16話 再会
時刻は12時を回った。
もうすぐ奴が来る。
隣からは気持ちよさそうに春乃が爆睡している。
こんな時に夢でも見ているのか、もう食べられない、お腹いっぱい、と聞こえる。
彼女を起こそうとした瞬間、ふいに部屋が暗く変化した。
先程まで窓から差し込んでいた月明かりが何かに遮られた。遮れた理由はおおよそ予測できているが、確認しないわけにはいかないので、おそるおそる窓の方に顔を向ける。
――そこからこちらを覗いていたのはあの夜、俺たちを襲った化け物だった。
「――早くねぇか!?おい、春乃、すぐに起きろ!」
俺は寝ている春乃の肩を揺すりすぐに起こそうとする。
「……ふぇ?朝ごはんできた……?」
「馬鹿!早くしないと2度と朝飯なんか食えなくなるぞ!」
「う〜ん。後5分したら起こしてぇ〜」
緊迫した状況の中、全く今置かれている状況を理解しておらず、呑気に二度寝をキメようとしてる彼女の頭を思いっきりぶん殴った。
「――あいた!何すんのよ!」
「お前が呑気なこと言ってるからだ。起きたなら早く逃げるぞ!」
「え……何あれ……」
窓の外にいる化け物を直視し、春乃は蛇に睨まれたカエルのように固まってしまう。
「おい、春乃!」
声をかけても反応がない彼女の腕を掴み無理やり立たせる。
「おい、しっかりしろ!このまま動かなかったら死んじまうぞ!」
「え……あ……うん……ごめ――」
彼女が言い終わる前に手を掴み走り始める。
まだ大きな音も鳴っていないことから、ここに真っ先に来たと考え、みんなが避難先として使っているこの棟から遠い校舎へと向かう。
後ろから轟音が聞こえてくるが振り返る余裕はない。
おそらくあの化け物が校舎へと攻撃しているのだろう。
「春乃、もっと速く走れ!」
「走ってるってば!もうこれが限界だよぉ!」
階段を駆け下り、外廊下を全速前進で進む。
すると、校舎へと入る少し手前に見慣れた人影が立っていた。
「あれは……千代先生!何してんだ、こんなところで!」
「早く逃げてぇ!死んじゃうよ!」
必死に俺たちは叫ぶ。しかし、千代先生はピクリともしない。
後少し、手の届く位置に来たというところで、彼女は全身の力が抜けるように崩れる。
そこにあったのは顔の半分がなくなった先生と、赤く染まった赤子のサイズの化け物だった。




