22話 閉ざされた退路
無理矢理連れてこられた別室。
取り調べ室と言えばいいのだろうか。
俺は案内されるがまま渋々椅子に座ると、正面の椅子に父さんが座り、その俺達を囲うように父さんの部下が立っている。
「ほら、やっぱり尋問する気じゃねぇか!人権侵害だぞーー!」
「うるさい!男ならギャーギャー騒ぐんじゃない、みっともないぞ」
「うるせー!これが軍のやることかーー!」
悪い方向に転がると決まっている尋問など受けたくもない。それを回避するべく騒ぎまくっている俺を、父さんは拳骨で黙らせる。
「いっっってぇ!」
「これに懲りたら少しは大人しくするんだな。まともに話もできん……」
「暴力で黙らせようだなんて、軍人のやることかーー!」
再度頭に拳が降ってくる。
体を鍛えてる人の拳骨など、これ以上はただで済むはずがない。
暴力に屈したくはないが、こう何回も殴られてはたまったもんじゃないので口を閉じる。
「ハァ……。お前といると余計疲れる気がするよ」
「じゃあ、とっとと春乃のところへ帰してくれ」
「それはまだできん。お前に1つ、お願い事が――」
「嫌だ!断固拒否する。絶対ろくなことじゃねぇもん」
俺の本能がこれ以上聞くな、と訴えてくる。
「ならいいのか?お前があの状況をどうやって知ったのか吐かないなら、お前の尋問担当は今後俺ではなく、本職の拷問官がやることになるぞ」
恐ろしい単語が廻人の耳に入って来た。
――拷問官?冗談じゃねぇ、そんな奴にループして来たとか言ったら余計苦しい思いをさせられるだろ。
「……わかった。で、俺へのお願い事ってなに?」
聞きたくはない、聞きたくはないんだが、背に腹はかえられない。
「単刀直入に言おう。お前、CAのパイロットにならないか?」
――ならなきゃ殺すってか?絶対嫌だよ。百パーすぐに死んじまうよ。
「……嫌だって顔だな」
「そりゃそうだろ。第一俺なんかがパイロットになれるわけねーよ。こんな事態にぺーぺーのやつが入っても肉壁にしかならねぇよ」
こんか世界規模での緊急事態で、操作方法もわからない一般人が入っても意味がないだろう。
そう考えることによってなんとか逃げようとするも、父さんが退路を断ち切ってくる。
「お前、昔ロボットゲームやってだろ。レバーとかで動かすやつ」
「あぁ、あの次作が大コケしたやつか」
「そうだったのか……。まぁ、それは置いといて、実は日本のCAはあのゲームでの操作を元にして作られてるんだ」
「――は?嘘だろ、俺は騙されねぇよ」
「本当だ。昔の他国から輸入して来たやつは操作が複雑でな。新兵じゃ到底扱えないとのことで技術者が色々と模索していたんだ」
――ヤバい、この展開は非常にマズイ。これ以上話を引き延ばされないためにも、眠いから明日考えるとかなんとか言って逃げちまおう。
「父さん、ちょっともう眠いからさ、また明日にし――」
「ここで承諾しなければ、お前のスマホのエッチなデータを全世界にばら撒くぞ」
「やります!明日からやらせていただきます!」
ニヤリ、と父さんが笑ったのを見て、俺はこれ以上抵抗できない悔しさから空を見上げる。
チクショー!という俺の叫びは口から出ることはなく、ただ心の中で反響していた。




