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掌編

探偵とドジっ子

作者: 綴 詠士
掲載日:2026/01/03

「この事件、解決した!」


「おお!! 本当ですか!」


 ルードは決めポーズを取り、依頼人たちに事件の真相を話した。助手は傍で見守っている。


 そして事件が解決した。


 ***


「ルードさん」


「なんだ? 助手」


「エミです! ねえルードさん。あれでよかったんですか?」


「何か問題でもあったか?」


「あんな風に犯人をぼろくそに言わなくても、仕方のないところもあったんですから」


「別にいいだろう。犯人は犯人だ」


「……それはそうですけど」


「しつこいぞ。今回の事件は終わったんだ。ほらエミ。他に何か事件はないのか? 私の天才性を発揮できる場所はないのか?」


「……えっとですね。あっ!!」


 エミが紅茶の入ったカップを地面に落とす。カップは割れて、紅茶もぶちまかれる。


「エミ! なにやってんだ!」


「すみません! 拭きます片づけます!」


「全く」


 そんな風に今日も一日が過ぎた。


 ***


 翌日。


「殺人事件?」


 ルードが紅茶を飲みながらエミに聞く。


「はい、屋敷で死体が発見されたみたいで。ルードさんに依頼が来てます」


「なら行くぞ! ワクワクしてきた」


「いいですけど、また依頼人とかをボロクソに言わないでくださいよ」


「知るかそんなこと!」


 そんな風に二人で現場に向かった。


 依頼人は屋敷に住む女領主で、使用人が殺されたのだという。


 ルードとエミは現場を検証する。


 屋敷の一室で、男の使用人が倒れていた。首には絞められた跡が残っている。


 そして捜査が終わると、ルードは確信する。


「これは依頼人の息子が犯人だな。間違いない」


「……本当ですか? あんなに愛されてた息子さんだったのに」


「愛されてたかどうかはどうでもいい。ここの屋敷の人間は殆どが女だし、男と言えば老いぼれ執事くらいだ。どれもあの男の使用人の首を絞めて殺す力はない。その点、あの息子は若く、力がある。あいつ以外に考えられん。」


「でも依頼人さんは外からきた泥棒なんじゃないかって」


「そんなもの鵜吞みにするんじゃない。ほら、行くぞ」


「あ、ちょっとどこ行くんですかルードさん!」


「依頼人の元だ! ほら助手! 来るんだ!」


「エミです!」


 そして二人が依頼人の所に行き、依頼人に真相を告げると、彼女は泣き出してしまった。


「自分の息子さんですもんね……」


 エミが辛そうにする。


 ルードは冷たい目で依頼人を見るだけだ。


 ***


 二人は報酬をもらった後、屋敷を出た。


「……」


 ルードは黙ったままだ。

 

「ルードさん」


「なんだ助手」


「エミです。えっとあんなに正直に言う必要あったんですか? もっと言い方があったんじゃ」


「言い方もくそもあるか。というかエミ、お前は甘い。ああいうのは誤魔化さずにしっかり伝えた方がいいんだ。そっちの方が依頼人も現実を直視し、直ぐに息子に対してどうすればいいのか判断できるだろう。あの依頼人も誰がやったのか気づいてただろうさ。だから誰も侵入した後もないのに、泥棒が犯人なんじゃないかとか言うんだ。あそこで無駄に気遣うと、変に息子への処罰を遅らせ、またこじれるんだ」


「……」


「なんだ?」


「いいえ。ルードさんがそんなこと考えてるなんて思ってもみませんでした」


「うるさい! 助手の分際で!」


「エミです!」


 二人は話しながらも探偵局に帰ったのだった。






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