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8.都合のいい男








 …………はぁ〜〜〜〜〜……





 ……時間…経つの早くね?



「かおるさん!大好きですー!」



 こんな調子じゃない日が無くて時間の感覚狂うわ…



「…うっとうしい」



 だってもう2ヶ月だぜ?



「えへへ、そんなこと言わずに!今日も素直に私に愛されてくださーい!!」



 おいおい…



 なんでこいつの俺への愛は日増しなんだよ。



 別にこいつと付き合って、俺の行動が何か変わったかって言われたら、それはもちろんNOだ。



 浮気ギャンブル無職家無しヒモニート



 何も変わってねぇよ、むしろ酷くなってるんじゃね?



 そんな俺に対して、こいつの愛は変わらない。



 1週間でどうのこうの、なんて言ってたのがバカバカしいくらいに俺を愛してるって言いまくってる。



 抱きつきながら……



「あっ、薫さん、今日は少しだけ、外に出ていてくれませんか?」


「はっ?良いけど、なんで」

 

「っまあまあ…!理由は何でも良いじゃないですか…!よしっ、薫さん、いつも通り合鍵とお金渡すんで、いつも通り、20時くらいに返ってきてくださいねっ、必ずですよ…!!」



 めっちゃ流暢に話されて、言われた通り財布と鍵だけ持たされて、家を出された。



 なんで追い出されないといけないんだ…、?

 住んでいいって言ってたのあいつだよな



 なんか金と鍵と最終的に帰る寝床さえあれば納得する男だろ的な感じに思われてね?



 ……めっちゃ嫌だわ…それ……



 絶対帰ってやんねーよ?



 あいつの方が俺のこと必要としてるくせに、粗雑に扱うなんて良い度胸してんじゃねーか



 っ〜〜__あ"〜〜、イライラする



 なんであんな女に家ちょっと追い出されたからって俺がイライラしてんだよ…クソッ



 アテツケに朝まで遊び倒してやる



 

 初めはまあ、バーだな

 適当なやつ捕まえるか



 

「よぉ、律、翔。他の奴らは?」


「やあ、薫。今日は定休日だけど、看板見ずに入ってきたの?」


「ん、ああ、マジか…、見てないわ、忘れてた」


「どうしたの薫、最近機嫌良さげだったのに〜。もしかしてつむぎちゃんに捨てられた?なら俺が」


「捨てられてねーわ!」



 何でこんな必死になって否定してんだ、俺…

 いや、でも捨てられてはないから、当然の反応なわけで…



「ほら見ろ、合鍵だって貰ってるだろうが」

 

「そんなこと言って、家、解約されてたりしないの?あり得る話なんじゃない?あの子、お金いっぱいありそうだったしさ」



 …確かに、あり得ない話じゃないんだよなぁ……



「…まあ、その時はその時だろ。所詮ここで叫んだ愛はその程度だったってことだよ」


「ハハっクッ…」


「…なんで笑ってんだよ」


「いやだって、強がった口調だけど表情が寂しそうなんだよねぇ。そんなん笑っちゃうでしょ」


「はっ」

 


 今まで人に執着したことのないこの俺が?



 女をATMと欲を満たす存在としてしか見たことのないこの俺が?



 もう嫌ってほど経験してる



 人が残忍で、結局自分が可愛くて仕方ないこと。



 自分に都合が悪いと、口でも手足でも暴力を振るうこと。



 良い人だと思っていても、本当は裏で別の顔隠し持ってること。



 俺もまた、残忍で自分が可愛くて仕方のない人間のうちの1人だってこと。



 全部…分かってんだよ……



 だから、全部ほどほどの付き合いにしてんのに



「しょうもな…。目にゴミが入っただけだろ」


「ふーん…そうか。まっ、良いわ。で?女の子捕まえに来たんじゃないの?残念だけど、定休日だから来ないぞ」


「わーかってるよ。じゃあな。また来るわ」


「はいはーい……、その態度、いつまで持つかねぇ」


「…?」



 最後何か言ったような気がするけど、聞き返すのも面倒くさくてやめた。



 なんもやる気湧かないことすらも認めるのが嫌で、他の女の元に連絡取って行った。




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