32話 中央司令室
細石とのマウント合戦がヒートアップしてきてはいたが、春乃が俺の分の食事も持ってきてくれたことでその場はお開きとなった。
2人で部屋に戻ったはいいが、廊下でのハプニングもあり、彼女になんて話始めようか戸惑っていた。
しかし、普段通り様々な話題を振ってくる春乃に、段々とそんな戸惑いも馬鹿らしくなってきてしまい、気がつくといつも通りの接し方に戻っていた。
「へぇ〜、細石君も軍に入っちゃうんだ」
「まぁ、まだ100%決まったわけじゃないけどな」
ふーん、と言いながら頬をハムスターのように膨らましてご飯を食べ進める。
そんな彼女を見て思わず笑みがこぼれてしまった。
「……?どうかした?」
「いや、なんでもない。それより今日はもう疲れたから寝るわ」
食事を終えた俺は、まだ食べている春乃にそう言い残して早めに布団に入り込んだ。
「おやすみ、春乃」
「おやすみ〜」
目を閉じて明日のことを考えていると、意識が徐々に朦朧としていき、気がつくと眠りに落ちてしまった。
――
――――
コンコン。
ドアをノックする音で目が覚める。
時計の針が午後11時を指しているため、何か急ぎの用事が入ったのかと思いドアを開ける。
すると、ドアの前に立っていたのは昼間練習場にいた、爽やかイケメンのパイロットだった。
「悪い、眠っていた見たいだね。申し訳ないが、神谷中佐から新人君を呼んできてほしいって頼まれてね。これから中央司令室で重要な話があるから、僕と一緒に来て欲しい」
「わかりました。また、あの化け物が出てきたわけじゃないならよかったです」
「ハハハッ、それなら君を叩き起こしてるところだよ!それじゃあ、行こうか」
先輩パイロットに連れられ、中央司令室へと小走りで向かう。
道中、急に何かに気がついたのか、先輩パイロットが話しかけてきた。
「そういえば、自己紹介がまだだったね。僕は第0小隊の伊田 幸宗だ。よろしくね」
「お……私は神谷廻人です。よろしくお願いします。……第0小隊ってなんか特別感があってかっこいいですね」
「ハハッ、そんなことないよ。他の隊と対して変わらないからね」
話をしているうちに中央司令室に到着した。
中へ入ると、すでに大勢の人たちが待機している状態だった。
「お待たせいたしました。伊田大佐、神谷二等兵到着いたしました」
それを聞くと、中央の1番目立つ場所にいる白髪混じりの男が話し始めた。
「全員揃ったな。では、これより偵察部隊からの報告、並びに未知の敵について全世界で決められたことを伝える」
場の空気が張り詰め、集まった人たちに緊迫感が漂い始めた。




