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21話 悲壮な叫び

 牢に入れられてから3時間が経過した。

 未だに軍は対応に追われているせいで、俺たちは放置され続けている。


 ――ぶっちゃけ暇だ。

 隣からはイビキが聞こえてくるが、俺は全く眠くならず

にいる。

 こんなにも目がさえてしまっているのは、少し前にエナドリを大量に飲んで徹夜した時以来だ。

 あの時は大変だった。

 なんせ、課題に全く手をつけず遊んでばかりいたために、徹夜をしなければ絶対に終わらない量を溜め込んでしまっていたからだ。

 今が暇すぎるからか、思い出すことはキツかったことばかり。

 そんなことを色々考えていると、俺の肩の辺りに湿り気があることに気がついた。


「……!おい、春乃、ヨダレが――」

「いただきま〜す」


 ガブリ、と俺の肩が噛みちぎられそうになる。


「ギャーーーーーー!!!」

「うわっ!びっくりした〜」


 俺の絶叫に驚き、その元凶が目を覚ます。

 どうしたの、と自分のやったことに気がついていない彼女の頭を思いっきりチョップする。


「いったぁぁぁい!何すん――」

「お前が寝ぼけて俺に噛み付くからだ!大体お前夢の中で食い過ぎだろ」

「だってお腹すいたんだもん!夢の中でくらい食べたっていいじゃん!」

「夢で食う分にはいいけど、俺を食おうとすんな!」

「カイちゃんなんて食べないよ〜。なんか臭みがありそうだもん」


 失礼なことを言う彼女の頭を再度ぶん殴る。


「――ッッ!何すんのよ!そうやってレディに手をあげたりするからモテないんだよ!」

「ほ、ほっとけ!第一お前が――」

「カイ、レディに手をあげるのはいただけないぞ」

「――!」


 不意に聞こえた馴染みのある声に驚く。

 そこには、腕を組んでこちらを呆れて見ている父さんたちの姿があった。

 言い争いを聞いていたのか、やれやれと首を振り、俺への説教が始まる。


「カイ、いくらイラッときたからと言って、女の子を叩くのはダメだぞ」

「俺は肩を噛みちぎられそうになったんだが!?」

「ハハハ、それくらい大目に見てやれ!」

「ダメだ、こりゃ。完全に春乃の味方になってやがる」

「まぁまぁ、その辺で……」


 泣き寝入りを決め込もうと毛布にくるまった俺に、このままだと埒が開かないと思ったのか、父さんの部下が話を進めようとする。


「オホン!じゃあ学校での続きといこうか。すまないが、加賀美さんはここで待っていてくれ。カイ、お前は別室で話がある」

「……嫌だ」


 どうせ、どうやってあの状況を知ったか聞かれるだけだ。誤魔化しても本当のことを言っても、悪い方向に転がる未来しか見えない。

 ならば絶対にここから離れない、と意地になって毛布にくるまる。


「カイ、何もお前に無理矢理聞こうと言うわけじゃないんだ」

「嘘だ!俺は信じないぞ!」


 ――絶対に騙されるもんか!

 そう心に誓った俺の周りを父さんの部下達が取り囲む。


「ハァ……、お前に拒否権はないんだよ。お前ら、さっさと連れて行け!」


 俺を包んでいる毛布ごとがっしりと掴まれ、別の部屋へと連れ去られて行く。


 その日軍には、俺の嫌がる魂からの叫びが響いていたと言う……。

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