6.ふしぎな同棲生活スタート
「では、私は仕事に行ってくるので合鍵と、お金は先渡したので大丈夫ですよね?後はー…」
「いやいやいや、待て待て。なんでお前、ポンって大金出てくんだよ」
いや、何で当たり前のこと聞いて、キョトンって顔されないといけないんだよ
マジで分からん
いや、知ろうともしてないから当たり前か
多分知ろうとしても分かんねーけど…
「お金の使い所が無かったんです。お仕事が好きなので、お金は副産物です!…あっ、忘れ物です!」
「ん?なんだ?」
その両手に広げてるの、なんだ?
「行ってきますのハグですよ!」
…こいつ、俺への警戒心0かよ……
「…分かった分かった」
まあ、10万もくれたしな
仕事だと思えばいいか
こんな簡単な仕事、あってたまるかって感じだけど
「っ〜〜__♪」
めっちゃ機嫌良さそう
いややっぱちょろいわ
「これで良いか?」
「はいっ!ありがとうございますっ。薫さんの胸の中は温かいですね!」
「いや、みんなあったけぇだろ」
呆れるくらいに俺にあまい。
人間なんかみんなあったかいだろうに
「そんなこと、ないですよ…」
「…?」
なんだ?この違和感…
「とにかく、薫さんは温かいんですよ!じゃあ、行ってきますね!」
「おう…」
クソッ…
アイツの声のトーンが下がると、こっちまで調子狂うな
ちょっと眠たいとかそんなんだと思うけど
まあ、気分転換するかっ
…いや、その前に、昨日のアレがどうなったか見に行くか
……合鍵かぁ。変な感じ
今までいた女とは軽い愛だからか分からんが、一緒に部屋入ってすることする癖に、合鍵なんて渡されたことなかったな
まあ、俺1人で部屋にいられたらたまったもんじゃないんだろうな
俺がヒモだって分かってるやつもいるわけだし
…つむぎも、一応分かってんだよなー。しかもヒモってレベルじゃねー俺の生活を…
なのになんで俺なんかに合鍵渡すかな…
まあもういいわ
考えるだけ無駄だ
ガチャって鍵閉めるの、久しぶりな気がするな
ポッケに両手突っ込んで歩いて、昨日のバーに向かった。
まあ、確認だ
昨日の
「よお、昨日の子は、どうなった?」
「おう薫ぅー!バッチしよ。翔の虜になってたぜ」
「お前じゃないのかよ」
「俺は好みじゃないらしい。お前の元彼女に振られたわ」
いや彼女じゃねえよ
ツッコむのもめんどくさい
「そうかよ。それはドンマイなことだ」
「つむぎちゃんは?俺にくれないの?」
「まだ使ってすらねーよ。あっ、そうだ。あいつに10万貰ったんだわ」
「…………はっ?」
うん、いや、そりゃその反応するよな
俺だって似たような反応したし
だって10万だぜ?
1日で渡す額じゃないだろ…
反応確かめて良かった。俺がおかしい訳じゃないわ
「いややっぱその反応だよな。俺おかしくないよな。お前の表情見て初めて安心したわ」
「それ失礼だけど。いやそれより、10万?本当にATMになっちゃってるじゃん、彼女。まさかマジでバーで言ってたこと実行してくれる系?」
「多分な。終始笑顔でノリノリだったんだけど」
「へぇ〜、良い彼女持ったじゃん。飽きたらくれよ?俺が大事にするからさっ」
「言われなくてもくれてやるよ」
元より、もうすぐで関係切れそうって時に全員このバーのやつらに渡してるしな
「まあ、あの子が別の奴に渡ったんならいいわ。じゃあな」
「はーい、お前顔だけはいいから働きたかったらいつでも言えよー」
「働かねえよ、俺は生涯女に貢いでもらうんでな」
うん、我ながらよく堂々とこんなみっともないこと言えるわ
事実だしな
仕方ないだろ
それよりも、10万、何に使うかなぁ
服?ギャンブル?女探しするか?
まあ、迷ったときは………
競馬だよなぁ〜
3連単行くか…。
余った金はパチンコでいっか
まあ……な…
当たるわけねえわ
クッソ、10万全部溶けると思わねえじゃねぇかよ
20時か…
もうやることないしなぁ
帰るか