14話 後始末は父親に
事前に地震が来るのを伝えていたとはいえ、今まで経験したことがない揺れに彼女はパニックになっていた。
3回目の俺でさえも平然としていられるわけではない。
春乃は俺の服を掴み、体を小さく丸めていた。
やはり、俺の家の方角には腕が見える。
彼女にこれ以上のパニックを与えないためにも、俺は体を使い腕が視界に入らないように隠す。
あらかた揺れがおさまって来たところで、彼女は言葉を発する。
「本当に来たね……」
「あぁ。俺としては地震が起きない方が良かったんだけどな」
そう、地震が起きなければ俺が嘘つきになるだけで済む。まぁ、父さんの反応からしてわかっていたことか。
「揺れもだいぶ収まってきたから、学校へ避難するぞ」
そう言って、俺は彼女の頭から着ていた学ランを被せる。しゃがんでいた彼女の腕を掴み立ち上がらせ、周りが戸惑っている中一足先に動き始める。
彼女も状況が状況だからか、詳しいことを俺に聞こうとせず、ただ黙ってついてきている。
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校門に着くと、すでに避難しに来ている人がちらほら確認できた。早くに父からの指示が出ていたからか、スムーズに対応している。
敷地に入り、しばらく進むと背中から声がかかった。
「廻人君、加賀美さん、無事だったのね!」
「千代先生……!」
少し安心できたのか春乃は先生に抱きつく。
「先生、父さんからの指示があったんですね」
「そうよ。あの地震が来る少し前にね。廻人君には伝えてあるから、俺の席を教えてくれって言われてるわ」
「じゃあ、早速お願いしていいですか?」
「わかったわ。加賀美さんも一緒でいいのね?」
ここまで走って来た疲れや、あの揺れに対する恐怖も残っているだろう。そう考えると先に教室で休んでいて欲しいが、彼女の意見を尊重することに決めた。
「私も一緒に行きます。……今はカイちゃんと一緒にいた方が安心できるので……」
――いつもこれぐらいしおらしくしてれば、可愛げがあるもんだが……。
そんなことを口に出せば拳が飛んでくるかもしれないので黙っておく。
先生の後ろをついて行き、職員室へ到着する。
父さんの席に案内されると、1番下の鍵がついた大きい引き出しを発見する。
「ここが神谷先生の席よ」
「はい、ありがとうございます。鍵とか預かってたりしないですよね」
「えぇ、何も預かったりはしていないわ」
「ですよね〜」
――開けろったってどうすりゃいいんだよ。
壊そうにもちょっとやそっとじゃ開きそうにない。
クリップを伸ばしてピッキングのようなことをしたり、多少乱暴に殴ったりしてみるも、一向に開く気配はない。
試行錯誤しているうちに、姿を消していた春乃が戻って来た。
「カイちゃ〜ん。これで殴れば開くんじゃない?」
そう言ってどこからか持って来た消化器を渡してくる。
「お前、どっから持って来たんだ……」
「廊下に置いてあったから持って来ちゃった」
「……まぁ、仕方ないか。父さんに今度弁償してもらおう」
後のことは父さんに丸投げしようと決め、消化器を振りかぶる。
何回か殴ると鈍い音が響き、引き出しに隙間が生まれる。
「よし、開けるぞ……」
ゴクリ、と後ろの2人が喉を鳴らした気がした。
ゆっくり、丁寧に引き出しを開ける。
そこに入っていたのは、複数の爆弾だった。




