探偵とドジっ子
「この事件、解決した!」
「おお!! 本当ですか!」
ルードは決めポーズを取り、依頼人たちに事件の真相を話した。助手は傍で見守っている。
そして事件が解決した。
***
「ルードさん」
「なんだ? 助手」
「エミです! ねえルードさん。あれでよかったんですか?」
「何か問題でもあったか?」
「あんな風に犯人をぼろくそに言わなくても、仕方のないところもあったんですから」
「別にいいだろう。犯人は犯人だ」
「……それはそうですけど」
「しつこいぞ。今回の事件は終わったんだ。ほらエミ。他に何か事件はないのか? 私の天才性を発揮できる場所はないのか?」
「……えっとですね。あっ!!」
エミが紅茶の入ったカップを地面に落とす。カップは割れて、紅茶もぶちまかれる。
「エミ! なにやってんだ!」
「すみません! 拭きます片づけます!」
「全く」
そんな風に今日も一日が過ぎた。
***
翌日。
「殺人事件?」
ルードが紅茶を飲みながらエミに聞く。
「はい、屋敷で死体が発見されたみたいで。ルードさんに依頼が来てます」
「なら行くぞ! ワクワクしてきた」
「いいですけど、また依頼人とかをボロクソに言わないでくださいよ」
「知るかそんなこと!」
そんな風に二人で現場に向かった。
依頼人は屋敷に住む女領主で、使用人が殺されたのだという。
ルードとエミは現場を検証する。
屋敷の一室で、男の使用人が倒れていた。首には絞められた跡が残っている。
そして捜査が終わると、ルードは確信する。
「これは依頼人の息子が犯人だな。間違いない」
「……本当ですか? あんなに愛されてた息子さんだったのに」
「愛されてたかどうかはどうでもいい。ここの屋敷の人間は殆どが女だし、男と言えば老いぼれ執事くらいだ。どれもあの男の使用人の首を絞めて殺す力はない。その点、あの息子は若く、力がある。あいつ以外に考えられん。」
「でも依頼人さんは外からきた泥棒なんじゃないかって」
「そんなもの鵜吞みにするんじゃない。ほら、行くぞ」
「あ、ちょっとどこ行くんですかルードさん!」
「依頼人の元だ! ほら助手! 来るんだ!」
「エミです!」
そして二人が依頼人の所に行き、依頼人に真相を告げると、彼女は泣き出してしまった。
「自分の息子さんですもんね……」
エミが辛そうにする。
ルードは冷たい目で依頼人を見るだけだ。
***
二人は報酬をもらった後、屋敷を出た。
「……」
ルードは黙ったままだ。
「ルードさん」
「なんだ助手」
「エミです。えっとあんなに正直に言う必要あったんですか? もっと言い方があったんじゃ」
「言い方もくそもあるか。というかエミ、お前は甘い。ああいうのは誤魔化さずにしっかり伝えた方がいいんだ。そっちの方が依頼人も現実を直視し、直ぐに息子に対してどうすればいいのか判断できるだろう。あの依頼人も誰がやったのか気づいてただろうさ。だから誰も侵入した後もないのに、泥棒が犯人なんじゃないかとか言うんだ。あそこで無駄に気遣うと、変に息子への処罰を遅らせ、またこじれるんだ」
「……」
「なんだ?」
「いいえ。ルードさんがそんなこと考えてるなんて思ってもみませんでした」
「うるさい! 助手の分際で!」
「エミです!」
二人は話しながらも探偵局に帰ったのだった。
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