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【23】帰って来た騎士侯爵

⋅.˳˳.⋅ॱ˙ ˙ॱ⋅.˳˳.⋅ॱ˙ ˙ॱᐧ.˳˳.⋅ॱ˙ ˙ॱ⋅.˳˳.⋅ॱ˙ ˙ॱᐧ.˳˳.⋅

【祝】コミカライズ決定!!

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(๑´ω`ノノ゛ わーぱちぱち♪

第1章でご好評を賜りまして、この度コミカライズが決定いたしました!!!

本当にありがとうございます。


1章1話目で即死していた旦那様も、無事に生きて帰ってきました。

2章も楽しく参りますので、どうぞよろしくお願いいたします!

セルジア王国、王都の目抜き通りは人々の歓声と花吹雪に満ちあふれていた。凱旋門をくぐり、英雄レオンの騎馬が悠然と進んでゆく。空には全長3メートルほどの竜たちが滑空し、レオンの進む速さにぴたりと合わせていた。


「ノイエ=レーベン侯爵だ……!!」

「あれが竜侵攻を鎮めた英雄か!」

「万歳! 英雄レオン、万歳!!」


熱気に満ちた観衆の声が、大波のように押し寄せる。沸き立つ観衆の中、レオンはにこりともせず静謐そのものだった。レオンの周囲を守るように進む近衛騎士隊の堂々たる姿も、レオンと比べれば霞んで見える。


銀髪碧眼の鋭い美貌と鍛え抜かれた巨躯――圧倒的な強者の威厳。

人々は嘆息した。――彼こそが完全無欠の『氷の騎士侯爵』、レオン・ノイエ=レーベンなのだと。


やがて英雄レオンは、王宮前広場に到着した。

馬を下り、国王の御前にひざまずく。国王は王杓を掲げ、高らかに宣言する。


「我は、ここに称えよう。魔の森の悪しき邪竜を屠り、誇り高き竜族と和睦を結んで帰った救国の英雄――レオン・ノイエ=レーベンの功績を!」


わぁぁぁぁあ――と歓声が沸き上がり、広場が拍手喝采に満ちる。


国王が合図を送ると、舞台袖から美しい貴族女性と愛らしい少年が姿を現した。レオンの妻ジェシカと、幼い息子アレクである。


「ここなるは英雄の妻ジェシカと、子のアレク。6年前に邪竜討伐に赴いたレオン卿は戦死とされ、アレク卿が爵位を継承した。賢母ジェシカ夫人の導きのもと、領地は善く治められていたが――今、英雄の帰還によってすべてがあるべき形へ戻る。侯爵位は父に返還され、アレク卿は再び子として学ぶ身となるのだ」


居合わせた平民も貴族も、祝福に満ちた瞳で彼ら三人を見つめた。死別したはずの主人の帰還――妻と子にとって、これ以上の喜びはあるだろうか? 


「さあ、国民たちよ! 神に感謝を捧げよう! この尊き家族を、再び巡り合わせた神の奇跡に――」

大広場に響き渡った国王の言葉に、凱旋式は最高潮を迎えた。


……ところが。

主役であるはずの家族3人がなぜか、どこかぎこちない。

群衆の中には、怪訝そうに首をかしげる者も多かった。

「……なぁ。どうして感動の再会なのに、あのご家族は笑わないんだ?」

「そうだな。普通、泣いたり抱き合ったりするもんだよな。……英雄の帰還だぞ?」

氷の騎士侯爵が笑わないのは、まあ一応は納得できる。だけれど、妻と子までやたら硬いのはなぜだろう?


不思議そうにしていた者たちの中、誰かが閃いたように両手を打った。

「いや。むしろ、ああいうのが『貴族流』の家族の再会なんじゃないか?」

「……どういうことだ?」

「だから。やんごとなき方々は、きっと人前では感情を見せたりしないんだよ」

あぁ、なるほど!! と、周囲の者も合点がいった様子である。


「そうか。家に帰ったら、抱き合って喜ぶんだ!」

「なるほどなー。さすが高貴な身分の方は違うぜ」

人々はそう納得し、再び歓声を上げた。


ジェシカとアレクの胸の内を知る者は、きっと誰もいないはずだ。二人は、顔をこわばらせながら互いに目線を合わせた。

(アレク……)

(……ママ)

((これからどうしよう――?))


貴族淑女らしい楚々とした出で立ちで広場中央に立つジェシカだが、彼女の背筋にはびっしょりと冷たい汗が流れ続けている。……だってジェシカは、レオンの実母バーバラを断罪してしまったのだから。



――レオンが魔の森から帰還して、すでに1か月が経っている。

帰還直後に顔を見せに来たものの、そのあとはすぐ王宮へ向かい、ほとんど顔を合わせていない。王への謁見や諸々の報告、竜族との正式な和平の取り決めなどに追われているらしく、気づけばあっという間の1か月だった。家族でじっくり語り合う時間など、一度もなかった。


かろうじて『あなたの子どもが生まれました』とアレクを引き合わせる機会はあったが、それも侍従や文官に囲まれた、公務の延長のような場面だった。


そのときのレオンは、ずいぶんと長い間絶句していた。鋭さが抜け落ちて、ぽかーんとした顔だった。

笑顔ひとつ見せなかったのは、喜んでいないからだろうか……?

いや、まさか世継ぎの誕生を不満に思う訳がない。

きっと現実離れした出来事に、ただただ戸惑っていたのだろう。


(……私だって、一夜のことで子どもが生まれるなんて思わなかったもの)


でも、レオンは宮廷で「ありがとう」と言ってくれた。……ひどく平坦な声ではあったけれど。

ぎこちなく、アレクの頭を撫でてもくれた。……一方のアレクは、警戒心剥き出しでイヤそうな顔をしていたけれど。


(バーバラお義母様が罪を犯して失脚したことは、王宮からすでに説明済みらしいけれど。……でも、旦那様が納得するとは思えないわ)


彼は英雄である以前に、あのバーバラの『最愛の息子(レオンさん)』なのだから。軟禁されているバーバラを解放して、ジェシカに復讐する可能性だってある。


ジェシカは、おずおずと夫を見上げた。相変わらず感情が読み取れない。無表情で国王に拝礼している彼が、今なにを思っているのかさっぱり分からない。


先行きまったく不透明。

緊張を隠し切れないジェシカの手を、アレクがぎゅうっ……と握っていた。

明日も続話を投稿します!

連日投稿を目指してがんばりますので、応援よろしくお願いします!


久々の……

*₊_ ( 」`・ω・ )」▁▂▃▅▆▇█▓▒パウァ

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― 新着の感想 ―
 お待ち申し上げておりました!  とても嬉しいです、おかえりなさい、ジェシカ、アレク、そしてレオン!  せっかく再開出来たのに……次回以降がとても楽しみです。
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