25話 黙っていれば…
「見慣れない天井だな……。家じゃないんだから当たり前か」
目を覚ますと俺はベットの上に寝かされていた。
周りを見るに保健室なのだろうか。
起きあがろうか迷った末に、まだ少し頭が痛むためもう一度横になる。
しばらくすると保健室のドアが勢いよく開けられ、佐倉大尉が寝ている俺の元へやってきた。
「ごめんね〜。君の動き見てたらつい戦いたくなっちゃって。体は大丈夫?」
「大丈夫に見えます?今日だけで2回も気絶させられてるんですが」
「あっはっは、それは災難だね!」
――なに笑ってんだ、こっちは散々な目に遭ってるんだぞ!
美人でなければぶん殴っていたと、心の中で愚痴をこぼす。
「まぁ、今日のところはゆっくり休んでてよ。また明日からビシバシ鍛えてあげるから!」
帰り際にウインクをした彼女に、少しドキッとした。黙っていればさぞモテるだろうに、と思ったがそれは心にしまっておく。
しばらく横になってゴロゴロしていると、突然施設内に警報が響き始めた。
『緊急連絡、横浜より再度敵が出現しました。その数約500!出撃できるパイロットはすぐに出撃準備に移行してください!繰り返します。横浜より――』
半日ぶりの警報に驚いて飛び上がる。
――敵の数が500!?そんな数はたして倒すことができるのか……?春乃が心配だな。最悪、俺が余ってるCAを使ってでも守らないと。
まだ怠さの残る体を動かし、春乃の元へと向かった。
――
――――
牢はもぬけの殻だった。
近くにいた軍人のおっちゃんに話を聞くと、部屋を移動したとのことだった。
軍としても流石に牢に入れっぱなしなのは申し訳がないとのことで、余っているパイロット用の部屋へと移動したらしい。
教えてもらった部屋へ辿り着くと、不安そうな顔をした彼女がベットに腰をかけていた。
「あ、カイちゃん。大丈夫だった?」
「あぁ、まだちょっと体が怠いけど大丈夫だ」
「良かった〜。でも、どうしてここに?」
「さっき警報があっただろ。お前が不安になってると思ったからな」
変な誤魔化しを入れず、思ったことをそのまま口に出したのだが、普段の俺からは考えられない答えだったらしく、目を点にして固まっている。
「……ありがと」
彼女も素直に感謝を口にした。
――いつもこれくらいなら可愛げがあるんだけどなぁ。
とりあえず俺も部屋に置いてある椅子に座り、体を休める。
しばらく何気ない会話を続けていると、朝が早かったせいかまぶたの重さに耐えきれなくなり始めた。
春乃に少し寝ることと、何か状況が急変したら起こしてもらうようお願いをし、ベットに横になる。
おやすみ、と告げるとそこから数十秒も経たないうちに深い眠りに落ちた。




