第22話 「せんぱい、どういう事っスかこれぇ!?」
「部長! それは流石にマズいですって!!」
「あっ! おい鷹臣足止めんな! まだ身体が馴染んでねぇだろうが!!」
「す、すみません……!」
部長が急に一緒に風呂に入るか言ってきたせいなのに、逆に怒られてしまった。
それはひとえに部長が走る事に真摯に向き合っている証拠でもある。
でもそんなクールダウン中の俺が足を止める原因を作ったのが部長なのもまた事実だった。
「でも、おかしいでしょう! 弟さんはともかく、俺も部長も高校生の男女ですよ!? そ、それが一緒に風呂だなんて……」
「ばーか! そんなつもりで言った訳じゃねーよ! どーせ家に帰ったらユニフォーム洗うんだからよ、これ着たままシャワー浴びれば良いじゃねぇーかって話!」
「あぁ、なるほど……って、なりませんからね!?」
走るのを再開してすぐにまた俺は部長にツッコんだ。
仮に部長が言うようにユニフォームを着たままだでもそれはそれで問題だろう。
年頃の男女が同じシャワーを浴びると言う時点で、アレなのだ。
「えぇ、そこまで拒否んのー?」
「……部長。俺には小夏っていう、世界で一番可愛くて大切な義理の妹で後輩の彼女がいるんです。流石の俺でも佳穂の時以上にそれは駄目って事が分かります……!」
あ~んですら見つかった後の罪悪感が凄かった。
それが今度は一緒にシャワーとなればそれはもう切腹ものだろう。
いくら部長が俺を弟として見てると言っても、外から見たらソレはれっきとしたアレなんだ……!
「だから部長の提案は凄く魅力的ですけど、男で一つで育てられた俺にとっては凄く誘惑がありますけど、先輩がただ純粋に俺を元気にしたいから言ってくれたって分かってますけど、俺には小夏がいるから……お断りします!!」
言った、言ったぞ。
全ての誘惑、気持ちに打ち勝って俺は言ってやった。
俺はもう、佳穂の時みたいにもう流されない。
昼に彼女が人生はトライアンドエラーと言ったように、俺も失敗から学ぶんだ!
「……そっか。分かった!」
「……部長!」
そんな俺の熱意が部長に通じる。
ゆっくり走りながら目を閉じた部長が、目を見開いて力強く頷いてくれた。
義理の妹と年の離れた実の弟の話から始まったこの誘惑だらけの問答に俺は打ち勝ったんだ……!
「じゃあ小夏も一緒に、三人で浴びっか!」
「…………え?」
そんな勝利宣言を心の中でした俺に。
部長は曇りなき、太陽のような笑顔でそう言い放ったんだ。
◆
「おー! 二人ともよく残っててくれたなぁ! お疲れさーん!」
「せ、せんぱい! ど、どういう事っスかこれぇ!?」
「すまん小夏……。俺にも、止められなかった……!」
そして夜。
部活動が終わり全校生徒が強制的に下校する時間に。
俺と小夏は特別ミーティングと称して、陸上部の女子更衣室に併設されたシャワールームに呼び出されたんだ。




