9話 友と共に
「もう、すぐそこ学校だぜ。なんでこんなとこでイチャついてんだよ」
「イチャついてねーよ!」
――どこをどう見たらイチャついてるように見えるんだよ。
侵害だ、と言わんばかりの形相で睨みつける。
「まぁ、どうでも良いんだけどさ。それより早く行こうぜ、お前らも話の続きは学校でやればいいだろ」
「悪いけど俺らは学校へ避難しようとしてるんじゃない、軍事施設まで避難しようとしてるんだ。……そうだ、お前も一緒に来いよ!」
「はぁ……?なんでだよ、学校でいいだろ。歩きスマホ、いや、走りスマホしながら避難してたんだが、津波の心配はないらしい。だったらそこにいれば直に帰れるだろ」
「それじゃあ駄目なんだよ!」
「……ハァ。……とにかく、俺は先に行ってるぞ」
学校では駄目な理由を知らない彼は、俺たちに背を向け、歩き始めてしまう。
あの夜のことを話そうか迷う。
ただタイミングがわからず、ただただ進んでいく背中をじっと見つめることしか出来ない。
「さっきの揺れはただの地震じゃないよ!あの揺れの中見たんだ。すっごくデッカい腕!あんなのが来たらここじゃあ助からないよ。」
黙っていることしか出来なかった俺の代わりに、待ったを掛けたのは春乃だった。
「……脳みそがイッたのか?」
「私はいつも通りだよ!」
「てことはもう手遅れか……」
ムキーッと春乃が怒り始める。
でも、彼女が流れを作ってくれたおかげで話すチャンスが来た。
「春乃が言ってることは本当だ」
「お前まで……」
「学校に避難してもいいけど確実に死ぬぞ。俺はお前に死んでほしくない。……頼む、今回だけでいい。俺、いや、俺たちの言うことを信じて欲しい」
「……」
長い静寂がこの場を支配する。
ここで引いてしまっては彼を死なせることになってしまう。
彼に信じてもらうためにも頭を下げる。
「……頼む、今だけなんだ、今だけ信じてくれ」
未だ帰って来ない返答、無視して行ってしまったのではないか、と思うほどの無音。
――駄目か?こんなことになるんなら普段からきちんとしとくべきだった!……なんか最近は後悔ばっかりだな。
長い沈黙を終わらしたのは細石だった。
「……わかったよ。普段おちゃらけてるお前がここまで真剣なのはおかしいからな。1つ言っておくが軍事施設に行くのが不安だからって、おかしなことを二度と言うなよ。俺まで変な目で見られたらたまったもんじゃないからな」
「細石……!」
――なんか俺らがついて来てもらうために出まかせをついてる風に取られてるけど、まぁ、結果オーライだろ。
こうして加わった細石と共に、休んで体力が回復した2人は軍事施設へと向かうのだった。
いつも読んでくださりありがとうございます!
今後の内容をざっくりと考えてはいるのですが、中々話が進まず長編になってしまう可能性が大です…
今後とも読んでいただけると私のモチベーションにもつながりますので、気がついた時にでも読んでいただければ嬉しい限りです。
今後ともネバー・ソリチュードをよろしくお願いします!




