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13話 3度目

 貴重な時間を無駄にしてしまった。

 そのことを悔いても、またそれも時間の浪費になってしまうので切り替える。

 父さんからの電話まで時間があるので、こちらから電話をかけることにした。

 軍でもそれなりの地位についているため、これから起きることを説明すれば動いてくれるかもしれない、そう考えたからだ。

 ――あの電話は何も知らない俺への避難指示だった。なら、こっちが先にこれから起きることを伝えれば、それが証拠になるはず……。

 俺はポケットから急いで携帯を取り出し、父さんの連絡先を探す。


「……あった!春乃、俺は今から父さんに電話をする。疑問に思うかもしれないが、電話しながら学校へ向かおう」

「……わかった。ちゃんと後で説明してくれるんだよね?」


 先程からかったせいか、頬をプクッと膨らまし不機嫌混じりで答える。


「約束する。学校へ行ったらこれから起きることを話すよ。ただ、何が起きても絶対にそばを離れないでくれ」


 そう言い終わると同時に俺は彼女の手を掴み、走り始める。


「は、走っていくの!?」

「そうだ、時間がないからな」

「体力持つかなぁ……」


 ――

 ――――

 2、3分走ったあたりで電話が繋がった。


「もしもし!」

「もしもし。カイ、時間がないからよく聞きなさい。絶対に家には――」

「もう学校へ向かってる!それよりもCAを何機か学校へ来させてくれないか?」

「――!お前、これから何が起きるのか知ってるのか?」

「あぁ、ざっくりとね。それより、そう遅くないうちに化け物が来ちまう。学校には今夜0時あたり、何故か軍事基地の方にはもっと早い!」

「……どこでそれを。いや、なるほど……。そうか!カイ、よく聞きなさい。学校へ避難したら真っ先に職員室へ向かいなさい。私の机に鍵付きの引き出しがある。それを壊していざという時に遠くへ投げなさい。私も何機か連れて出来るだけ早くそちらへ向かう」

「わかった!父さんも気をつけて!」


 ――ツー、ツー

 通話が終了した。

 横で走りながら聞いていた春乃は、まだ何が起こるのかわからず、不安そうな目でこちらを見ている。


「大丈夫だよ、春乃。今度こそは上手くいくから安心してろ」

「え……う、うん」


 父さんが応援を連れてくるまでどれくらいかかるかわからない。そもそもCAよりもでかい化け物もいるのに大丈夫なのだろうか。

 少しの不安を胸に秘めつつ、俺たちは学校へ向かうのだった。


 ――

 ――――

 ――――――

 そろそろ揺れがくる時間だろう。

 商店街まで戻って来た俺たちは出来るだけ広いスペースにて立ち止まる。

 俺たちが帰る頃にはすでにフリマは終わりかけていたからか、あたりの人影は少ない。


「……フゥ、フゥ。どうしたの、カイちゃん。学校に行くんじゃなかったの?」

「学校には行くけど、少しここで待とう。すぐにでかい地震が来るからな」

「え!地震が来るの!?」

「大丈夫、大丈夫。怖かったら目をつぶってていいぞ。揺れが止んだら教えてやるから」


 もし、仮にあの腕をまた見てしまったら、余計な不安を負わせてしまう。それならいっそのこと、目をつぶっていてくれた方が俺としても安心できる。


 そしてしばらく経った頃、あの揺れが襲って来た。

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