表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

その他短編(ホラー以外)

量子力学は幸せの方程式を導く

作者: 瑞月風花

量子ってなんだろう。調べてみたけど分からない。

量子論自身は数に表せないことを量子を使って数で数えられるようにするらしい。

そう言われれば、少し分かるような。

でも、そこに力学が加わると、何になる?

でも、一時ノーベル賞で流行ったことあったような。あの時は可逆性がどうとか。

ブラックホールとか。時間とか言ってなかったっけ?

相対性理論とか。

時計はもうすぐお昼を示す12時だ。

あ、そうか。

時間だって数えられないのか。


秒針を眺める。

一秒一秒を刻むアナログ時計。数字を刻むデジタル時計。

見た感じはよく分かる。

一秒経ったら、一秒進む。

一秒前の私から、一秒老いた私を観察する。

変わったのかな?

一秒前の私はいったいどこへ行ったのかな?

てか、量子って何?

原子とかそんなものの仲間なの?

もっと小さいものなの? テレビではなんかクルクル回っていたけど。

目には見えない速さで、ぐるぐるぐるぐる……。


もしかして、世界ってそんなものなのかな?

ぐるぐるぐるぐる……ぐるぐるぐるぐる……。

毎日毎日同じようで、毎日少しずつ変化して。

後輩だと思っていたら、いつの間にか先輩になっていて。

いつもはまったく見えないけれど、気付くと年を取っていて。


付き合ってるかどうか分からないと思っていたのに、何故かプロポーズに至り……。

いったい何が変わったのか分からないけれど、今は彼と一緒に住んでいる。きっと、少しずつ何かが変化していたんだろうけど。


もしかしたら、全然違う世界線に移動しちゃったのかもしれないけれど。


そんな彼が見ていた「量子力学」と書かれた難しそうな本。


「それ面白いの?」

「よく分かんない」


ふーん。

「なんで見てるの」

「なんかのイメージにならないかなって思って」

ふーん。

「なんかね、幽霊みたいな感じ。意識して見られることで、見えるようになるんだって」

よく分からないけど。お金にもならない彼の趣味。小説を書くのが楽しいんだって。

量子と同じだな。よく分からない。

「じゃあ、ホラーを書くんだ」


そもそも、原子でも量子でも目に見えないし。つぶつぶが見えるようになったら怖いし。

確実にホラーだ。


だから、わざわざ理解しなくても良いのかもしれない。

幸せだって、目に見えて数えられないんだし。

今が楽しいんだし。


「お昼、何食べる?」

食べたいものが重なると良いな。


あ。答えが出るまでのこれも量子なのかも。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 量子力学、という固いテーマが幸せに繋がっていくというギャップが素敵だなと思いました。タイトルがとてもセンスフルですね(´ω`*) 私と彼の関係性が順を追って進展していく様子がこの短いお話の中…
[良い点] 文章のリズムが好きです。拝読していて何だか、どなたかの歌を聴いているかのような気持ちになりました。難しいお話なのに、描いている情景がパッと脳裏に思い浮かぶんですよね。 特に、「お昼」から始…
[良い点] SF作品などを拝見していると、最近とみに使われる様になったワードですね。 高性能量子コンピューターと名前が付けば、それは未知の演算能力を誇るスーパーマン……。 でも、その凄さは一般人には分…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ