オレっ娘ヒカルちゃん4話:体力テストで男子に勝つヒカルちゃん
ある秋の日、学校で身体測定があった。
毎年恒例の身長・体重・視力・聴力検査のほかに、今年は「体力テスト」として、握力、反復横とび、長座体前屈、上体起こし、そして「持久走」まであった。
ヒカルはこれまで体力テストでゆうまに負けたことがほとんどなかったけど、今年は特に「女の子が有利な種目」に目を輝かせていた。
一番の楽しみは「長座体前屈」――いわゆる「柔軟性」の測定だ。
体育館に並んだマットの上で、みんな順番に座って足を伸ばし、前のめりになってどこまで手が届くかを測る。
男子の番になると、ほとんどの子がガチガチで、マイナス圏内か、せいぜいゼロセンチくらい。ゆうまも頑張ったけど、+3センチで「うう……固い……」と肩を落とす。
次に女子の番。
ヒカルは余裕の笑顔で座ると、ゆっくり息を吐きながら体を前に倒す。手は軽々と測定器を押し、針がぐんぐん進む。
「+24センチ!」
先生が驚いた声で発表すると、体育館中に「えーっ!」というどよめきが起きた。女子の中でもダントツの記録だ。
ヒカルは立ち上がって、わざとゆうまの近くを通りながら小声で囁いた。
「ねえゆうま~、女の子って体が柔らかいんだよね。ゆうまは全然届いてなかったじゃん。悔しい?」
ゆうまは顔を赤くして「べ、別に……」とそっぽを向くけど、明らかにショックを受けている。
さらに追い打ちをかけるように、ヒカルはクラス中の男子に向かって大声で宣言した。
「やっぱり柔軟性は女子の勝ちー! 鉄棒の横回りも、更衣室も、そして体前屈も! 女の子最強!!」
女子たちは拍手と笑いで応え、男子たちはみんな俯いてしまった。
測定が終わって教室に戻る途中、ヒカルはゆうまの肩をポンと叩いて言った。
「ゆうま、握力とか走るのは男の子のほうが強いかもだけどさ、柔らかさは絶対オレたちの勝ちだよ。ふふっ、今日も優越感たっぷり~」
ゆうまは「もう……ヒカルはそればっかりだな……」と苦笑いするしかなかった。
それ以来、ヒカルは体育の時間になると「次はどの種目で女子が勝つか楽しみ!」と目をキラキラさせていた。
女の子であることの“有利”を、彼女はどんどん見つけて、ますます楽しんでいた。




