうに頷く。

 分かってはいたけれど、部長は佳穂以上に手強い相手だ。


 部活以外の常識が何にも通用しないんだ。


「場所は関係ねーだろー? お互いが一緒にいて自分らしくいられる場所があるなら、そっちの方が楽じゃね?」

「……それがシャワールームはおかしくないですかね!?」


 一瞬、納得しかけた。

 裏表がまるでない部長の言葉に一瞬納得しかけたけど、ふと冷静になる。

 こんな狭いシャワールームに三人入って、ずぶ濡れになりながら言われても、邪な気持ちしか出てこないんだ。


「そーかー? 風呂以上に楽になれる場所ってそう無いと思うけど……あぁ、トイレとかかっ!? 流石にそれはヤベーぞ鷹臣!!」

「女子更衣室のシャワールームも同じぐらいヤバいですよ!?」


 ずぶ濡れの部長がドン引きする。

 自分で思いついたのに、とんでもない風評被害だった。

 そのあまりの発言のヤバさに、色気とか背徳感よりも俺は身の危険を強く感じる。


 このままエスカレートすると次は何をされるか分からないから、全力で止めなければ……!。


「自分、らしく……一緒に……」


 それに必死だったから。

 狭いシャワールームの片隅で。

 小夏が神妙な表情をしている事に、俺は気づけなかったんだ。

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