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38話 初陣

「神谷二等兵、戻りました」

『さっきまでの緊張は和らいだかな?』

「はい!ご心配をおかけしました」

『よし、もうすぐ僕たちの出撃する時間だ。みんな、犬死にだけはするなよ』

『『了解!』』


 今回の作戦をざっくりと説明すると、大穴に侵入したのちに敵本隊到着前に爆弾を設置、敵本隊が通過するタイミングで爆発させ、残りを各小隊が殲滅するといった内容だ。


 俺たち第0小隊の動きは主に2つだ。

 1つ目が、各小隊の押し負けているところへの支援。

 2つ目が、味方が撤退、または後退する時の殿である。


 そもそも第0小隊が精鋭の選抜らしく、状況によっては単機での行動をする必要があるらしい。

 本当に俺にこんな大役が務まるのだろうか……。


『時間だな……。第0小隊出撃する、僕の後について来い!』


 伊田大佐の大和は他の機体と違い、黒を主軸としたカラーリングをしているため、続いて出撃していく大和とは少し離れても違いがわかる。

 置いてかれまいと、練習と同じようにレバーを倒した瞬間、とてつもない加速で機体は空へと放り出された。


「うわぁぁぁぁぁぁあああ」

『落ち着け!スラスターのレバーを傾けすぎてるだけだ。大和と違ってイーグルはスピードが速く出るように設計されている。少し傾けるだけで自動的に体勢を制御してくれるはずだ!』


 焦っている最中、聞こえてきた嶋田少佐の助言に従い、何とかレバーを調整する。

 しばらく体勢を維持させるのに時間がかかったものの、何とか隊の後方でついていくことが出来ていた。


『流石だね。初めて乗る機体にもう慣れてきてるじゃないか』

『酒で酔ったみたいになってるっすけどね』

『……香山中尉は初陣の時にすぐに墜落してたって聞いてる。他にも――』

『早川少尉、私語は謹んでもらおうか』


 これ以上黒歴史を掘り返されるのを防ぐため、早川少尉の言葉をいち早く遮る。

 それを聞き、クスッと笑い声を漏らす伊田大佐。

 これからこの国で過去に類を見ない作戦が始まるとは思えない空気感がこの場を満たす。

 そうこうしているうちに、俺たちは大穴へと辿り着いた。

 先遣隊からも特に異常は知らされず、全ての部隊が滞りなく侵入することができた。


 大穴の中はライトをつける必要がないほどには明るい。

 慎重に進んでいくものの、特に何も起きることはなく、本部からの報告では敵が途中で停止していることから、交戦するのはまだまだ先というくらいしか情報がなかった。


『なんかまだ戦闘が始まるのも先ですし、一旦休憩としません?こんなずっと張り詰めてても、いざという時に参っちまいますよ』


 香山中尉の言うことは一理ある。

 敵が動かない以上、ずっと張り詰めていても疲れてしまうだけだ。

 それならば交代で休みを取ったほうが体力的にも良いだろう。

 しかし、伊田大佐の判断は違った。


『気持ちはよくわかるが、もう少しだけ待ってくれ。何か嫌な予感がするんだ』

『……伊田大佐の予想は当たったことがない』

『そんな辛辣なこと言うなよ、早川少尉。それがフラグになるかも知れ――』


 ドンッと突如俺たちを凄まじい揺れが襲う。

 あまりにも早すぎるフラグ回収だ。

 まるであの日の、この大穴ができた時と同じような揺れの強さだ。


 しばらくすると揺れは治った。

 第0小隊に支障は無く、全体通信にて続々と安否の確認が始まった。

 最前線から、俺たち第0小隊のいる中間地点、その少し後方までの無事が確認された。


 しかし、一向に最後尾の部隊からは連絡が届かない。

 後方の確認へ向かおうと、伊田大佐が指示を出した時、本部からの連絡が入ってきた。


『緊急事態です!後方に多数のセージ出現。最後尾の2小隊が全滅。第0小隊までの部隊は速やかに戦闘に備えてください!』


 終わらない悪夢が始まろうとしていた。

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