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30話 親友

「ハァ……ハァ……」

「今日はここまでにしよう。明日に備えてゆっくり体を休めておけ」

「は……はい…………」


 そう言うと父はどこかへ行ってしまった。

 

 休憩を挟みつつ、約9時間。いくらパイロットスーツを着ているといえど、素人の俺にかかっている負担はかなり大きい。

 他のパイロットの人達は、日々の訓練の賜物かケロッとしている。

 そのうち何人かが、俺への労いも兼ねてか軽食や飲み物を差し入れてくれた。

 シャワーを浴びた後部屋へと移動していると、見慣れた顔が廊下の先からこちらへやってきた。


「よう、廻人」

「細石……!無事だったんだな」

「あたぼうよ。積もる話もあるんだが、それよりも先にお前に頼み事があるんだ」

「頼み事……?」


 細石から俺に頼まれごとだなんて想像もしていなかった。

 レポートや課題を見せてほしいと、いつも頼む側だったのだからなおさら驚きを隠せない。

 

「あぁ。俺をパイロットにしてほしい」

「……は?」


 想像を超えてきた頼み事に更に驚愕してしまう。


「かなりの無理難題を言ってるのはわかってる。でも、親友のお前が頑張ってるのを見て、ただ安全なところで守ってもらうなんて出来ない」


 親友、という言葉を聞き、嬉しさから顔がニヤケそうになるのを我慢する。

 

「いや……え、どこで俺がCAに乗ってるのを……?」

「俺ら避難者たちの場所からしばらく行ったところで練習してるのが見えるんだよ」

「え……でも何で俺だって……」


 そうだ練習してるのが見えたんだとしても、俺が乗ってるかどうかはわからないはずだ。


「わかるさ。……昔、よくロボットロワイヤルで遊んだだろ?お前の動きが全く同じだったんだよ」

「ロボットロワイヤル?」

「次作がゴミで有名な、あのロボロワだよ」


 ――そうだ、そんな名前だった!

 今まで作品名を思い出せず、心の中で少しモヤついていたが、細石のおかげですっきりとした。


「俺の動きなんて、そんなにわかりやすかったか?」

「小学校の時ずっと遊んでたからな。相手の動きを分析するまで受けに回ってただろ?その時の躱わす動きとかまんまだったぞ」

「マジか……」


 自分でも知らなかった癖を見抜かれていたことに、恥ずかしさが込み上げてくる。


「まぁ、その話は置いといて。頼む、俺を軍に紹介してくれないか」

「……」


 細石に隣で戦ってもらえたらどれほど嬉しいことか。

 OKと口に出そうとした時、脳裏に保健室での佐倉大尉の姿が思い浮かんだ。

 ――そうだ。簡単には了承できねぇ……。

 ゲームと違い、一つのミスが命に関わってくる。

 死ぬ可能性がある以上、できるだけ細石には安全なところにいてもらいたい。

 何とか断ろうと理由を考えていると、それを感じ取ったのか細石が口を開く。


「頼む、廻人。親友のとしてのお願いだ」

「いや……でも……」

「頼むよ、親友のお前しか頼れないんだ!」

「お前親友って言っておけば俺が折れるって思ってない?」


 チッ、と舌打ちをされる。


「もういい、お前の親父さんに直談判してくる!」

「待て待て待て、いきなりだなんてそんなこと――」

「私に何か用か?」


 声のする方向を向くと、そこには今1番いて欲しくない人物が立っていた。

いつもご覧いただきありがとうございます!

1日1更新を心がけていたのですが、次回からは筆者の都合により週2〜3回の更新となります…。

完結しないまま放り投げることは致しませんので、温かい目で見守りいただければ幸いです!

今度ともネバーソリチュードをよろしくお願いいたします。

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