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40話 助かった命

『――え?』


 隣にいた機体から悲鳴が聞こえる間も無く、セージによって破壊される。

 俺は降って来るセージを躱しながら、襲いかかって来る個体を撃ち続けていた。


『神谷二等兵、闇雲に撃ち続けてもキリがないぞ。ここでは近接装備に切り替えて戦え!』

「りょ、了解!」


 嶋田少佐言われるがままに近接用装備に切り替える。

 しかし、斬っても斬っても一向に減る気配が見えない。


『ひっ……やめ――』

『嫌だ!死にたくない――』


 時間が経つに連れて、味方が一機、また一機と減らされていく。

 焦りと不安に駆られながらセージを一体ずつ屠り続ける。

 慣れない機体に四苦八苦しながらも、襲いかかって来るセージをあらかた倒し一息つこうとしたところ、近くから叫び声が聞こえた。


『やだ……誰か……助けて……』


 声が聞こえた方を向くと、腕を壊され、戦う術が無くなってしまった大和がセージによって追い詰められていた。


 ――クソッ。

 考えるより先に体は動いていた。

 俺の乗っているイーグルはの強みは、その圧倒的な加速力にある。

 ぶっつけ本番のため、性能をフルに活かすことはできないが、それでもこの距離なら助けられる。

 大和を掴んでいたセージを無理矢理剥がし、近接装備のナイフで斬り伏せる。


 倒れ込んでいた大和から、ありがとう、とお礼が聞こえて来た。

 嫌味は言われど、お礼を言われるような行動をあまりとってこなかったからか、少し恥ずかしさが出て来てしまう。

 

 ども、と返事をし、ひとまず持っていた銃を渡そうと思ったが、残っている腕からは火花が散り、力なく垂れ下がっているのを見て断念する。

 装備を持てないなら安全な位置まで撤退させた方がいいと考え、手を差し出し機体を起き上がらせる。


「俺が援護するので、ここから撤退し――」

『危ない!』

「――!」


 背後に迫っていたセージに気づくのが遅れる。

 振り向くと、セージが大口を開けて噛みつこうとしていた。


「チッ、せっかくここまで来たのに!」


 この距離では、避けることも、迎撃することも間に合わない。

 ここまでか、と死を覚悟し目をつぶった。


 しかし、いくら待っても攻撃は来ない。

 ひょっとすると、もうとっくに殺され、あの帰り道に戻ってきてるのではないか。

 そう考えていると、近くからグチャッとトマトを床に叩きつけたような音が聞こえた気がした。

 急いで目を開けると、そこにセージの姿はなかった。


 辺りには綺麗に両断されたセージの残骸が転がっており、目の前には漆黒の大和が佇んでいた。

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