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19話 危機一髪

 押し潰さんと振り下ろされる腕。

 俺は死を覚悟し、目を瞑る。


 ――……あれ?

 すぐに来ると思っていた衝撃がやってこない。

 おそるおそる目を開けると、目の前にあったのは腕ではなく、全身から血飛沫をあげている化け物だった。


「な、何だ、何が起きたんだ……。」


 爆弾は先ほど全て消費した。

 巨腕の化け物を殺せるものはもうないはず。ならばどうして目の前の化け物は絶命しているのだろうか。


 その疑問を解消する音が上空から聞こえてくる。

 ゴゥ、とスラスターの音を響かせ、この国のCA 【大和】が4機、この場に降りてくる。


 『カイ、待たせたな。加賀美さんも無事でよかった』


 もう来るはずがないと思い込んでいた、父さんの率いる1部隊が駆けつけた。


 4つの機体の内、隊長機だと思われる機体から父が降りてきた。


「カイ、遅れてすまなかった」

「本当だよ。もう来ないものだと思ってた。」

「色々芳しくない状況でな。やっとの思いで上を説得して1部隊分借りてこられたんだ。たまたま爆発するのが見えたから、お前たちのいる位置をスムーズに把握することができたわけだ」


 もっと早く救援に駆けつけてきていたら、千代先生も助けられたのに。そう思いはしたが、口には出せない。その代わりに、自分の唇から血が出る勢いで噛み締めた。


「本当にすまなかったとおもっている。どこまでお前が知っているのかはわからんが――」

「何もわかんねぇよ!何なんだよ、アイツらは。一体ここで何が起こってるって言うんだよ!」

「ここだけじゃない、全世界でだ」

「……え」


 ここだけの出来事かと思っていた。そんな想像を遥かに超える規模だと聞き、思考が止まってしまう。


「正確には、全世界の主要都市でだ。日本でもここ横浜以外に、東京、大阪、札幌、京都、福岡……今被害報告を受けているだけでも6箇所が襲われている」

「なんで……そんなことに……」

「わからん、原因は不明だ。それよりも、なぜお前は私が周りに伝えるより前に、自宅が襲撃されるポイントだとわかった?」

「……へ?自宅?……え、は?」

 

 言ってる意味がわからない。確かに前回公園で見た腕の方角は家の方だった。でも、まさか自宅がピンポイントで発生源だとは思いもしなかった。


「質問を変えよう。カイ、お前どこでその情報を知った?」


 父の声に圧がのっかる。

 とても、ループして来たから何が起こるか把握できていたなどと言える雰囲気ではない。

 ――やべぇ……どうする?……怖ぇよ、あの眼光。もうなんとか誤魔化して乗り切るしかねぇ!


「た、たまたまだよ。まぐれまぐ――」

「……そうか、言えないならば仕方がない。本当ならこんなことしたくはないんだが……」


 そう言うと父は右腕を上げる。

 側で待機していた部下が、一斉に銃口をこちらに向けてくる。


 ――やべぇ、しくった!


 適当に誤魔化そうとしたことへの後悔をする間も無く、俺は拘束されてしまうこととなった。

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