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俺に懐いていた日焼けボーイッシュな後輩が、健気でしおらしい義理の妹になってしまった  作者: ゆめいげつ
第二章 初々しい義妹の暴走

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第16話 「せん、ぱい……?」

 俺が困っていた時に部長が助けてくれたように、俺も誰かの手助けになれたら良いなという憧れはある。

 だけどその助けがお試しのお付き合いという名のデートで、小夏という可愛い可愛い彼女が出来たばかりの俺がするべきじゃないだろう。


 だってお試しとはいえ、やるなら本気でやらなきゃ佳穂に失礼だ。

 それにまだ小夏とも恋人になったばかりなのに、それこそデートもしてないのに、佳穂と先にデートをするというのは不誠実にも程があるんじゃないだろうか。


「……悪い、佳穂。流石にこれは俺には荷が重すぎるというか」

「そう言うと思ってぇ、お礼に私が撮った小夏ちゃん秘密画像がこちらにぃ~!」

「俺も次期部長だからな。部員の悩みは、しっかり解決しないとな……!」


 何故だろう。

 佳穂のスマホの画像を見たら、急に人助けがしたくなってきたんだ。

 今の俺なら何でも解決できる気がする。

 決して更衣室でくつろいでいる小夏の画像に目がくらんだ訳じゃ無いぞ!


「で、俺は何をしたらいいんだ?」

「頼んだ私が言うのもあれだけどぉ、鷹臣くん単純で分かりやすいよねぇ~」

「……部長の影響、かな」

「くるみ先輩が聞いたら後で怒るよぉ?」


 この短時間で部長まで敵に回してしまったらしい。

 だけど小夏の画像の為……じゃなくて困ってる佳穂の為に俺が頑張らなければ!


「う~ん。まぁ、そうだねぇ、学食デートは始まってるしぃ、何も言わずに奢ってくれたから問答無用で彼氏ポイントは加算されてるからぁ……あ~ん、とか?」

「……カレー定食で?」

「激辛カレー定食だよぉ」


 そこじゃないだろう。

 俺の人生初あ~んが学食の激辛カレーで本当に良いのか?

 いやそもそも学生食堂であ~んはヤバくないか?


「それにほらぁ、変にパフェとかよりカレーの方が同棲感出ると思うんだよねぇ~」

「どうっ!?」


 同棲、という言葉に心臓が飛び跳ねた。

 確かに佳穂の言う事は一理あると言うか、あり過ぎると言うか、それを言われた瞬間に俺が小夏にあ~んをしている映像を思い浮かべたぐらいだ。


 でもそう考えると、小夏もされたいんだろうか……。


「だから鷹臣くん、ちょっと試しにやってみようよぉ」

「ま、マジでやるのか!?」

「もちろんだよぉ。だいじょうぶだいじょ~ぶ、スプーンは私が使ってるのそのまま使えば良いからぁ、さっきまでの勢いに任せてど~んぱく~っていっちゃおうよ~」

「ぱく~はともかく、ど~んは違わないか!?」


 食べさせる時の擬音じゃ絶対にない。

 しかし佳穂はもう乗り気らしく、俺に使っていたスプーンを手渡して来た。


「ほらほらぁ、あ~ん!」

「お、おぉ!?」


 そして佳穂が身を乗り出して、大きく口を上げた。

 ……女子の口の中、初めて見た。

 別に変な趣味は無いけれど、それなりに親しい女子が目の前で口を開いて食べさせてもらうのを待っているのは何かこう、グッとクルものがある。


「ははほひふん?(たかおみくん?)」

「ぐっ……!?」


 口を開けたまま、佳穂が喋る。

 何か本当にイケない、特にこのままだと更にイケない気がした。

 慌てて周囲を見る。

 みんな食事と会話に夢中なのと俺達の席が窓際だった為、他に見てる人はいない。


 ――やるなら、今が最大のチャンスだった。


「あ、あ~ん……!」


 だから俺はスプーンで激辛カレーをすくって、それを佳穂の口に運んでいく。


「あ~ん!」


 そしてそれを佳穂が大きく一口でくわえる。

 食べさせる前のドキドキの方が強くて、食べさせた後は良い食べっぷりだなとしか思わなかった。


「せん、ぱい……?」


 だけどそんな俺の背後から、小夏の困惑した声が聞こえてきたんだ。

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