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3.にちじょう

 


 まあとにかく、会話が弾む頃には、すっかりカレーは平らげてた。



 …普通に美味かった……



「薫さん!もしよかったら、好きな食べ物教えてください!次は薫さんの好きな食べ物作りたいです!」


「えっ、俺の?いいよいいよ。つむぎちゃんの好きな食べ物でいいんだよ」


「私はいつでも私の好きな料理を作ることが出来ますけど、薫さんの好きな料理は、薫さんが家に来た時しか出来ないので…ダメ、ですか…?」



 …何?その考え方。

 俺知らないんだけど



「…ううん、そんなことないよ。そうやって言ってくれて嬉しいな。うーん、じゃあ、つむぎちゃんの作ったオムライス、食べたいな」


「…っ!!!分かりました!」


「ありがと、嬉しいよ」



 なんで、作る側のつむぎちゃんがそんなに満面の笑みなんだよ。



 そうやって笑顔浮かべられたら、笑って誤魔化すしかなくなる。

 直視出来ないこと。



 早く話題逸らすか



「ねぇ、つむぎちゃん。連絡先、交換しようよ。オムライス、作ってくれる約束だからね」


「はい!」



 そうやって、連絡先交換して、「帰るね」って言ったら、「送ります」って言ってくれたんだけど



 それすんの逆じゃねっ?って

 漢らしいよつむぎちゃん…



 うーん、まあ、いっか



 でも俺、家ないけどね



 適当にこの子の最寄り辺りでバイバイしとけば



「つむぎちゃん、ここまででいいよ。送ってくれてありがと」


「はい!また一緒にご飯食べましょうね!」



 1回つむぎちゃんは手を振って家に戻る仕草をする。



 けど後ろ振り返って、もう1回手振ってきた。



 確かに、先生向いて無さそうかも



 危ないよ、そんなに誰にでも心開くのは



「あぁー!かおるさーん!」



 ある程度離れたところで、つむぎちゃん、もう一回こっち振り向いたんだよね



 何回振り向くんだよって思った。

 でもそしたら、また満面の笑みで



「私も、薫さんのこと、好きですー!」だってさ。



 ほら、やっぱり



 ちょろいんだって



 多分そう言うとこだよ、教師に向いてないって言われるのはさ…






 うーん、あれから、もう1週間かー



 ……めっちゃ…



 めっちゃ、尽くしてくれるんだよな…



 今1番高い頻度で会ってるのつむぎちゃんかも

 いやまあ、ご飯美味しいし可愛いから



「ねっ、薫。早くシよ…?」


「ん、待て出来ないのは悪い子だね。そんな(みやび)には、おしおきしないとな」


「っ!__〜〜〜ッ」



 女の喜ぶことを知り尽くしてる俺はもちろん、童貞なわけがない。



 身体も、心も、全部使って、女を虜にするから。

 童貞がどうのこうのなんて、言ってられないわけよ



 一仕事終えると、雅は感嘆のため息を漏らした。



「はぁ〜。どうして薫ってそんなに上手なの?」


「内緒だよ」



 口に人差し指を当ててニヤって笑うと、雅が頬を赤らめることは、もう知ってる。


 

 俺みたいな人間は、少しの仕草や言葉から、相手の求めてることを探らないとやっていけないからな



「ね、薫。この後どこか行こうよ。私が全部払うからさ」


「ん?いいけど。どこ行くの?」


「ん〜、薫となら正直どこでもいいんだけど、久しぶりにご飯食べに行きたいかな」



 ああ、このタイミングでか



「いいよ。俺も、久しぶりに雅の美味しそうに食べる姿見れるから、楽しみだな」



 あ〜あ



 今日つむぎちゃんの家でご飯ご馳走になる予定だったのに



 まあ、いっか



 ご飯代出してくれるって言ってたし



 …あぁ、もう。…誘惑しようと抱きついてくんの、やめてくんねぇかな……



 人に接触されるの好きじゃないんだけど、でもじゃあ何でこんなことしてんのってなるわな



 まあ、けど、まともな生き方したことない俺に、まともに生きろってのは無理がある。



 雅は俺の顔の良さとテクニックを求めてる。それ以外に何もいらないことは把握済み



 全部全部、生きるため




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