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20話 悪化していく状況

 拘束された俺と春乃は、父さんのCAに乗せられ、部下一名と共に軍事施設へと移動していた。

 残りの2名は学校にいる避難者たちの護衛に回っている。

 ――これで学校は安全だな。

 そう安堵しているのを見て取れたのか、父さんが俺にとあることを伝える。


「カイ、あの化け物がうちの地点からどれくらい現れたのか、知らないのか?」

「……わかんない」

「現時点で50は超えているらしい」

「50!?」

「あくまで現時点で、だ。それも現在進行形で出て来ているらしい。種類も約5種類、確認している」

「マジか……」


 俺が見ているのは、学校を襲った巨腕、千代先生を襲った赤子、自宅の方角に見えた山のようなでかい腕、前回公園で襲って来た個体の4体だ。


「ちなみに羽の生えた奴もいたから気をつけろよ」

「は!?てことは、空を飛ぶのか?」

「いや、不幸中の幸いと言うべきか飛んでる姿は確認できなかった。……というよりも羽をばたつかせても飛ぶことができていなかった、と表現した方が適切かもしれん」

「……」


 今はまだ飛べていないけど、それを克服してくる可能性は0ではない。


「つまり、安全地帯と確約された場所など、どこにもないんだ」


 事態は思っていたよりも深刻だった。地面を破壊するほどの力を持つ腕あれがいるだけで安全地帯など無いに等しい。

 春乃は今までの話を聞き不安になったのか、俺の側に寄り添って来た。


「大丈夫だ、安心しろ」

「うん……」

「……」

「……」


 なんて声を掛けるのが正解か分からず、コックピット内が沈黙で包まれる。


 ――

 ――――

 軍事施設が近づいて来たタイミングで、コックピット内に無線が入った。


 『緊急連絡です。横浜の敵出現地点より、敵、新たに約200体出現!付近にいるCA各機は一般市民の護衛を最優先とします。繰り返します。横浜の――』


 ――は?200?

 ついさっき聞いた数の4倍が横浜に出現した。

 前に父さんに施設を見学させてもらった時は、横浜にあるCAの数は48機と言っていた。

 これ以上増えることがあるなら他からの救援に頼らないと一般市民を守りきれなくなってしまう恐れがある。


「聞いたな、カイ。最優先事項が一般市民の救助に変わった。悪いが加賀美さんと一緒に施設の牢に一時的に入れさせてもらう。いいな?」

「あ、あぁ、わかった」


 軍事施設に着くと俺と春乃は、待っていた年配の軍人に引き渡された。

 父さんと付き添ってきた部下一名はすぐに学校方面へ戻って行く。

 遠ざかって行くCAの音を背に、俺らは地下の牢屋へと連行されたのだった。


 ――

 ――――

「悪いね、こんな狭い牢に入れることになって。君が神谷さんの息子なのはわかってはいるが、命令だからね」

「いえ、いいんです」


 再度年配の軍人が謝ると、この場から去って行った。

 しばらくは軍もやることが多いだろうし、今のうちに春乃を休ませることに決めた。


「春乃、疲れてるだろうし少し寝てていいぞ。何かあったら起こすから」

「ありがとう、カイちゃん……」


 そこから彼女のいびきが聞こえてくるまで、そうかからなかった。

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